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桜丘の生徒らの問いかけに、高い関心を示した児童ら=一宮西部小学校で
桜丘の生徒らの問いかけに、高い関心を示した児童ら=一宮西部小学校で

子どもら「震災を教訓に」

 震災から学ぶ―。「3・11」東日本大震災から7年の経過を機に、そのような姿勢は、大人よりも子どもたちの方が強いと感じた。
 今月12日、豊川市立一宮西部小学校で行われた全校児童参加の防災集会。豊橋市の桜丘中学、桜丘高校の生徒、教員と一緒に、記者も講師として招かれた。
 9日から7回にわたり連載した「フクシマ・ルポ~復興の灯~」で取材した際の福島県内の写真を見せつつ、原発事故からの復興を目指す浪江町などの現状を伝えた。人の生活や夢が奪われた現実の世界に、高学年の児童だけでなく、震災が起きた2011(平成23)年に生まれ、震災の記憶さえない1年生の子たちまでも、熱心にスクリーンを見つめていた。
 桜丘中、桜丘高の生徒らは、毎月11日に実施している募金活動や、夏休みを利用して続ける被災地への視察ツアーを報告。宮城県山元町や気仙沼市に赴いているが、毎回のようにバスの定員に達し、行けない生徒もいるという。現地を見たい、知りたいという高い意識に頭が下がる。
 新聞やテレビ、インターネットで見る被災地と、自らの肉眼で見る被災地は違う。防災意識が高まるだけでなく、価値観が変わる。逆境に負けじと生きている被災者の姿に勇気付けられたり、新たな志を抱くかもしれない。記者も実際、以前勤めていた在京の新聞社で被災地を取材し、「こんな大災害が地元で起きたら」と考え、生まれ育った東三河の新聞社への転職を決めた。
 「みんなが大きくなって、機会があればぜひ被災地に行ってほしい」。桜丘の生徒らと一緒に、そんなメッセージを送った。
 一方、残念なことがあった。9日の豊川市内の全小中学校の給食で、「被災地応援献立」として宮城県産のはっと汁やサケが入った給食が振る舞われた。震災の風化が叫ばれる中、食を通じて関心を高めようと企画。昨年10月にも行ったが、ある保護者から「子どもに東北の食材を食べさせたくない」という抗議が寄せられた。
 放射能汚染への不安から来る意見で、市も食材の放射線量測定で安全であることを説明していなかったが、常識から考えて汚染された食材を使うはずがない。このような大人の過剰な反応や行動が、風評被害を助長させる。東北の被災地への偏見にもつながりかねない。
 未来ある若者や子どもたちこそ、被災地に赴いてほしい。ボランティアに汗を流すことだけが支援ではない。旅行気分でいい。東北のおいしい料理を食べ、土産を買うことも復興支援だ。被災地の人々も、それを望んでいる。
(由本裕貴)

子どもら「震災を教訓に」

 震災から学ぶ―。「3・11」東日本大震災から7年の経過を機に、そのような姿勢は、大人よりも子どもたちの方が強いと感じた。
 今月12日、豊川市立一宮西部小学校で行われた全校児童参加の防災集会。豊橋市の桜丘中学、桜丘高校の生徒、教員と一緒に、記者も講師として招かれた。
 9日から7回にわたり連載した「フクシマ・ルポ~復興の灯~」で取材した際の福島県内の写真を見せつつ、原発事故からの復興を目指す浪江町などの現状を伝えた。人の生活や夢が奪われた現実の世界に、高学年の児童だけでなく、震災が起きた2011(平成23)年に生まれ、震災の記憶さえない1年生の子たちまでも、熱心にスクリーンを見つめていた。
 桜丘中、桜丘高の生徒らは、毎月11日に実施している募金活動や、夏休みを利用して続ける被災地への視察ツアーを報告。宮城県山元町や気仙沼市に赴いているが、毎回のようにバスの定員に達し、行けない生徒もいるという。現地を見たい、知りたいという高い意識に頭が下がる。
 新聞やテレビ、インターネットで見る被災地と、自らの肉眼で見る被災地は違う。防災意識が高まるだけでなく、価値観が変わる。逆境に負けじと生きている被災者の姿に勇気付けられたり、新たな志を抱くかもしれない。記者も実際、以前勤めていた在京の新聞社で被災地を取材し、「こんな大災害が地元で起きたら」と考え、生まれ育った東三河の新聞社への転職を決めた。
 「みんなが大きくなって、機会があればぜひ被災地に行ってほしい」。桜丘の生徒らと一緒に、そんなメッセージを送った。
 一方、残念なことがあった。9日の豊川市内の全小中学校の給食で、「被災地応援献立」として宮城県産のはっと汁やサケが入った給食が振る舞われた。震災の風化が叫ばれる中、食を通じて関心を高めようと企画。昨年10月にも行ったが、ある保護者から「子どもに東北の食材を食べさせたくない」という抗議が寄せられた。
 放射能汚染への不安から来る意見で、市も食材の放射線量測定で安全であることを説明していなかったが、常識から考えて汚染された食材を使うはずがない。このような大人の過剰な反応や行動が、風評被害を助長させる。東北の被災地への偏見にもつながりかねない。
 未来ある若者や子どもたちこそ、被災地に赴いてほしい。ボランティアに汗を流すことだけが支援ではない。旅行気分でいい。東北のおいしい料理を食べ、土産を買うことも復興支援だ。被災地の人々も、それを望んでいる。
(由本裕貴)

桜丘の生徒らの問いかけに、高い関心を示した児童ら=一宮西部小学校で
桜丘の生徒らの問いかけに、高い関心を示した児童ら=一宮西部小学校で

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