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福島県沖の地震によぎる「3・11」の悪夢

放射能から身を守る防護服で浪江町の自宅に一時帰宅する一条さん(昨年6月写す)
放射能から身を守る防護服で浪江町の自宅に一時帰宅する一条さん(昨年6月写す)

 22日朝に福島県沖で発生したマグニチュード7・4の地震。大きな揺れの後、東北地方の沿岸部には最大1・4㍍の津波が押し寄せた。本紙の連載「フクシマ・ルポ」で取材し、原発事故で福島県浪江町の故郷を追われた一条昌一さん(71)の脳裏には5年8カ月前の「3・11」の悪夢がよぎった。
 早朝6時前、まだ暗い街に地鳴りが鳴り響いた。最大震度5弱の今回の地震で、一条さんと妻・澄子さん(69)が暮らす宮城県亘理町では震度4を観測した。
 一条さんは引っ越し作業のため起床していた。耐震補強が施された自宅に被害はなかったが、すぐに津波警報が発令。町内には避難指示が出され、サイレンが繰り返し鳴り響いた。「びっくりしました。3・11をつい思い出しました」。
 一条さんの家は海岸から約4㌔離れ、避難には余裕を持てたが、それもつかの間、テレビのニュースに耳を疑った。東京電力・福島第2原発3号機で使用済み燃料プールの冷却装置が自動停止―。「あの時と同じかと思いました。原発でまた爆発かと頭に浮かび、ニュースを見ました」。まもなく復旧を知らせる一報に安堵したが、人生が一変したあの日の悪夢がよみがえった。
 東日本大震災による福島第1原発事故で浪江町の自宅は住めなくなり、福島県郡山市などでの避難生活を経て、1年半前から現在の亘理前に移り住んだ。この日、海抜から高く、より安全な新居に移住する日に起きた地震…。「あれからもうすぐ6年になるのに、いつまで続くのでしょうかね」と肩を落とした。
 浪江町の自宅には月に一度訪れるが、滞在時間も限られ清掃しかできない。「何も変わりなく、あの時のままです」。
(由本裕貴)

 22日朝に福島県沖で発生したマグニチュード7・4の地震。大きな揺れの後、東北地方の沿岸部には最大1・4㍍の津波が押し寄せた。本紙の連載「フクシマ・ルポ」で取材し、原発事故で福島県浪江町の故郷を追われた一条昌一さん(71)の脳裏には5年8カ月前の「3・11」の悪夢がよぎった。
 早朝6時前、まだ暗い街に地鳴りが鳴り響いた。最大震度5弱の今回の地震で、一条さんと妻・澄子さん(69)が暮らす宮城県亘理町では震度4を観測した。
 一条さんは引っ越し作業のため起床していた。耐震補強が施された自宅に被害はなかったが、すぐに津波警報が発令。町内には避難指示が出され、サイレンが繰り返し鳴り響いた。「びっくりしました。3・11をつい思い出しました」。
 一条さんの家は海岸から約4㌔離れ、避難には余裕を持てたが、それもつかの間、テレビのニュースに耳を疑った。東京電力・福島第2原発3号機で使用済み燃料プールの冷却装置が自動停止―。「あの時と同じかと思いました。原発でまた爆発かと頭に浮かび、ニュースを見ました」。まもなく復旧を知らせる一報に安堵したが、人生が一変したあの日の悪夢がよみがえった。
 東日本大震災による福島第1原発事故で浪江町の自宅は住めなくなり、福島県郡山市などでの避難生活を経て、1年半前から現在の亘理前に移り住んだ。この日、海抜から高く、より安全な新居に移住する日に起きた地震…。「あれからもうすぐ6年になるのに、いつまで続くのでしょうかね」と肩を落とした。
 浪江町の自宅には月に一度訪れるが、滞在時間も限られ清掃しかできない。「何も変わりなく、あの時のままです」。
(由本裕貴)

放射能から身を守る防護服で浪江町の自宅に一時帰宅する一条さん(昨年6月写す)
放射能から身を守る防護服で浪江町の自宅に一時帰宅する一条さん(昨年6月写す)

カテゴリー:社会・経済

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