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そこに刻まれた轍 ほのくに幻影物語

カテゴリー:特集

「豊橋臨海鉄道」のために設けられた新幹線の葛原アンダーパス=豊川市伊奈町で
「豊橋臨海鉄道」のために設けられた新幹線の葛原アンダーパス=豊川市伊奈町で
そこに刻まれた轍 ほのくに幻影物語

 かつて東三河には時代の隆盛を誇った今はなき遺産や、立ち消えになった一大構想が存在した。“幻”と化した街の発展の礎や都市計画を振り返ることで、郷愁と共に先人たちの知恵と努力を掘り起こしていく。

①豊橋臨海鉄道

 豊川市伊奈町の若宮八幡者から南へ約300㍍。田畑を貫く東海道新幹線の高架下に「第2葛原BV」というアンダーパスがある。下に道はなく、雑草が生い茂った謎の空間だ。実はここに、一本の鉄道路線が敷かれる計画があった。
 1960年代、地域の開発研究者らでなる東三河工業開発中央専門調査委員会が立案した総合開発計画の一つで、三河湾に臨む地区への鉄鋼業などの産業立地を見込んだ「豊橋臨海鉄道」だ。
 「幻の都市計画~残しておきたい構想案~」(日本都市計画学会中部支部)によると、計画では西小坂井駅から分岐し、東海道新幹線の葛原アンダーパスを通過した後、三河三谷駅へつながる貨物新線の中間地点に「御津浜ヤード」を新設。ここから飯田線、名鉄線に直結する短絡線や渥美半島方面、初期には二川駅から引き込み線を伸ばし、臨海部を環状する構想もあった。
 結局、鉄鋼会社の進出が見送られたため実現しなかったが、臨海線が設置された場合に備えて新幹線には通過口となるアンダーパスが設けられ、今に名残をとどめている。
 現在、蒲郡方面と豊川市中心部を直結する路線はなく、豊橋駅を経由しなければならないが、この臨海鉄道が誕生していたら、蒲郡市民は西小坂井経由で豊川稲荷参拝に赴いたかもしれない。
(由本裕貴)

 かつて東三河には時代の隆盛を誇った今はなき遺産や、立ち消えになった一大構想が存在した。“幻”と化した街の発展の礎や都市計画を振り返ることで、郷愁と共に先人たちの知恵と努力を掘り起こしていく。

①豊橋臨海鉄道

 豊川市伊奈町の若宮八幡者から南へ約300㍍。田畑を貫く東海道新幹線の高架下に「第2葛原BV」というアンダーパスがある。下に道はなく、雑草が生い茂った謎の空間だ。実はここに、一本の鉄道路線が敷かれる計画があった。
 1960年代、地域の開発研究者らでなる東三河工業開発中央専門調査委員会が立案した総合開発計画の一つで、三河湾に臨む地区への鉄鋼業などの産業立地を見込んだ「豊橋臨海鉄道」だ。
 「幻の都市計画~残しておきたい構想案~」(日本都市計画学会中部支部)によると、計画では西小坂井駅から分岐し、東海道新幹線の葛原アンダーパスを通過した後、三河三谷駅へつながる貨物新線の中間地点に「御津浜ヤード」を新設。ここから飯田線、名鉄線に直結する短絡線や渥美半島方面、初期には二川駅から引き込み線を伸ばし、臨海部を環状する構想もあった。
 結局、鉄鋼会社の進出が見送られたため実現しなかったが、臨海線が設置された場合に備えて新幹線には通過口となるアンダーパスが設けられ、今に名残をとどめている。
 現在、蒲郡方面と豊川市中心部を直結する路線はなく、豊橋駅を経由しなければならないが、この臨海鉄道が誕生していたら、蒲郡市民は西小坂井経由で豊川稲荷参拝に赴いたかもしれない。
(由本裕貴)

「豊橋臨海鉄道」のために設けられた新幹線の葛原アンダーパス=豊川市伊奈町で
「豊橋臨海鉄道」のために設けられた新幹線の葛原アンダーパス=豊川市伊奈町で
そこに刻まれた轍 ほのくに幻影物語

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