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就労後の適応力も育む「くすのきトマト」栽培

収穫したミニトマトを仕分けする生徒たち=くすのき特別支援学校の温室で
収穫したミニトマトを仕分けする生徒たち=くすのき特別支援学校の温室で

 知的障害の子どもたちが通う豊橋市立くすのき特別支援学校が今年度から、学校の温室で作ったミニトマトを「くすのきトマト」として出荷している。高等部産業科の生徒たちが農業の授業で栽培。卒業後、就職を目指す生徒たちの実習の一つで、さまざまな経験を重ねることが就労後の適応力につながるという。
 開校4年目を迎え、今年度から高等部普通科職業コースが産業科に移行。1~3年生いずれも9人が学んでいる。
 ミニトマトは昨年9月から学校に二つあるうちの温室1棟で水耕栽培し、11月から収穫。地元の種苗会社、農協が栽培に協力している。
 4月6日に豊橋市内の青果市場へ初出荷し、柱五番町の食品スーパー「EQVo!とよはし店」の店頭に並んだ。30パックと多い数ではないが、すぐに完売した。
 4月下旬、2年生の農業実習。温室内では、色づき始め、鈴なりになったミニトマトを生徒たちが丁寧に摘み取っていた。トマトは「良品」の大・中・小と大きさごと、「不良品」などに仕分け。「傷が少しでもあれば不良品」と担当教諭の声が飛ぶ。
 収穫後は、「くすのきトマト」と印字されたシールをハサミで切り、出荷用のパックに貼る作業。A4の紙に並んだ小さなシールを切るのは集中力と根気が必要で、生徒たちは黙々と手を動かした。
 「慎重にゆっくりね」。しばらく様子を見て「縦を切ってから横を切るとやりやすいよ」。担当教諭が声を掛ける。教え合う生徒の姿も見られた。作業を終えた生徒たちは、教諭に報告し、次の指示を受けた。
 一番早く切り終えた男子生徒は「ハサミを使うのが好きで収穫作業も楽しい。事務系の仕事に就きたい」と話す。別の男子生徒は「作ったミニトマトが売られるのはうれしい。シールの切り貼りは普通だけど、農作業は楽しい」と笑顔を見せる。
 授業の最後には、その日の振り返り。目標の達成、自己評価、今後どうするかなどを生徒自身が書き、その内容と授業の様子を踏まえて教諭が1人ずつに助言する。就職後、日報を書いて提出する会社もあり、就職に備えるためでもある。
 教諭らは常に就労を念頭に指導、助言する。その日は、作業服を忘れた生徒もいて「就職したら、作業着がないのは通用しない」とはっきりと言う。
 担当教諭は「生徒たちは製造業、サービス業などいろいろな職に就く。農作業などさまざまな経験をすることで、就労後、仕事にすぐ慣れるなど適応力が高まる」と話す。
 ミニトマトを作って売る。生徒たちは農作業だけでなく、流通などについても学ぶ機会になり、学校は就労に向けて実践的な教育を進めている。
(中村晋也)

 知的障害の子どもたちが通う豊橋市立くすのき特別支援学校が今年度から、学校の温室で作ったミニトマトを「くすのきトマト」として出荷している。高等部産業科の生徒たちが農業の授業で栽培。卒業後、就職を目指す生徒たちの実習の一つで、さまざまな経験を重ねることが就労後の適応力につながるという。
 開校4年目を迎え、今年度から高等部普通科職業コースが産業科に移行。1~3年生いずれも9人が学んでいる。
 ミニトマトは昨年9月から学校に二つあるうちの温室1棟で水耕栽培し、11月から収穫。地元の種苗会社、農協が栽培に協力している。
 4月6日に豊橋市内の青果市場へ初出荷し、柱五番町の食品スーパー「EQVo!とよはし店」の店頭に並んだ。30パックと多い数ではないが、すぐに完売した。
 4月下旬、2年生の農業実習。温室内では、色づき始め、鈴なりになったミニトマトを生徒たちが丁寧に摘み取っていた。トマトは「良品」の大・中・小と大きさごと、「不良品」などに仕分け。「傷が少しでもあれば不良品」と担当教諭の声が飛ぶ。
 収穫後は、「くすのきトマト」と印字されたシールをハサミで切り、出荷用のパックに貼る作業。A4の紙に並んだ小さなシールを切るのは集中力と根気が必要で、生徒たちは黙々と手を動かした。
 「慎重にゆっくりね」。しばらく様子を見て「縦を切ってから横を切るとやりやすいよ」。担当教諭が声を掛ける。教え合う生徒の姿も見られた。作業を終えた生徒たちは、教諭に報告し、次の指示を受けた。
 一番早く切り終えた男子生徒は「ハサミを使うのが好きで収穫作業も楽しい。事務系の仕事に就きたい」と話す。別の男子生徒は「作ったミニトマトが売られるのはうれしい。シールの切り貼りは普通だけど、農作業は楽しい」と笑顔を見せる。
 授業の最後には、その日の振り返り。目標の達成、自己評価、今後どうするかなどを生徒自身が書き、その内容と授業の様子を踏まえて教諭が1人ずつに助言する。就職後、日報を書いて提出する会社もあり、就職に備えるためでもある。
 教諭らは常に就労を念頭に指導、助言する。その日は、作業服を忘れた生徒もいて「就職したら、作業着がないのは通用しない」とはっきりと言う。
 担当教諭は「生徒たちは製造業、サービス業などいろいろな職に就く。農作業などさまざまな経験をすることで、就労後、仕事にすぐ慣れるなど適応力が高まる」と話す。
 ミニトマトを作って売る。生徒たちは農作業だけでなく、流通などについても学ぶ機会になり、学校は就労に向けて実践的な教育を進めている。
(中村晋也)

収穫したミニトマトを仕分けする生徒たち=くすのき特別支援学校の温室で
収穫したミニトマトを仕分けする生徒たち=くすのき特別支援学校の温室で

カテゴリー:社会・経済 / 地域・教育

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