八咫烏を祀る豊橋の烏塚神社

　サッカー日本代表のエンブレムのデザインにも使われている「八咫烏（やたがらす）」。この八咫烏を祀（まつ）る神社は全国に４カ所しかないといい、その１つが豊橋市高洲町にある「烏塚（からつか）神社」で、氏子総代が八咫烏を前面に押し出し、参拝客を増やす取り組みを昨年末から始めた。
　烏塚神社には、天照大御神など１２の神が祀られていることは知られていたが、資料には名前だけが羅列してあるだけで、どのような神が祀られているのか、氏子総代でもしっかり把握していなかった。
　そこで神社のすぐ近くに住む氏子総代会計の林徳七さんが、愛知県神社庁に確認。昨年末に、八咫烏に姿を変え、天皇を導いたという「加茂建角身神（かもたけつぬみのかみ）」が祀られていることが分かった。この神は、和歌山県の熊野三山神社、奈良県の八咫烏神社、京都府の下鴨神社と、烏塚神社しか祀られていないことが確認でき、「全国でも珍しい八咫烏が祀れている神社」として大々的に売り出すことを決めた。
　ちょうど祠（ほこら）が１つ空いていたことから、昨年末に加茂建角身神を祀った。さらに、八咫烏をデザインした「のぼり旗」を作成。太陽と月の２バージョンを用意し、１本２０００円（２本セットで４０００円）で奉納できるようにした。
　林さんは「八咫烏はスポーツなど勝負ごとにご利益がある。多くのスポーツ選手にお参りに来てほしい」と話す。
　さらに烏塚神社には、芸能の神様「市杵島姫命（いちきしまひめのみこと）」、運気上昇と浄化パワーのある「加茂別雷神（かもわけらいのかみ）」、幸運・金運を上げる「宇迦御魂神（うがのみたまのかみ）」などが祀られており、林さんは「どんな願いも叶う神社。豊橋の新パワースポットとしても多くの人に知っていただき、参拝してもらいたい」と話す。
　なお毎月１日と１５日の午前６時から７時まで、氏子が神社に待機し、ご祈祷を受け付けている。
（竹下貴信）

　【烏塚神社】江戸時代前期の寛文５（１６６５）年に創立。江戸時代は蒲郡の竹島のように、海に浮かぶ島の中に神社があり、地域の聖地として多くの住民が参拝に訪れたという。聖地には多くの神様がいた方が良いと、１２もの神が祀られたとされる。