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豊橋・葦毛湿原の植生回復作業 日本自然保護大賞で入選

作業後(16年9月3日)の「三の沢」。左手前の白っぽい植物はシラタマホシクサ(豊橋市提供)
作業後(16年9月3日)の「三の沢」。左手前の白っぽい植物はシラタマホシクサ(豊橋市提供)
作業前(12年10月24日)の葦毛湿原内東側の「三の沢」。完全に森となっていた(同)
作業前(12年10月24日)の葦毛湿原内東側の「三の沢」。完全に森となっていた(同)

 豊橋市岩崎町の葦毛湿原(県指定天然記念物)で進められている大規模植生回復作業が、日本自然保護協会の2017(平成29)年度日本自然保護大賞で入選に選ばれ、作業にあたる市教育委員会、ボランティアで協力する団体「豊橋湿原保護の会」「豊橋自然歩道推進協議会」が連名でたたえられた。入選は21件で県内では唯一。
 3月31日には授賞式などが東京都内で開かれたほか、活動などが今月中に日本自然保護協会のウェブサイトに掲載される予定となっている。
 葦毛湿原は、人の手が入らなくなった山の土が雨で湿地や草地に流れ込むなどして森林化し、同センターなどが2012(平成24)年度から大規模植生回復作業を実施している。
 「土壌シードバンクに含まれている植物の埋土種子を活用し、森林化した湿地を再生する」という方法に、考古学の発掘技術を融合させた先進的な作業を行う。
 地表面の土には植物の種子が生きたままの状態で残っており、この埋土種子を活用、発芽せている。発掘で使う重機を使い、木を抜き取り、繁殖したネザサなどの植物の根を除去。発掘調査のように地層を細かく管理し、たい積した土などを薄くはぎ取り、湿地だった頃の地表面に戻して埋土種子を発芽させている。
 21種の植物が絶滅していたが、最も絶滅に近い愛知県絶滅危惧ⅠA類の「カガシラ」、同ⅠB類の「ヒメミミカキグサ」など14種が復活。絶滅寸前だった「カザクルマ」「タムラソウ」も個体数が増加した。
 木を切り、日照が確保されたことでハルリンドウ、ノハナショウブなども開花数が増え、秋の湿原を代表するシラタマホシクサも分布範囲が2倍以上に拡大、森林化したところに湿地が回復している。
 植生回復作業は、大学や県などの専門家らと協議して進められ、市教委文化財センターは「現在の活動をさらに発展させ、大賞の受賞を目指したい」としている。
(中村晋也)

 豊橋市岩崎町の葦毛湿原(県指定天然記念物)で進められている大規模植生回復作業が、日本自然保護協会の2017(平成29)年度日本自然保護大賞で入選に選ばれ、作業にあたる市教育委員会、ボランティアで協力する団体「豊橋湿原保護の会」「豊橋自然歩道推進協議会」が連名でたたえられた。入選は21件で県内では唯一。
 3月31日には授賞式などが東京都内で開かれたほか、活動などが今月中に日本自然保護協会のウェブサイトに掲載される予定となっている。
 葦毛湿原は、人の手が入らなくなった山の土が雨で湿地や草地に流れ込むなどして森林化し、同センターなどが2012(平成24)年度から大規模植生回復作業を実施している。
 「土壌シードバンクに含まれている植物の埋土種子を活用し、森林化した湿地を再生する」という方法に、考古学の発掘技術を融合させた先進的な作業を行う。
 地表面の土には植物の種子が生きたままの状態で残っており、この埋土種子を活用、発芽せている。発掘で使う重機を使い、木を抜き取り、繁殖したネザサなどの植物の根を除去。発掘調査のように地層を細かく管理し、たい積した土などを薄くはぎ取り、湿地だった頃の地表面に戻して埋土種子を発芽させている。
 21種の植物が絶滅していたが、最も絶滅に近い愛知県絶滅危惧ⅠA類の「カガシラ」、同ⅠB類の「ヒメミミカキグサ」など14種が復活。絶滅寸前だった「カザクルマ」「タムラソウ」も個体数が増加した。
 木を切り、日照が確保されたことでハルリンドウ、ノハナショウブなども開花数が増え、秋の湿原を代表するシラタマホシクサも分布範囲が2倍以上に拡大、森林化したところに湿地が回復している。
 植生回復作業は、大学や県などの専門家らと協議して進められ、市教委文化財センターは「現在の活動をさらに発展させ、大賞の受賞を目指したい」としている。
(中村晋也)

作業後(16年9月3日)の「三の沢」。左手前の白っぽい植物はシラタマホシクサ(豊橋市提供)
作業後(16年9月3日)の「三の沢」。左手前の白っぽい植物はシラタマホシクサ(豊橋市提供)
作業前(12年10月24日)の葦毛湿原内東側の「三の沢」。完全に森となっていた(同)
作業前(12年10月24日)の葦毛湿原内東側の「三の沢」。完全に森となっていた(同)

カテゴリー:社会・経済

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