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社会回顧㊤ 蒲郡と新城で高齢者が犠牲

殺害現場に立ち会う多久容疑者=豊橋市大村町で(12月13日撮影)
殺害現場に立ち会う多久容疑者=豊橋市大村町で(12月13日撮影)

 2016(平成28)年が間もなく暮れる。蒲郡市神ノ郷町の殺人事件や新城市死体遺棄事件など高齢者が犠牲となる事件、そして未成年に対する教員らの不祥事などに揺れ続けた東三河。一方で、5年ぶりに豊橋大村女性殺人事件が解決するなど一定の成果もあった。この1年の事件事故などを3回に分けて振り返る。
 3月10日、ミカン畑が広がるのどかな住宅地に衝撃が走った。蒲郡市神ノ郷町の民家で携帯電話の充電器のコードが首に巻き付けられた状態で農業杉浦加津代さん=当時(73)=が死亡しているのを長男が見つけた。
 杉浦さんは棟続きの2世帯住宅に住み、当時は長男が中国へ出張中、その妻は国内旅行中で、杉浦さんは1人きりのときに襲われた。
 自宅の玄関は施錠されていたが、1階窓ガラスが割られており、何者かが侵入したと見られる。
 「明るくて面倒みのいい人」と近隣住民から慕われていた杉浦さん。まだ解決に至らず、近隣住民に不安を残した。
 過疎地が抱える問題を浮き彫りにしたのは、新城市七郷一色上松の山あいで発生した死体遺棄事件。10月7日、一人暮らしの無職荻野サクコさん=当時(71)=が自宅から約150㍍離れた廃屋で一部が白骨化した状態で発見され、12月までに死体遺棄などの罪で共に住所不定、無職の小久保裕弘、影山友美両被告が起訴された。
 両被告は日ごろ親戚を名乗り行動し、荻野さんの身の回りの世話をする見返りに現金を要求していたと見られる。民家が点在する山あいで、希薄にならざるを得ない人間関係の脆弱(ぜいじゃく)さを浮き彫りにさせた。
 来年1月には影山被告の裁判が名古屋地検豊橋支部で始まる。殺害に至った経緯や動機について解明が待たれる。
 一方で、執念の解決となったのは豊橋市大村町で5年前に起きた殺人事件。
 被害者は大村町の飲食店アルバイト福山生枝さん=当時(53)=で、12月22日、交友関係にあった福岡県小郡市の無職多久英俊被告(52)が殺人と窃盗で起訴された。 
 事件は11年11月27日に発生。多久被告は福山さんの首をタオルで締め付け窒息死させた上、現金3000円とテレビ一式(時価約8000円)を盗んだとされる。
 多久被告は事件の2年ほど前、インターネットの会員制サイトを通じて福山さんと知り合い、トラック運転手の仕事で愛知県を訪れる際に何度か会っていたとみられる。
 当初、県警は55人体制で捜査。部屋は荒らされておらず、争った形跡もないことなどから、顔見知りの犯行が高いと判断、福山さんの交友関係者500人以上から聞き取りを進め、警察の執念が実を結んだ。
 
 【1~4月】1月14日、豊橋祇園祭煙火事故(昨年7月)で豊橋署が業務上過失傷害の疑いで手筒花火打上者ら2人を名古屋地検豊橋支部へ送検▽3月7日、豊橋双子虐待死事件で名古屋地裁は父親に懲役15年の判決

 2016(平成28)年が間もなく暮れる。蒲郡市神ノ郷町の殺人事件や新城市死体遺棄事件など高齢者が犠牲となる事件、そして未成年に対する教員らの不祥事などに揺れ続けた東三河。一方で、5年ぶりに豊橋大村女性殺人事件が解決するなど一定の成果もあった。この1年の事件事故などを3回に分けて振り返る。
 3月10日、ミカン畑が広がるのどかな住宅地に衝撃が走った。蒲郡市神ノ郷町の民家で携帯電話の充電器のコードが首に巻き付けられた状態で農業杉浦加津代さん=当時(73)=が死亡しているのを長男が見つけた。
 杉浦さんは棟続きの2世帯住宅に住み、当時は長男が中国へ出張中、その妻は国内旅行中で、杉浦さんは1人きりのときに襲われた。
 自宅の玄関は施錠されていたが、1階窓ガラスが割られており、何者かが侵入したと見られる。
 「明るくて面倒みのいい人」と近隣住民から慕われていた杉浦さん。まだ解決に至らず、近隣住民に不安を残した。
 過疎地が抱える問題を浮き彫りにしたのは、新城市七郷一色上松の山あいで発生した死体遺棄事件。10月7日、一人暮らしの無職荻野サクコさん=当時(71)=が自宅から約150㍍離れた廃屋で一部が白骨化した状態で発見され、12月までに死体遺棄などの罪で共に住所不定、無職の小久保裕弘、影山友美両被告が起訴された。
 両被告は日ごろ親戚を名乗り行動し、荻野さんの身の回りの世話をする見返りに現金を要求していたと見られる。民家が点在する山あいで、希薄にならざるを得ない人間関係の脆弱(ぜいじゃく)さを浮き彫りにさせた。
 来年1月には影山被告の裁判が名古屋地検豊橋支部で始まる。殺害に至った経緯や動機について解明が待たれる。
 一方で、執念の解決となったのは豊橋市大村町で5年前に起きた殺人事件。
 被害者は大村町の飲食店アルバイト福山生枝さん=当時(53)=で、12月22日、交友関係にあった福岡県小郡市の無職多久英俊被告(52)が殺人と窃盗で起訴された。 
 事件は11年11月27日に発生。多久被告は福山さんの首をタオルで締め付け窒息死させた上、現金3000円とテレビ一式(時価約8000円)を盗んだとされる。
 多久被告は事件の2年ほど前、インターネットの会員制サイトを通じて福山さんと知り合い、トラック運転手の仕事で愛知県を訪れる際に何度か会っていたとみられる。
 当初、県警は55人体制で捜査。部屋は荒らされておらず、争った形跡もないことなどから、顔見知りの犯行が高いと判断、福山さんの交友関係者500人以上から聞き取りを進め、警察の執念が実を結んだ。
 
 【1~4月】1月14日、豊橋祇園祭煙火事故(昨年7月)で豊橋署が業務上過失傷害の疑いで手筒花火打上者ら2人を名古屋地検豊橋支部へ送検▽3月7日、豊橋双子虐待死事件で名古屋地裁は父親に懲役15年の判決

殺害現場に立ち会う多久容疑者=豊橋市大村町で(12月13日撮影)
殺害現場に立ち会う多久容疑者=豊橋市大村町で(12月13日撮影)

カテゴリー:社会・経済

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