文字の大きさ

宇宙つかってみりん

カテゴリー:特集

#宙三河プロジェクト  vol.14
勝間さんと山中館長に聞く㊦

バイオロギングデータを活用

 -宇宙に関わりが深い生物の世界と言えばバイオロギングです。

 山中館長 バイオロギングとは、生物に小型の記録計(データロガー)を取り付けることで動作や姿勢、温度、深度、遊泳速度などの行動データを得て、これまで追跡が困難だった海生哺乳類や鳥類、魚類などの自然環境での行動をとらえようとする手法。近年では、位置を判断するGPS(全地球測位システム)センサーを用いて、生物の移動が随時、分かるようになりました。

 勝間 衛星で取得できるデータの観点からはGPSによる個体の位置の把握のほか、行動の意図や周辺環境を探るための情報として、風の強さや向き、降雨、周囲の気温や海面の様子などを知ることが可能です。

 山中館長 当館にあるデジタル地球儀「触れる地球」の中にある、ウミガメ、クジラ、カツオドリなど7種類の生物の移動記録も、バイオロギングで取得した情報の一つ。最近では、オオミズナギドリのバイオロギングデータと衛星による気象データを比較、海鳥の飛翔データから海面近くの風向や風速を推定できることが判明した例もあります。記録計がさらに小型化すれば昆虫などへの利用も広がるでしょう。近年では、画像や音響情報を記録する装置もあり、さらに多機能化が進む期待があります。

 勝間 バイオ(生物)の部分とは離れますが、ログ(記録)を一括でデータとして扱うのはビッグデータの世界。以前もこの連載で紹介しましたが、災害時に国土交通省がGPSを搭載した民間企業の自動車から移動軌跡情報を得て道路の通行可否情報を誰でも閲覧できるようにした「通れるマップ」は、車をロギングしたものです。

 山中館長 科学のバイオロギングがあって、民間のロギング技術も進化してく。技術が発達すると情報で見えるものが多くなり、科学も進むし、それが別の技術に活用されます。

 勝間 ただ、日本は技術開発は得意ですが、産業化が苦手。例えば、前例のない偉業を達成した小惑星探査機「はやぶさ2」は次の計画がない。海外では日本の事例を下敷きに鉱山のような資源開発を見据えた計画を立てる動きがあります。ロギングの分野はIoT技術の進化によって急速に身近なものになったが、あまりにも急に身近になったので理解が追い付いていない分野だと思う。ソニーから業務用マイコンが販売されたりと国内でも大企業を中心に産業化に向けた動きがとられています。 動物の生態を追うかのように製品がいつどこをどんな温度や状態で通ったか、すべてを記録出来るようになりつつあるインパクトを、ぜひ地域企業に武器として活用してもらいたいと思います。

#宙三河プロジェクト  vol.14
勝間さんと山中館長に聞く㊦

バイオロギングデータを活用

 -宇宙に関わりが深い生物の世界と言えばバイオロギングです。

 山中館長 バイオロギングとは、生物に小型の記録計(データロガー)を取り付けることで動作や姿勢、温度、深度、遊泳速度などの行動データを得て、これまで追跡が困難だった海生哺乳類や鳥類、魚類などの自然環境での行動をとらえようとする手法。近年では、位置を判断するGPS(全地球測位システム)センサーを用いて、生物の移動が随時、分かるようになりました。

 勝間 衛星で取得できるデータの観点からはGPSによる個体の位置の把握のほか、行動の意図や周辺環境を探るための情報として、風の強さや向き、降雨、周囲の気温や海面の様子などを知ることが可能です。

 山中館長 当館にあるデジタル地球儀「触れる地球」の中にある、ウミガメ、クジラ、カツオドリなど7種類の生物の移動記録も、バイオロギングで取得した情報の一つ。最近では、オオミズナギドリのバイオロギングデータと衛星による気象データを比較、海鳥の飛翔データから海面近くの風向や風速を推定できることが判明した例もあります。記録計がさらに小型化すれば昆虫などへの利用も広がるでしょう。近年では、画像や音響情報を記録する装置もあり、さらに多機能化が進む期待があります。

 勝間 バイオ(生物)の部分とは離れますが、ログ(記録)を一括でデータとして扱うのはビッグデータの世界。以前もこの連載で紹介しましたが、災害時に国土交通省がGPSを搭載した民間企業の自動車から移動軌跡情報を得て道路の通行可否情報を誰でも閲覧できるようにした「通れるマップ」は、車をロギングしたものです。

 山中館長 科学のバイオロギングがあって、民間のロギング技術も進化してく。技術が発達すると情報で見えるものが多くなり、科学も進むし、それが別の技術に活用されます。

 勝間 ただ、日本は技術開発は得意ですが、産業化が苦手。例えば、前例のない偉業を達成した小惑星探査機「はやぶさ2」は次の計画がない。海外では日本の事例を下敷きに鉱山のような資源開発を見据えた計画を立てる動きがあります。ロギングの分野はIoT技術の進化によって急速に身近なものになったが、あまりにも急に身近になったので理解が追い付いていない分野だと思う。ソニーから業務用マイコンが販売されたりと国内でも大企業を中心に産業化に向けた動きがとられています。 動物の生態を追うかのように製品がいつどこをどんな温度や状態で通ったか、すべてを記録出来るようになりつつあるインパクトを、ぜひ地域企業に武器として活用してもらいたいと思います。

カテゴリー:特集

 PR

PR