高校野球愛知大会 蒲郡と時習館が初戦突破

　全国高校野球愛知大会は７日、各球場で１、２回戦が行われ、東三河勢は時習館と蒲郡が初戦を突破した。豊橋市民球場では、創部７年目の御津が１－３で一宮工業に敗れ、夏の初勝利はまたも持ち越しとなったが、逆境に負けじと励んできた成果を発揮した。

エース力投も御津は夏の初白星逃す

　今年も白星はつかめなかった。それでも、意地は見せた。
　エース中北航生投手（３年）は初回先頭打者アーチを許すが、球速よりも速く感じる伸びのある速球で７奪三振。５回に追加点を許すが、最少失点にしのぎ無四球で９回を投げ抜いた。８回には２死二塁で小林悠真中堅手（３年）が左中間を破る適時三塁打。春は不調だった１番打者の一打で、スコアボードに待望の得点を刻んだ。
　国道23号バイパス工事のため、豊川市御津町の同校グラウンドはバックネットがあった部分が使用できなくなり、実戦練習はおろか、打球も飛ばせない。それでも、中北が「自分の力不足です」と言ったように、環境を言い訳にせず励んできた。雨の日は教室や50㍍プール下でのティー打撃など、工夫を凝らして練習してきた。
　グラウンド西端の「ＭＩＴＯ」と書かれた垣根も工事の影響で半分が消えた。それでも５月、その垣根部分近くに特設ブルペンを築いた。井澤監督が知人からトラック２台分の土を得て、女子マネジャーが除草し、部員らが造成。仲間との絆と、学校の歴史を象徴するブルペンで投げ続けた中北は「思い出のマウンドです。後輩たちにはもっと練習して競い合ってほしい」と期待した。
（由本裕貴）

▽１回戦
御津
０００００００１０｜１
１０００２０００Ｘ｜３
一宮工
（御）中北－伊藤馨
（一）加納－斉田、竹市
【本】脇田（一）

　御津は２、３、４回と走者を三塁まで進めたが、あと１本が出なかった。８回に１点を返し、９回にも左前打で出塁した伊藤馨が三塁に進んだが、万事休す。中北は３失点ながら完投した。