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フクシマ・ルポ 復興の灯①

カテゴリー:特集

のどかな山間部に設けられた汚染物が積み重なる仮置き場=福島県川俣町で
のどかな山間部に設けられた汚染物が積み重なる仮置き場=福島県川俣町で
徒歩や二輪車通行が禁止されている国道114号から脇道には進めない=浪江町南津島で
徒歩や二輪車通行が禁止されている国道114号から脇道には進めない=浪江町南津島で

汚染物で帰還ためらう

 未曾有の原発事故から7年。記者は避難住民の一時帰宅に同行し、2015(平成27)年6月に福島県浪江町などを取材した。あれから約3年。避難指示が解除された区域もあり、記者は単独で再び福島を訪れた。復興はどこまで進んだのか。実態をルポタージュする。

 福島を訪れたのは6日。空は青く透き通る。郡山駅から、3年前と同じルートで太平洋側の浜通りを目指す。阿武隈川を渡り、三春町や二本松市など山間の街を抜ける。時折すれ違う農家の軽トラック。風に揺れる洗濯物。どこにでもある田舎町が続くが、車は確実に、原子力災害対策特措法に基づく原発から半径20㌔圏内の「警戒区域」へ近付いていた。
 県道62号を上り、石平山付近の峠を越え、川俣町に入った時だった。景色が一変した。高さ3㍍はある白い壁。その向こうには黒い物体が積まれる。フレコンバッグの中には放射能による汚染物が詰まっている。
 放射能量が高い川俣町山木屋地区は居住制限区域などに指定されていたが、昨年3月末ですべて解除された。3年前は除染の真っ最中。道端には作業員の「精一杯 誠意いっぱい 除染中」などの言葉が記された水色、黄、ピンクの旗が揺れていたが、今は除染も終わり旗はなかった。
 山木屋地区では今春、小中一貫校が再開される。震災前は89人が通っていたが、町教委によると再開後の通学希望者は10人強。行き場のない汚染物の仮置き場の存在が、故郷への帰還を妨げているかもしれない。
 車は浪江町に入った。ここからは依然線量の高い「帰還困難区域」。人は立ち入れない。しかし浪江町と福島市を結ぶ国道114号の同区域内27㌔区間は、昨年9月20日に一般車両の通行が許可された。前回は許可証を見せて通ったゲートは、警備員が立つだけだった。
 歩行者や二輪車の通行は禁止され、車の窓も開けてはならない。脇道は許可車両以外は入れず、あちこちに鉄柵が置かれる。事実上の一本道だ。この津島地区に、原発事故直後に約8000人の浪江町民が避難した。無情にも、そこに風に流された放射能が降り注いだ。確かな情報を知らされず、多くの人が被ばくした。除染が進まず、屋根を覆うまで伸びた草木が、その残酷な真実を物語っていた。(つづく)
(由本裕貴)

汚染物で帰還ためらう

 未曾有の原発事故から7年。記者は避難住民の一時帰宅に同行し、2015(平成27)年6月に福島県浪江町などを取材した。あれから約3年。避難指示が解除された区域もあり、記者は単独で再び福島を訪れた。復興はどこまで進んだのか。実態をルポタージュする。

 福島を訪れたのは6日。空は青く透き通る。郡山駅から、3年前と同じルートで太平洋側の浜通りを目指す。阿武隈川を渡り、三春町や二本松市など山間の街を抜ける。時折すれ違う農家の軽トラック。風に揺れる洗濯物。どこにでもある田舎町が続くが、車は確実に、原子力災害対策特措法に基づく原発から半径20㌔圏内の「警戒区域」へ近付いていた。
 県道62号を上り、石平山付近の峠を越え、川俣町に入った時だった。景色が一変した。高さ3㍍はある白い壁。その向こうには黒い物体が積まれる。フレコンバッグの中には放射能による汚染物が詰まっている。
 放射能量が高い川俣町山木屋地区は居住制限区域などに指定されていたが、昨年3月末ですべて解除された。3年前は除染の真っ最中。道端には作業員の「精一杯 誠意いっぱい 除染中」などの言葉が記された水色、黄、ピンクの旗が揺れていたが、今は除染も終わり旗はなかった。
 山木屋地区では今春、小中一貫校が再開される。震災前は89人が通っていたが、町教委によると再開後の通学希望者は10人強。行き場のない汚染物の仮置き場の存在が、故郷への帰還を妨げているかもしれない。
 車は浪江町に入った。ここからは依然線量の高い「帰還困難区域」。人は立ち入れない。しかし浪江町と福島市を結ぶ国道114号の同区域内27㌔区間は、昨年9月20日に一般車両の通行が許可された。前回は許可証を見せて通ったゲートは、警備員が立つだけだった。
 歩行者や二輪車の通行は禁止され、車の窓も開けてはならない。脇道は許可車両以外は入れず、あちこちに鉄柵が置かれる。事実上の一本道だ。この津島地区に、原発事故直後に約8000人の浪江町民が避難した。無情にも、そこに風に流された放射能が降り注いだ。確かな情報を知らされず、多くの人が被ばくした。除染が進まず、屋根を覆うまで伸びた草木が、その残酷な真実を物語っていた。(つづく)
(由本裕貴)

のどかな山間部に設けられた汚染物が積み重なる仮置き場=福島県川俣町で
のどかな山間部に設けられた汚染物が積み重なる仮置き場=福島県川俣町で
徒歩や二輪車通行が禁止されている国道114号から脇道には進めない=浪江町南津島で
徒歩や二輪車通行が禁止されている国道114号から脇道には進めない=浪江町南津島で

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