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あなたの声が、見えない コロナ禍の聴覚障害者㊤

カテゴリー:特集

マスク生活の不自由さや、さくらピアでの相談内容を語る千木良さん=さくらピアで
マスク生活の不自由さや、さくらピアでの相談内容を語る千木良さん=さくらピアで
手話に関する4コマ漫画が掲載された本紙。聴覚障害者から好評だったという
手話に関する4コマ漫画が掲載された本紙。聴覚障害者から好評だったという

口の動きマスクで読めず
ピアカウンセラー「とにかく情報不足」

 「あなたの声が、見えない」。
 新型コロナウイルスの影響で、人々のマスク姿が当たり前になった。そんな中、思わぬ苦労を強いられているのが耳の不自由な人たちだ。人と話す時、手話などに加え、相手の口の動きを読むことが話の内容を理解するのに重要だ。口元が覆われていると、私たちが発する言葉が分からなくなるのだ。豊橋市内在住の聴覚障害者で、ピアカウンセラー(障害のある仲間の相談に乗り、自立支援の援助を行う障害当事者)を務める女性と、手話通訳士から、それぞれ現状を聞いた。

 「とにかく情報が不足していると思う。聞こえる人でも不安なのに、聴覚障害のある人たちはなおさら。必要な情報をたくさん発信していってほしい」。ピアカウンセラーとして同市障害者福祉会館「さくらピア」で相談業務にあたる千木良妙子さん。そして、さくらピア事務長で手話通訳士としても活躍する本田栄子さんだ。

 例えばフードコートに行った時の話。マスクをして、うどん店のレジに向かい、メニューを指さして注文したはずなのに、店員が一生懸命話しかけてくる。困って筆談をしたところ、うどんなのか、そばなのか確認したかったのだという。「マスクをしていなければ簡単に読み取れたのにね」と千木良さん。

 また、スーパーなどに買い物に出かけ、精算時に有料レジ袋が必要かどうか聞かれて筆談したかったものの、自分の後ろに列ができていて「書いて」と言い出せなかったこともあった。

 病院での診察も不安の種だ。筆談が多くなると、医師は簡単な説明だけで終わってしまい、心配になることも多いのだそうだ。「でも、マスクをしている人に『手話だと離れていても会話できるからいいね』といわれたこともありますけどね」と笑う。

 そんな千木良さんは、毎週木曜日にさくらピアで相談事業をしている。現在、相談目的で来館する聴覚障害者は、週平均で3人ほど。感染防止の観点から、今まで以上に相談者との距離を開けて対応している。

 「以前は多かったが、緊急事態宣言後は、皆さんコロナ感染拡大防止のために相談を遠慮している」と千木良さん。年齢層は20代から80代までと幅広く、相談内容はマスクに関するものが多い。「マスクが無い。どこに行ったら買えるのか」「マスクを自分で作ろうと思うが、ゴムが無い」といった内容が大半だ。

 一方で、マスクを買いに出かけたものの「店員による『売り切れ』の声が聞こえず、いつまでも並び続けた」「売り切れた後に買いに行ったが、店員が何を言っているのか分からなかった」などの、切実な体験報告もあった。「マスクに関しては聞こえる人でも情報不足だが、耳の不自由な人はもっと情報が少ないんです」。ブラジル人の、ろう者も相談に訪れた。ローマ字しか書けないので筆談にも苦労しているという。

 ウイルスに関しての相談もあった。感染を疑う場合、どこに問い合わせたらよいのか、どう保健所に連絡したらよいのか分からない人もいる。県は聴覚障害者用の相談窓口も設置、ファクスやメールで受け付けているのだが、「文章を書くのが苦手でファクスを送れない人もいる」といい、問題は深刻だ。

 「どうしても話を聞いてもらいたい」というケースもある。遠くには出られず、家にこもりきりとなった人がストレスに耐えきれず、訪れるのだ。「話し相手がいないというつらさを分かってもらえない」と。ほんの少し話をすれば安心して帰っていくのだという。

 千木良さんは「この状態がいつまで続くのでしょう。不安は募ります」と、ため息をついた。
(田中博子)
(あなたの声が、見えない コロナ禍の聴覚障害者㊦は本紙で)

