採用説明会を動画に 新型コロナで企業を支援

　企業の採用説明会が１日に解禁され、来春卒業の大学生の就職活動が本格的に始まった。新型コロナウイルスの感染拡大の影響で就職説明会や大規模な合同説明会の中止が相次ぎ、企業はインターネットを活用した新卒採用を模索する中、豊橋市の元新卒採用コンサルタントで映像クリエーターの石川真梨さん（28）が、説明会動画の作成と中継サービスを請け負い始めた。プロのカメラマンが撮影した映像を編集し、なるべく早く、安くリリースする。石川さんは「臨時対応策としてだけでなく、今後の採用活動へも生かせる。中小企業にもこの機会に映像に対して親しみを持ってもらいたい」と話している。
　豊橋市駅前大通１の「ＭＵＳＡＳＨｉ　Ｉｎｎｏｖａｔｉｏｎ　Ｌａｂ　ＣＬＵＥ」で３日、自動車部品メーカー「武蔵精密工業」（同市）がウェブサイト上で配信する説明会の動画を撮影した。同社は会社概要を説明したり、学生と直接会って質問を受けたりする説明会を今月は12回、県内や東京、大阪で予定していたが、ほとんどを取りやめた。
　「この時期に説明会が開けないのは痛い。採用に人もお金もかけられる大手に学生を持っていかれないか不安。でも、今回で学生の意識が変わり、ウェブ面接も増えてくると思う。動画なら、遠方の学生や海外で暮らす人にも見てもらえる」と同社人事部の郡山玲さん（46）は前向きに捉える。急きょ必要になった約40分間の動画は３日後、無事、石川さんから届いた。
　石川さんは、大学卒業後に人事コンサルティングを行う東京の採用系ベンチャーに就職。新卒採用の経験がない地方の中小企業の支援や採用で使う映像の制作に携わってきた。２０１８（平成30）年に退職した後は故郷の豊橋市に戻り、社内向けの映像制作を請け負う。
　動画は、経験豊富なカメラマンがワイヤレスマイクとビデオカメラを使って撮影し、石川さんが編集を手掛ける。すでに東京や大阪、名古屋の企業からも相談が寄せられているという。
　数年前から広がりつつあったウェブ上での動画配信形式の説明会。学生側は、遠方からでも参加しやすく、企業側も映像が何度でも利用できるため、採用にかかわる人手や拘束時間を減らせる。さらに石川さんが企画する上で重要視するのは、普段採用に携わらない社員を巻き込むこと。映像を作る過程で心が震えるような経験を共有することで、社員の心が一つになると考える。
　動画作成のほか、説明会の生中継にも対応する。プランは15万円（税別）から。問い合わせは、石川さん（メールアドレスｉｓｈｉｋａｗａｍ.１１３０＠ｇｍａｉｌ．ｃｏｍ）へ。
（飯塚雪）