高校野球愛知大会 豊橋中央×星城

　豊橋中央の「意外性の男」が決めた。４－４の延長10回表、２死一、二塁、普段はブルペンキャッチャーの背番号19・松井が代打に送られた。
　「いつでも行けるように気持ちの準備はしていた」と松井。カウント２－２から打った打球は詰まり、右前へ落ちた。「（右翼手が）捕るな！」という気持ちで一塁へ全力疾走した。
　個性的な性格からチーム１のムードメーカーで、仲間から慕われる天然キャラ。打席では深く考えない。ただ来た球を打つことに徹する。６月中旬から全体練習を離れ、１人でマシンを相手に打ち込む特打を積んできたが、それがこの日の一打につながった。
　吉田方中学校時代、強豪・明徳義塾中のエース投手から本塁打を打ったことがある。樋口靖晃監督（45）は「チーム唯一のハートの強さというか、独特の雰囲気を持つ。この最高の場面、彼しかいないと思った。迷いはなかった」と直感で起用を判断した。
　同校初の４強入りをかけたあす25日の準々決勝は、優勝候補の至学館に挑む。「いつでも、どの場面でもいけるように自分の役割を果たしたい」と松井。試合後は彦坂慧一郎（１年）が一発ギャグで応援団を笑わせ、チームのムードも最高だ。この勢いで強敵も退ける。
（千葉敬也）

５回戦
豊橋中央
０１２０１００００１│５
００２０１０１０００│４
星城
（延長10回）
（豊）渡邊、三浦圭、花井、西脇－長峯
（星）新井、加藤、北原－榊原
【本】長峯（豊）
（豊橋市民球場）

　豊橋中央は２回に杉田の左前打で先制すると、３回にも４番・高谷と６番・斉藤の適時打で２点を追加。その裏に２点を返され、５回には主砲の長峯が中越えソロを放ったが、７回に追い付かれた。無失策の堅守に加え、４投手の継投も奏功し、延長10回の松井の決勝打が生まれた。