豊橋と田原の民話一覧を製作

　地域に伝わる民話を集めた「豊橋・田原　民話地図・民話掲載一覧全３００話」（Ｂ２判両面カラー）を「東三河民話保存会」が制作し、20日から豊橋、田原両市で販売する。メンバーは「民話を通じて、豊橋、田原って面白い。こういうことがあったんだと感じてもらえたらうれしい」と話している。
　一覧には、聞き取り調査で新たに発掘した２話を含む豊橋市２３６話、田原市64話の計３００話を収録。表面に民話のタイトルと所在校区の地図、裏面には舞台となった場所や、掲載されている文献などの情報をまとめた。　保存会は、地元に伝わる怪「豊橋妖怪」を通じて民話に興味を持ってもらおうと活動する地域交流サロン「ばったり堂」店主の内浦有美さん（37）＝豊橋市中柴町＝が発起人となり結成。
　内浦さんには、昔から民衆に口承されてきた民話が現代の核家族化や民話を知る高齢者の減少、語り部の高齢化などで伝承が途絶えるという危機感があった。
　「今、民話を形に残すことが必要。次の世代につなぐために調査をしなければ」と、長年民話を調べていた小柳津糺さん（78）＝同市瓦町＝と、語り部として活動していた大原伸治さん（68）＝同市多米東町＝の２人と共に調査を開始した。　
　２０１１（平成23）～17年の約６年間かけ、メンバーが地域の古老に話を聞いて回ったり、古くからある神社仏閣、神事などを現地調査したりして、民話が登場する文献を調べた。
　「子どもたちに地元のことを英語で海外の人に紹介してほしい」と、一覧には「片身のスズキ」（豊橋・八町）「ごひんさま」（田原・童浦）「おくす弁天」（田原・福江）の３話（あらすじ）の翻訳も添える。
　大原さんは「今までバラバラの文献に載っていた民話がこれ１つで調べられるデータベース化ができた。民話が新たな一歩を踏み出したのでは」と話す。
　今後は、掲載した民話のストーリーをまとめたり、東三河各地の民話の情報を形に残すことが目標だ。
　保存会は神野教育財団の助成を受けて製作。豊橋、田原両市の小中学校や校区市民館、図書館など公共施設に一覧を寄贈する予定。
　両市内の豊川堂と精文館で１部５００円（税別）、限定５００セットで販売する。問い合わせは内浦さん（０９０・８１５８・２３３９）へ。
（飯塚雪）