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豊橋岩西小事件 その後㊤

カテゴリー:特集

 2017(平成29)年秋、豊橋市立岩西小学校で元男性教諭(44)が複数の児童に体罰を加えていた事件。元教諭Fへの地裁判決(懲役1年・執行猶予3年)から1年が経った。Fによる恐怖授業は、子どもたちに大きな影響を与えていた。逆境を乗り越え、絆を深くした子どもたちや父母らの1年半を振り返る。

感情を抑えられない

 2017年11月10日、本紙が「恐怖授業」の見出しで独自リポートしたように、Fは当時の担任学級の2年生児童らを恐怖で支配していた。
 質問に挙手しない子を怒鳴りちらし、机を蹴るなど威圧。算数の授業では児童の頭部を黒板にたたきつけ、三角定規で殴打した。「お前はクラスで一番できない奴だ」などと人格を否定する言葉を浴びせ、時には空き教室となっている別室に連れて行き、罵声を浴びせ続けた。その間、残された子たちは底知れない不安で体を震わせながら、自主学習を命じられた。
 問題の発覚後、Fはすぐに休職。後任の教諭は児童らに親身に寄り添った。精神的ショックで不登校になっていた複数の児童も、しばらくして再び学校に通えるようになった。しかし、子どもたちは確実に負の影響を受けていた。
 2018年4月に迎えた新学期。3年生になった子たちの間で、暴言やけんかが日常的茶飯事となった。感情を抑えられずにすぐに手が出て、女の子が友達の胸ぐらをつかむありさま。やんちゃな男児が転入すると、それに拍車をかけた。体育の授業では、3カ所で同時多発的にけんかが発生し、教諭ら数人で対応に追われる始末。女児の母親は「Fの体罰を見ていたことで、子どもが暴力はやっていいことなんだという考えになってしまったのでは」と話す。
 教諭への不信感も芽生えていた。不登校を経験した女児が両親に悩み事を打ち明けた際、母親が「先生に相談したの」と尋ねると、女児は「どうせ先生に話しても…」と言うようになった。普段の学校生活でも、男児が席を立って歩くなど授業をボイコット。複数の子が担任教諭に「帰れ、帰れ」と言葉を浴びせることもあった。
 女児の母親は「Fのしたことは、私たちが思っていた以上に、子どもたちに大きな影響を与えたと感じる」と話す。それは、学力の面でも言えることだった。(つづく)
(由本裕貴)

 2017(平成29)年秋、豊橋市立岩西小学校で元男性教諭(44)が複数の児童に体罰を加えていた事件。元教諭Fへの地裁判決(懲役1年・執行猶予3年)から1年が経った。Fによる恐怖授業は、子どもたちに大きな影響を与えていた。逆境を乗り越え、絆を深くした子どもたちや父母らの1年半を振り返る。

感情を抑えられない

 2017年11月10日、本紙が「恐怖授業」の見出しで独自リポートしたように、Fは当時の担任学級の2年生児童らを恐怖で支配していた。
 質問に挙手しない子を怒鳴りちらし、机を蹴るなど威圧。算数の授業では児童の頭部を黒板にたたきつけ、三角定規で殴打した。「お前はクラスで一番できない奴だ」などと人格を否定する言葉を浴びせ、時には空き教室となっている別室に連れて行き、罵声を浴びせ続けた。その間、残された子たちは底知れない不安で体を震わせながら、自主学習を命じられた。
 問題の発覚後、Fはすぐに休職。後任の教諭は児童らに親身に寄り添った。精神的ショックで不登校になっていた複数の児童も、しばらくして再び学校に通えるようになった。しかし、子どもたちは確実に負の影響を受けていた。
 2018年4月に迎えた新学期。3年生になった子たちの間で、暴言やけんかが日常的茶飯事となった。感情を抑えられずにすぐに手が出て、女の子が友達の胸ぐらをつかむありさま。やんちゃな男児が転入すると、それに拍車をかけた。体育の授業では、3カ所で同時多発的にけんかが発生し、教諭ら数人で対応に追われる始末。女児の母親は「Fの体罰を見ていたことで、子どもが暴力はやっていいことなんだという考えになってしまったのでは」と話す。
 教諭への不信感も芽生えていた。不登校を経験した女児が両親に悩み事を打ち明けた際、母親が「先生に相談したの」と尋ねると、女児は「どうせ先生に話しても…」と言うようになった。普段の学校生活でも、男児が席を立って歩くなど授業をボイコット。複数の子が担任教諭に「帰れ、帰れ」と言葉を浴びせることもあった。
 女児の母親は「Fのしたことは、私たちが思っていた以上に、子どもたちに大きな影響を与えたと感じる」と話す。それは、学力の面でも言えることだった。(つづく)
(由本裕貴)

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