口の動きマスクで読めず
ピアカウンセラー「とにかく情報不足」

 「あなたの声が、見えない」。
 新型コロナウイルスの影響で、人々のマスク姿が当たり前になった。そんな中、思わぬ苦労を強いられているのが耳の不自由な人たちだ。人と話す時、手話などに加え、相手の口の動きを読むことが話の内容を理解するのに重要だ。口元が覆われていると、私たちが発する言葉が分からなくなるのだ。豊橋市内在住の聴覚障害者で、ピアカウンセラー(障害のある仲間の相談に乗り、自立支援の援助を行う障害当事者)を務める女性と、手話通訳士から、それぞれ現状を聞いた。

 「とにかく情報が不足していると思う。聞こえる人でも不安なのに、聴覚障害のある人たちはなおさら。必要な情報をたくさん発信していってほしい」。ピアカウンセラーとして同市障害者福祉会館「さくらピア」で相談業務にあたる千木良妙子さん。そして、さくらピア事務長で手話通訳士としても活躍する本田栄子さんだ。

 例えばフードコートに行った時の話。マスクをして、うどん店のレジに向かい、メニューを指さして注文したはずなのに、店員が一生懸命話しかけてくる。困って筆談をしたところ、うどんなのか、そばなのか確認したかったのだという。「マスクをしていなければ簡単に読み取れたのにね」と千木良さん。

 また、スーパーなどに買い物に出かけ、精算時に有料レジ袋が必要かどうか聞かれて筆談したかったものの、自分の後ろに列ができていて「書いて」と言い出せなかったこともあった。

 病院での診察も不安の種だ。筆談が多くなると、医師は簡単な説明だけで終わってしまい、心配になることも多いのだそうだ。「でも、マスクをしている人に『手話だと離れていても会話できるからいいね』といわれたこともありますけどね」と笑う。

 そんな千木良さんは、毎週木曜日にさくらピアで相談事業をしている。現在、相談目的で来館する聴覚障害者は、週平均で3人ほど。感染防止の観点から、今まで以上に相談者との距離を開けて対応している。

 「以前は多かったが、緊急事態宣言後は、皆さんコロナ感染拡大防止のために相談を遠慮している」と千木良さん。年齢層は20代から80代までと幅広く、相談内容はマスクに関するものが多い。「マスクが無い。どこに行ったら買えるのか」「マスクを自分で作ろうと思うが、ゴムが無い」といった内容が大半だ。

 一方で、マスクを買いに出かけたものの「店員による『売り切れ』の声が聞こえず、いつまでも並び続けた」「売り切れた後に買いに行ったが、店員が何を言っているのか分からなかった」などの、切実な体験報告もあった。「マスクに関しては聞こえる人でも情報不足だが、耳の不自由な人はもっと情報が少ないんです」。ブラジル人の、ろう者も相談に訪れた。ローマ字しか書けないので筆談にも苦労しているという。

 ウイルスに関しての相談もあった。感染を疑う場合、どこに問い合わせたらよいのか、どう保健所に連絡したらよいのか分からない人もいる。県は聴覚障害者用の相談窓口も設置、ファクスやメールで受け付けているのだが、「文章を書くのが苦手でファクスを送れない人もいる」といい、問題は深刻だ。

 「どうしても話を聞いてもらいたい」というケースもある。遠くには出られず、家にこもりきりとなった人がストレスに耐えきれず、訪れるのだ。「話し相手がいないというつらさを分かってもらえない」と。ほんの少し話をすれば安心して帰っていくのだという。

 千木良さんは「この状態がいつまで続くのでしょう。不安は募ります」と、ため息をついた。
(田中博子)
(あなたの声が、見えない コロナ禍の聴覚障害者㊦は本紙で)

マスク生活の不自由さや、さくらピアでの相談内容を語る千木良さん=さくらピアで
マスク生活の不自由さや、さくらピアでの相談内容を語る千木良さん=さくらピアで
手話に関する4コマ漫画が掲載された本紙。聴覚障害者から好評だったという
手話に関する4コマ漫画が掲載された本紙。聴覚障害者から好評だったという

カテゴリー:特集

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