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豊川幼児殺害事件の謎・番外編

事件から15年、遺体遺棄現場とされる岸壁を視察する現地調査の参加者ら=御津町佐脇浜で
事件から15年、遺体遺棄現場とされる岸壁を視察する現地調査の参加者ら=御津町佐脇浜で

厳しい取り調べ「理性が崩壊」
東住吉放火殺人事件・再審で無罪の朴氏
 
 豊川幼児殺害事件から15年を迎えた先月29日、事件で有罪となった田邉雅樹受刑者(50)の無実を訴える「えん罪豊川幼児殺人事件・田邉さんを守る会」の現地調査があった。参加者には、東住吉放火殺人事件で無期懲役になりながら、再審で無罪となった朴龍晧(ぼく・たつひろ)氏の姿があった。東愛知新聞に豊川事件について語った。
 1995(平成7)年、大阪市東住吉区の民家で、朴氏と内縁関係にあった女性の長女(当時11歳)が入浴中に発生した火災で死亡。保険金目当てで疑われた朴氏と女性が逮捕された。一度は自供するも、裁判では無罪を主張し、2006年に無期懲役が確定。しかし、2012年に再審が開始され、弁護団による実験結果などが決め手となり、2015年に朴氏らは20年ぶりに仮釈放。昨年8月に無罪判決が確定した。
 豊川事件では、弁護団は田邉氏が警察の厳しい取り調べに耐えられず、自供を強要させられたと主張。その証拠に、供述調書からは事実と反する事案が次々と出ており、昨年7月に名古屋高裁に再審開始を請求すると共に、田邉氏のえん罪を証明する証拠資料21点を提出した。
 自身も、厳しい取り調べに耐えられなかったという朴氏。「私も嘘の自白をしてしまった。理性が崩壊してしまった。刑事は、人の理性を崩すのがうまい。嘘の自白は『心の自殺』に等しいと思っています」と振り返る。
 田邉氏の供述通りに被害幼児の略取現場や殺害現場とされる場所を巡った現地調査では、担当弁護士が帯同し、参加した63人に矛盾点などを事細かに説明した。真剣に耳を傾け、改めて田邉氏の無実を確信した朴氏。自身も、弁護団が行った引火実験が決め手となって無罪を勝ち取ったこともあり、「弁護団の方たちが分かりやすく伝える力を持っているので安心した。私も素晴らしい弁護士のおかげで無実を証明することができた。より多くの人が弁護士の話を聞いて、この事件のことを知ってほしい」と願った。
 一昨年、朴氏は大分刑務所から出所した。田邉氏も同じ大分刑務所に服役している。面識はないが、朴氏は「とても他人事とは思えません」と言う。そして、田邉氏に逆転有罪判決を下した名古屋高裁の裁判官が、殺害現場などを訪れなかったことを挙げて「まずは見に来てほしい。裁判官は先入観を持たず、一人の人間として、素直な気持ちで事件と向き合ってほしい」と訴えた。
(由本裕貴)

厳しい取り調べ「理性が崩壊」
東住吉放火殺人事件・再審で無罪の朴氏
 
 豊川幼児殺害事件から15年を迎えた先月29日、事件で有罪となった田邉雅樹受刑者(50)の無実を訴える「えん罪豊川幼児殺人事件・田邉さんを守る会」の現地調査があった。参加者には、東住吉放火殺人事件で無期懲役になりながら、再審で無罪となった朴龍晧(ぼく・たつひろ)氏の姿があった。東愛知新聞に豊川事件について語った。
 1995(平成7)年、大阪市東住吉区の民家で、朴氏と内縁関係にあった女性の長女(当時11歳)が入浴中に発生した火災で死亡。保険金目当てで疑われた朴氏と女性が逮捕された。一度は自供するも、裁判では無罪を主張し、2006年に無期懲役が確定。しかし、2012年に再審が開始され、弁護団による実験結果などが決め手となり、2015年に朴氏らは20年ぶりに仮釈放。昨年8月に無罪判決が確定した。
 豊川事件では、弁護団は田邉氏が警察の厳しい取り調べに耐えられず、自供を強要させられたと主張。その証拠に、供述調書からは事実と反する事案が次々と出ており、昨年7月に名古屋高裁に再審開始を請求すると共に、田邉氏のえん罪を証明する証拠資料21点を提出した。
 自身も、厳しい取り調べに耐えられなかったという朴氏。「私も嘘の自白をしてしまった。理性が崩壊してしまった。刑事は、人の理性を崩すのがうまい。嘘の自白は『心の自殺』に等しいと思っています」と振り返る。
 田邉氏の供述通りに被害幼児の略取現場や殺害現場とされる場所を巡った現地調査では、担当弁護士が帯同し、参加した63人に矛盾点などを事細かに説明した。真剣に耳を傾け、改めて田邉氏の無実を確信した朴氏。自身も、弁護団が行った引火実験が決め手となって無罪を勝ち取ったこともあり、「弁護団の方たちが分かりやすく伝える力を持っているので安心した。私も素晴らしい弁護士のおかげで無実を証明することができた。より多くの人が弁護士の話を聞いて、この事件のことを知ってほしい」と願った。
 一昨年、朴氏は大分刑務所から出所した。田邉氏も同じ大分刑務所に服役している。面識はないが、朴氏は「とても他人事とは思えません」と言う。そして、田邉氏に逆転有罪判決を下した名古屋高裁の裁判官が、殺害現場などを訪れなかったことを挙げて「まずは見に来てほしい。裁判官は先入観を持たず、一人の人間として、素直な気持ちで事件と向き合ってほしい」と訴えた。
(由本裕貴)

事件から15年、遺体遺棄現場とされる岸壁を視察する現地調査の参加者ら=御津町佐脇浜で
事件から15年、遺体遺棄現場とされる岸壁を視察する現地調査の参加者ら=御津町佐脇浜で

カテゴリー:社会・経済

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