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宇宙つかってみりん

カテゴリー:特集

#宙三河プロジェクト vol.7
豊増さんに聞く宇宙データ活用術㊤

 今回は宇宙データについての利用方法や素朴な疑問などを記者が、“宇宙オタク”の豊橋市視聴覚教育センターの学芸員・豊増伸治さんにぶつけてみます!!

 -豊増さん、宇宙データってなんですか?
 豊増 宇宙を観測したデータも、宇宙から地球を観測したデータも宇宙データと呼ぶべきですが、最新のビジネスと絡めて、人工衛星で取得した地球のデータを指すことが多いですね。

 -人工衛星の持ち主とその数は?
 豊増 日本だと人工衛星を開発したJAXA(宇宙航空研究開発機構)や大学などです。国連宇宙部によると、これまでに世界各国で打ち上げられた人工衛星は昨年2月時点で7600機(ISS輸送機などの宇宙機を含む)を超えています。地上に回収されたものや、高度が下がって落下したものを除いても、軌道上の衛星は約4400機以上あります。国でいうと米国・ロシアが多く飛ばしていますが、日本も頑張っていますよ。
                
 -一般企業や大学が飛ばしてる?
 豊増 ロケット自体を打ち上げるのはまだまだ国や国際協力ですが、一般企業や大学が「のっけて」もらうことが盛んになっています。米国のスペースX社など、先進的な企業では打上げも始めています。2021年、日本で初めて民間が小型衛星を打ち上げる計画もあるそうです。

 -そもそも人工衛星って地上どれくらいの高さで飛んでますか?
 豊増 いろいろですが、低めのやつは500㌔くらいです。東京-大阪間ほどですかね。

 -わかりやすいです(笑)。それが一番地上から近い?
 豊増 もっと低いのもあります。今年4月に大気圏へ再突入し、機体の大部分は燃え尽きたとみられる中国の宇宙ステーション「天宮一号」は、最後200㌔よりも近くを周回してました。それくらいの低さになると、空気が濃くなるので、どんどんスピードが落ちて大気圏に落ちちゃう恐れがある。厳密に境界線があるわけではないのですが、100㌔から上を宇宙と言っています。低いと空気抵抗があるから長いこと飛んでいられないので、ずっと回っていられる500㌔くらいを普通は飛んでいます。でも、気象衛星「ひまわり」は静止軌道といって、地上から3万6000㌔上空にいます。地球の直径が1万3000㌔としてその3倍くらい上ですね。

 -なんでそんな高いところにあるんですか?
 豊増 人工衛星はくるくると回る遠心力と重力のバランスで飛んでいるから落ちないわけですが、それだと低いものほど、早く回らなくてはならず、500㌔くらいだと地球1周を1時間半ほどで回ることになります。高くなるほどゆっくりになるので、ちょうど地球が1回転する自転と同じスピードで回るところまで高く上げれば、地上から見て、上空の同じところにずっといられることになります。それが静止衛星。通信を中継する衛星とか、地上との位置関係が変わると困るやつは3万6000㌔の静止軌道のところにいます。
         
 -そもそもいつから衛星を飛ばし始めて、実際に衛星画像が利用され始めたのはいつごろですか?
 豊増 1957年にソ連が打ち上げた衛星「スプートニク1号」が人類初です。その直後からなのでもう50年くらいでしょうか。当時は東西冷戦時代、最初は今みたいにデジカメじゃないから、宇宙にカメラを持っていき、写真を撮り、1度地上に戻して現像していたり。さらにバス一台くらいの人工衛星の中で自動的に現像して、スキャナーで読み取り、電波で下ろすみたいな、今では考えられないほど大げさなことをやっていたとか。

【プロフィール】
豊増伸治
1967年豊橋市生まれ。宇宙や熱力学などの難しい本を読みあさり、毎週末には表浜海岸に出かけ星を観察したり、宇宙の番組を見たりして宇宙オタクへとすくすくと成長。94年豊橋技術科学大学大学院物質工学専攻修了。和歌山県美里町のみさと天文台で研究員として勤務する傍ら、同県の高校で非常勤講師や大学の客員助教授などを務め、2013年から豊橋市視聴覚教育センターで学芸員として活躍中。

#宙三河プロジェクト vol.7
豊増さんに聞く宇宙データ活用術㊤

 今回は宇宙データについての利用方法や素朴な疑問などを記者が、“宇宙オタク”の豊橋市視聴覚教育センターの学芸員・豊増伸治さんにぶつけてみます!!

