高校野球東愛知大会 豊橋西-半田工業

　２人のタナベコウキが躍動した。豊橋西が今大会から導入された延長タイブレークの激戦の末、８－７で半田工業を下し８年ぶりに夏の勝利を挙げた。３度も追い付く粘りを見せ、エース田邉航基投手（３年）が投打で活躍。名前が同じ読み方の田辺昂己捕手（３年）が延長14回裏にサヨナラ打を決めた。
　３時間15分の熱戦を制した。延長13回から無死一、二塁で再開するタイブレーク。14回表に３点を失うが、あきらめない。その裏、犬塚の右前打で１点を返し、田邉が左中間を破る２点二塁打で７－７の同点。続く岩田が出塁すると盗塁を決め、田辺が中前打で一気に生還した。
　田邉は１－３の９回裏、２死一塁で左翼へ公式戦初本塁打となる同点２ランを放った。延長戦もマウンドを譲らず、変化球を交えた投球で力投。「気持ちだけで投げた。苦しい時こそ、みんなで楽しもうと心掛けた」。合言葉の「必勝」を胸に、最後まであきらめない気持ちが仲間に波及した。３－４の13回裏には岡本がボール球をバットに当てて転がすスクイズを成功させ、再び試合を振り出しに戻した。
　田邉と、最後に試合を決めた捕手田辺は漢字は異なるが、同じ読み方。背が高い田邉は「大きい方」、小柄な田辺は「小さい方」と呼ばれる。田邉をリードした田辺は「頑張って投げていたので、決められてよかった」と振り返った。
　４月に就任した林泰盛監督（37）も「選手がよく頑張った。最初のころはすぐ諦めていたのに。価値ある勝利です」と３カ月での成長をたたえた。
（由本裕貴）

半田工業
００００００１１１０００１３｜７
００００１０００２０００１4X｜８
豊橋西
※延長14回タイブレーク
（半）中村、山下、三浦－山田
（西）田邉－田辺
【本】田邉（西）
　
　豊橋西は５回、田邉の中前打で先制。終盤に逆転されるも、９回裏に田邉の同点２ランで追い付き、延長戦に突入。田邉は14回表、２本の適時打などで３点を勝ち越されたが、その裏、自ら再び２点二塁打で追いつくと、田辺が中前打で試合を決めた。