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「さよなら故郷」② 八橋地区の郵便ポスト

地区内に残されているポスト。右後方が知生山=設楽町八橋で
地区内に残されているポスト。右後方が知生山=設楽町八橋で

 設楽ダムに沈む設楽町八橋地区に、郵便ポストが1つ残されている。人が住んでいない集落にもかかわらず、いまだに投函する人が後を絶たない。現役を続けるポストだが、その役目を終える日も近づいている。
 かつて八橋小学校があった場所のすぐ近く。県道10号・設楽根羽根線沿いに赤いポストが立つ。今月、八橋地区内で最後となった住人も家屋を取り壊し、集落からは人っ子一人いなくなった。それでも、管理する新城郵便局によると、いまだに週に数通の投函があるという。県道は田口と津具をつなぐ道路で、ここを通る人が入れているとみられる。
 新城郵便局は、ポストの撤去の予定について「未定」としながら「設楽ダム建設の工事の進捗状況に合わせて検討していきたい」としている。ダムの完成予定は約10年後だが、ダム湖に沈む八橋では道路の付け替え工事も始まっており、近い将来にこの県道も通れなくなる。撤去の日は刻々と迫っている。
 昔は壁に取り付けられた形だった。地区唯一のポストとして、長年住民の重要な通信手段を担った。試験の願書や恋文…。毎年この時期には、住民らによる年賀状でいっぱいになった。
 投函時に必ず視界に入るのが、その形から「八橋の富士」とも呼ばれる知生山(ちしょうざん)。廃校となった八橋小学校の校歌には「理想は高し 知生山」「心の駒に 鞭打ちて 学びの道を 究(きわ)めなん」とある。
 人々の夢や苦難を受け止め続けたポストを、知生山もずっと見守ってきた。
(由本裕貴)

 設楽ダムに沈む設楽町八橋地区に、郵便ポストが1つ残されている。人が住んでいない集落にもかかわらず、いまだに投函する人が後を絶たない。現役を続けるポストだが、その役目を終える日も近づいている。
 かつて八橋小学校があった場所のすぐ近く。県道10号・設楽根羽根線沿いに赤いポストが立つ。今月、八橋地区内で最後となった住人も家屋を取り壊し、集落からは人っ子一人いなくなった。それでも、管理する新城郵便局によると、いまだに週に数通の投函があるという。県道は田口と津具をつなぐ道路で、ここを通る人が入れているとみられる。
 新城郵便局は、ポストの撤去の予定について「未定」としながら「設楽ダム建設の工事の進捗状況に合わせて検討していきたい」としている。ダムの完成予定は約10年後だが、ダム湖に沈む八橋では道路の付け替え工事も始まっており、近い将来にこの県道も通れなくなる。撤去の日は刻々と迫っている。
 昔は壁に取り付けられた形だった。地区唯一のポストとして、長年住民の重要な通信手段を担った。試験の願書や恋文…。毎年この時期には、住民らによる年賀状でいっぱいになった。
 投函時に必ず視界に入るのが、その形から「八橋の富士」とも呼ばれる知生山(ちしょうざん)。廃校となった八橋小学校の校歌には「理想は高し 知生山」「心の駒に 鞭打ちて 学びの道を 究(きわ)めなん」とある。
 人々の夢や苦難を受け止め続けたポストを、知生山もずっと見守ってきた。
(由本裕貴)

地区内に残されているポスト。右後方が知生山=設楽町八橋で
地区内に残されているポスト。右後方が知生山=設楽町八橋で

カテゴリー:社会・経済

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