 -豊増さん、宇宙データってなんですか?
 豊増 宇宙を観測したデータも、宇宙から地球を観測したデータも宇宙データと呼ぶべきですが、最新のビジネスと絡めて、人工衛星で取得した地球のデータを指すことが多いですね。

 -人工衛星の持ち主とその数は?
 豊増 日本だと人工衛星を開発したJAXA(宇宙航空研究開発機構)や大学などです。国連宇宙部によると、これまでに世界各国で打ち上げられた人工衛星は昨年2月時点で7600機(ISS輸送機などの宇宙機を含む)を超えています。地上に回収されたものや、高度が下がって落下したものを除いても、軌道上の衛星は約4400機以上あります。国でいうと米国・ロシアが多く飛ばしていますが、日本も頑張っていますよ。
                
 -一般企業や大学が飛ばしてる?
 豊増 ロケット自体を打ち上げるのはまだまだ国や国際協力ですが、一般企業や大学が「のっけて」もらうことが盛んになっています。米国のスペースX社など、先進的な企業では打上げも始めています。2021年、日本で初めて民間が小型衛星を打ち上げる計画もあるそうです。

 -そもそも人工衛星って地上どれくらいの高さで飛んでますか?
 豊増 いろいろですが、低めのやつは500㌔くらいです。東京-大阪間ほどですかね。

 -わかりやすいです(笑)。それが一番地上から近い?
 豊増 もっと低いのもあります。今年4月に大気圏へ再突入し、機体の大部分は燃え尽きたとみられる中国の宇宙ステーション「天宮一号」は、最後200㌔よりも近くを周回してました。それくらいの低さになると、空気が濃くなるので、どんどんスピードが落ちて大気圏に落ちちゃう恐れがある。厳密に境界線があるわけではないのですが、100㌔から上を宇宙と言っています。低いと空気抵抗があるから長いこと飛んでいられないので、ずっと回っていられる500㌔くらいを普通は飛んでいます。でも、気象衛星「ひまわり」は静止軌道といって、地上から3万6000㌔上空にいます。地球の直径が1万3000㌔としてその3倍くらい上ですね。

 -なんでそんな高いところにあるんですか?
 豊増 人工衛星はくるくると回る遠心力と重力のバランスで飛んでいるから落ちないわけですが、それだと低いものほど、早く回らなくてはならず、500㌔くらいだと地球1周を1時間半ほどで回ることになります。高くなるほどゆっくりになるので、ちょうど地球が1回転する自転と同じスピードで回るところまで高く上げれば、地上から見て、上空の同じところにずっといられることになります。それが静止衛星。通信を中継する衛星とか、地上との位置関係が変わると困るやつは3万6000㌔の静止軌道のところにいます。
         
 -そもそもいつから衛星を飛ばし始めて、実際に衛星画像が利用され始めたのはいつごろですか?
 豊増 1957年にソ連が打ち上げた衛星「スプートニク1号」が人類初です。その直後からなのでもう50年くらいでしょうか。当時は東西冷戦時代、最初は今みたいにデジカメじゃないから、宇宙にカメラを持っていき、写真を撮り、1度地上に戻して現像していたり。さらにバス一台くらいの人工衛星の中で自動的に現像して、スキャナーで読み取り、電波で下ろすみたいな、今では考えられないほど大げさなことをやっていたとか。

【プロフィール】
豊増伸治
1967年豊橋市生まれ。宇宙や熱力学などの難しい本を読みあさり、毎週末には表浜海岸に出かけ星を観察したり、宇宙の番組を見たりして宇宙オタクへとすくすくと成長。94年豊橋技術科学大学大学院物質工学専攻修了。和歌山県美里町のみさと天文台で研究員として勤務する傍ら、同県の高校で非常勤講師や大学の客員助教授などを務め、2013年から豊橋市視聴覚教育センターで学芸員として活躍中。

カテゴリー:特集

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