豊橋美博でコレクション展

　豊橋市美術博物館でコレクション展「ゆったり、美術館散歩」が開かれている。新型コロナウイルス感染拡大の影響で遠出を控えている人たちに、絵を見て旅気分を味わってもらおうという企画だ。７月12日まで（月曜休館）。
　当初は「山水に遊ぶ」をテーマに準備していたコレクション展だが、コロナ禍で企画を変更した。室内の情景や国内外の風景を描いた日本画や洋画、浮世絵などを展示し、いろいろな場所に足を運んだ気持ちになってもらう内容になっている。作品と作品の間隔を広く空け、鑑賞する際に密にならないよう配慮した。
　部屋ごとにテーマを設けて作品を展示。地元ゆかりの作家作品を中心に、見応えある近現代絵画の数々を並べている。
　第１展示室の「日常にあるやすらぎ」は、散歩の風景や休憩中の農婦、無邪気な子ども、温かい色味で表現した静物など、心癒やされる作品が来館者を出迎える。
　第２展示室の「日本の風景を旅する」は、汐川や吉良といった地元の光景から宇治や桂川、富士山などの豊かな自然と人々の生活からなる美しい日本の原風景が、日本画や洋画、水墨、フレスコなどさまざまな質感の作品で楽しめる。
　そして第３展示室は「世界をめぐる・世界で見出す」。油彩を中心に、欧州からアジアまで、各地の風景、風土を描いた具象画から、情景を見る人の想像力に委ねる抽象画まで並ぶ。
　一方、特別展示室は趣向を変え、「手のなかにある旅―和歌・東海道・地図―」と題する展示。旅日記や旅を詠んだ和歌、古地図や浮世絵などで、遠出が簡単ではなかった江戸時代の「憧れの旅」に関する資料を紹介している。
　ゆったりした空間で、楽しい「心の旅」が過ごせること請け合いだ。一般・大学生４００円、小中高生と豊橋市在住の70歳以上の人は２００円。問い合わせは豊橋市美術博物館（０５３２・51・２８８２）。
【田中博子】