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田原・バイオマス発電の現状と課題㊤ 臨海部に複数社進出か

バイオマス発電の燃料分類図(資源エネルギー庁のホームページから)
バイオマス発電の燃料分類図(資源エネルギー庁のホームページから)

 再生可能エネルギーの固定価格買取制度を盛り込んだ再生可能エネルギー特別措置法(FIT法)を追い風に、太陽光と風力による大規模発電施設が進出、稼働する三河湾沿いの田原市臨海部。立地する施設規模は国内有数とされ、一帯では風車や太陽光パネルが集積。ここ数年で急速な変貌を遂げてきた。その臨海部で新たに、バイオマス発電設備進出の動きが見え始めている。
 山下政良市長は、各界の新春懇談会で“バイオマス発電”について明かし、複数社の進出が見込まれるとのこと。取材に対して「2017(平成29)年度中にも何か動きがあるかもしれない」とも話し、実現すれば環境先進都市としての存在感はさらに高まる。
 日本のバイオマス発電をめぐる現状や課題、再生可能エネルギー事情などを調べた。2回に分けて紹介する。

 ■バイオマス発電
 「バイオマス」とは生物資源の総称で、生ごみや可燃ごみ、木くず、家畜ふん尿、農作物残渣(ざんさ)などを燃料として、燃焼させることで発生する力を利用し、発電する仕組みを「バイオマス発電」と呼ぶ。
資源エネルギー庁の公開資料によれば、廃材を用いる「木質バイオマス発電」と、家畜糞尿や下水泥を用いる「バイオガス発電」などに大別されるが、発電に必要となる対象燃料の分類は幅広い。
 廃棄物などを再利用し、二酸化炭素を増加させない循環型社会に資する構造で、地球環境的にも優しく、国内エネルギー資源の安定供給につながるなどの利点がある。
 反面、燃料類の安定的・効率的な供給体制と調達コストの低減、事業化に必要な環境整備など、いくつかの課題も指摘されている。
 FIT法に基づくバイオマス発電施設は全国的にあり、稼働状況などから主な先進地として北海道や宮崎県を中心とする九州地方に見られる。
 ■法改正で新たな兆候
 現状、FIT法に基づく再生可能エネルギーの設備認定と稼働は太陽光発電の割合が圧倒的。これは太陽光発電が他の再生可能エネルギー設備と比較し、事業化から稼働させるまでの開発時間が短く、設備の導入がしやすい点などが理由として指摘されている。
 このため、経済産業省では今春、従来制度を見直した改正FIT法を施行。
 自然条件に影響されにくく、安定的に運用と発電量が見込まれるバイオマスや地熱、水力などバランスの取れた再生可能エネルギーの導入拡大と普及などが狙いで、日本のエネルギー基本計画の方針を踏まえ、安定供給や経済効率性、環境適合などの観点から定めた「長期エネルギー需給見通し」の考えを根拠に示している。
 日本のエネルギー需給に関する将来像を示した「長期エネルギー需給見通し」では、「バイオマスの積極的な拡大」の推進を目指すため、技術開発や低コスト化による導入実現につながる環境整備の必要性などを目標に捉える。
 関連する法や制度整備が進めば、バイオマス発電施設が脚光を浴び、導入の動きが加速するかもしれない。
(千葉敬也)

 再生可能エネルギーの固定価格買取制度を盛り込んだ再生可能エネルギー特別措置法(FIT法)を追い風に、太陽光と風力による大規模発電施設が進出、稼働する三河湾沿いの田原市臨海部。立地する施設規模は国内有数とされ、一帯では風車や太陽光パネルが集積。ここ数年で急速な変貌を遂げてきた。その臨海部で新たに、バイオマス発電設備進出の動きが見え始めている。
 山下政良市長は、各界の新春懇談会で“バイオマス発電”について明かし、複数社の進出が見込まれるとのこと。取材に対して「2017(平成29)年度中にも何か動きがあるかもしれない」とも話し、実現すれば環境先進都市としての存在感はさらに高まる。
 日本のバイオマス発電をめぐる現状や課題、再生可能エネルギー事情などを調べた。2回に分けて紹介する。

 ■バイオマス発電
 「バイオマス」とは生物資源の総称で、生ごみや可燃ごみ、木くず、家畜ふん尿、農作物残渣(ざんさ)などを燃料として、燃焼させることで発生する力を利用し、発電する仕組みを「バイオマス発電」と呼ぶ。
資源エネルギー庁の公開資料によれば、廃材を用いる「木質バイオマス発電」と、家畜糞尿や下水泥を用いる「バイオガス発電」などに大別されるが、発電に必要となる対象燃料の分類は幅広い。
 廃棄物などを再利用し、二酸化炭素を増加させない循環型社会に資する構造で、地球環境的にも優しく、国内エネルギー資源の安定供給につながるなどの利点がある。
 反面、燃料類の安定的・効率的な供給体制と調達コストの低減、事業化に必要な環境整備など、いくつかの課題も指摘されている。
 FIT法に基づくバイオマス発電施設は全国的にあり、稼働状況などから主な先進地として北海道や宮崎県を中心とする九州地方に見られる。
 ■法改正で新たな兆候
 現状、FIT法に基づく再生可能エネルギーの設備認定と稼働は太陽光発電の割合が圧倒的。これは太陽光発電が他の再生可能エネルギー設備と比較し、事業化から稼働させるまでの開発時間が短く、設備の導入がしやすい点などが理由として指摘されている。
 このため、経済産業省では今春、従来制度を見直した改正FIT法を施行。
 自然条件に影響されにくく、安定的に運用と発電量が見込まれるバイオマスや地熱、水力などバランスの取れた再生可能エネルギーの導入拡大と普及などが狙いで、日本のエネルギー基本計画の方針を踏まえ、安定供給や経済効率性、環境適合などの観点から定めた「長期エネルギー需給見通し」の考えを根拠に示している。
 日本のエネルギー需給に関する将来像を示した「長期エネルギー需給見通し」では、「バイオマスの積極的な拡大」の推進を目指すため、技術開発や低コスト化による導入実現につながる環境整備の必要性などを目標に捉える。
 関連する法や制度整備が進めば、バイオマス発電施設が脚光を浴び、導入の動きが加速するかもしれない。
(千葉敬也)

バイオマス発電の燃料分類図(資源エネルギー庁のホームページから)
バイオマス発電の燃料分類図(資源エネルギー庁のホームページから)

カテゴリー:社会・経済

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