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航空宇宙コンサルタントの勝間さんが起業

航空宇宙コンサルタントとして地域産業の活性化に挑む勝間さん=豊橋市内で
航空宇宙コンサルタントとして地域産業の活性化に挑む勝間さん=豊橋市内で

 急速に成長する航空宇宙産業への東三河の企業参入を後押ししようと、機械工学の知識と航空宇宙産業にパイプを持つ豊橋市の勝間亮さん(30)=兵庫県神戸市出身=が、航空宇宙コンサルタントとして起業する。地元企業の関心は薄いが、「宇宙・航空までイメージが結びつかない企業も多い。だが、宇宙開発は確実に進み、興味のある企業はどんどん絡んでいる。ぜひ、今きている波に乗ってほしい」と話す。
 衛星データを活用した利用産業も合わせた国内の宇宙産業の市場規模は1兆2000億円。政府が策定した「宇宙産業ビジョン2030」では、30年代早期に倍増させる目標を掲げる。一方、航空産業では、今後20年間で世界の民間航空機市場が倍増、4万機ほどの代替と新造機の需要が見込まれる。部品点数は、自動車のおよそ100倍と多く、中小企業の潜在力の活用が期待されている。
 愛知県を含む中部地域5県は、国際戦略総合特区「アジアNO1航空宇宙産業クラスター形成特区」の指定を受けて動きを加速。突出した技術がなければ難しい企業単体での受注だけでなく、航空・宇宙関連の仕事を共同受注するため、三重県松阪市では三菱重工と地域が連携する松阪クラスターを設置するほか、地元中小メーカーが集まり精密機械の加工をするエアロスペース飯田(長野県飯田地域)や浜松地域のクラスターなど、地元企業や自治体、大学などで組織をつくり、完成部品の状態で納入する生産体制を構築している。
 一方で、東三河は出遅れる。人工衛星の部品製造を受注する蒲郡製作所(蒲郡市)を中心とした地元企業と愛知工科大学が連携し、超小型衛星を製作する「がまごおり産学官ネットワーク会議」や、衛星打ち上げの資金支援と技術提供をする切削工具メーカー・オーエスジー(豊川市)の取り組みがあるのにとどまる。西三河を含むこの地域にクラスターはなく、動きは鈍い。
 勝間さんは、地元の工業高校卒業後に名古屋工科大学へ進学し機械工学を学ぶ。豊川市の陸上自衛隊を経て、民間企業で輸送機器の設計に携わってきた。30歳の節目に夢だった航空宇宙産業へ参入を決め、1年以上人脈づくりのため国内の航空宇宙機器などの展示会を渡り歩いた。
 航空機部品は、安全が最優先されるため新規参入へのハードルは高い。勝間さんは、航空宇宙関連には欠かせない企業の品質管理認証「JIS Q 9100」や、必要に応じて「Nadcap(国際航空宇宙産業の特殊工程認証プログラム)」などの認証取得を支援するほか、大学と連携した高度な技術者の育成、幅広い分野の技術を持つ地元の中小企業が連携し、一貫生産可能な体制づくりを目指す。
 受注までのプランニングや営業代行、市場調査などを担い、「他のクラスターや地域の企業とも連携して、受注が取れるクラスターをつくり、この三河地域だけで航空宇宙産業を完結させたい」と意気込む。
 課題は、関心の掘り起こし。川崎重工業OBや宇宙システム開発利用推進機構などから講師を招いたサイエンスカフェを企画したり、2月には法人向けのセミナーを開催したりした。東海地方で初となるNASAの衛星データを使ったハッカソンも企画する。
 社名は「Flight Plan Original(フライトプランオリジナル)」。コンサルタントの依頼はメール(info@flightplanoriginal.com)へ。
(飯塚雪)

 急速に成長する航空宇宙産業への東三河の企業参入を後押ししようと、機械工学の知識と航空宇宙産業にパイプを持つ豊橋市の勝間亮さん(30)=兵庫県神戸市出身=が、航空宇宙コンサルタントとして起業する。地元企業の関心は薄いが、「宇宙・航空までイメージが結びつかない企業も多い。だが、宇宙開発は確実に進み、興味のある企業はどんどん絡んでいる。ぜひ、今きている波に乗ってほしい」と話す。
 衛星データを活用した利用産業も合わせた国内の宇宙産業の市場規模は1兆2000億円。政府が策定した「宇宙産業ビジョン2030」では、30年代早期に倍増させる目標を掲げる。一方、航空産業では、今後20年間で世界の民間航空機市場が倍増、4万機ほどの代替と新造機の需要が見込まれる。部品点数は、自動車のおよそ100倍と多く、中小企業の潜在力の活用が期待されている。
 愛知県を含む中部地域5県は、国際戦略総合特区「アジアNO1航空宇宙産業クラスター形成特区」の指定を受けて動きを加速。突出した技術がなければ難しい企業単体での受注だけでなく、航空・宇宙関連の仕事を共同受注するため、三重県松阪市では三菱重工と地域が連携する松阪クラスターを設置するほか、地元中小メーカーが集まり精密機械の加工をするエアロスペース飯田(長野県飯田地域)や浜松地域のクラスターなど、地元企業や自治体、大学などで組織をつくり、完成部品の状態で納入する生産体制を構築している。
 一方で、東三河は出遅れる。人工衛星の部品製造を受注する蒲郡製作所(蒲郡市)を中心とした地元企業と愛知工科大学が連携し、超小型衛星を製作する「がまごおり産学官ネットワーク会議」や、衛星打ち上げの資金支援と技術提供をする切削工具メーカー・オーエスジー(豊川市)の取り組みがあるのにとどまる。西三河を含むこの地域にクラスターはなく、動きは鈍い。
 勝間さんは、地元の工業高校卒業後に名古屋工科大学へ進学し機械工学を学ぶ。豊川市の陸上自衛隊を経て、民間企業で輸送機器の設計に携わってきた。30歳の節目に夢だった航空宇宙産業へ参入を決め、1年以上人脈づくりのため国内の航空宇宙機器などの展示会を渡り歩いた。
 航空機部品は、安全が最優先されるため新規参入へのハードルは高い。勝間さんは、航空宇宙関連には欠かせない企業の品質管理認証「JIS Q 9100」や、必要に応じて「Nadcap(国際航空宇宙産業の特殊工程認証プログラム)」などの認証取得を支援するほか、大学と連携した高度な技術者の育成、幅広い分野の技術を持つ地元の中小企業が連携し、一貫生産可能な体制づくりを目指す。
 受注までのプランニングや営業代行、市場調査などを担い、「他のクラスターや地域の企業とも連携して、受注が取れるクラスターをつくり、この三河地域だけで航空宇宙産業を完結させたい」と意気込む。
 課題は、関心の掘り起こし。川崎重工業OBや宇宙システム開発利用推進機構などから講師を招いたサイエンスカフェを企画したり、2月には法人向けのセミナーを開催したりした。東海地方で初となるNASAの衛星データを使ったハッカソンも企画する。
 社名は「Flight Plan Original(フライトプランオリジナル)」。コンサルタントの依頼はメール(info@flightplanoriginal.com)へ。
(飯塚雪)

航空宇宙コンサルタントとして地域産業の活性化に挑む勝間さん=豊橋市内で
航空宇宙コンサルタントとして地域産業の活性化に挑む勝間さん=豊橋市内で

カテゴリー:社会・経済

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