スギ薬局全店でマスクなど開店時の販売休止

　ドラッグストア大手「スギホールディングス（ＨＤ、大府市）」は10日、展開するスギ薬局の全約１２００店舗で、マスクや消毒液などウイルス関連商品を、開店時には販売しないようにした。ＨＤの広報担当は「従業員の負担などを考え、ベストな方法ではないかもしれないが、販売方法を変えさせていただいた」としている。
　各店舗では開店前、多い日はマスクを買い求める数十人の行列ができていた。これに対し「朝から並べる人だけが買っているから不公平だ」「感染を避けるためのマスクを買うのに、感染しやすい密集状態になっている」などの声が出ていた。また、マスクが無いと店員に暴言を浴びせる例、しつこく在庫状況を尋ねる電話をかける例などもあったという。
　さらに、１人で複数人の待ちスペースを確保する▽行列に割り込む▽大声で会話する▽ごみを捨てていく▽車のアイドリングを続ける▽路上駐車―などのマナー違反などが問題となり、近隣住民から苦情もあって、対応を検討していた。
　この日までに店に張り出されたお知らせによると、今後は入荷があった場合のみ、営業時間内に不定期で販売するとしている。さらに、混乱を避けるため、販売日や時間、在庫状況の問い合わせには答えられない、としている。
　ある店舗をこの日早朝に訪ねたところ、前日まではあった行列が消えていた。マスクを買い求め、簡易椅子や防寒シートを持ち込んだ人々が２月半ばから毎朝、並んでいた。
　同様の動きは全国のドラッグストアチェーンで相次いでいる。業界最大手のツルハＨＤでも一部店舗での開店時マスク販売をやめている。北海道内を中心にドラッグストア「サツドラ」を約２００店を展開するサツドラＨＤ（札幌市）も８日から取りやめた。
　スギＨＤは取材に「スタッフは２カ月以上も大変な目に遭ってきた。だが、処方箋で調剤薬を買い求める客もおり、店を休めない。ご迷惑をおかけするが、このような対応を取ることになった」と話していた。