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豊橋市が「楽器寄附ふるさと納税」始める

アルトクラリネットを求めている東部中の吹奏楽部(楽器寄附ふるさと納税のサイトから)
アルトクラリネットを求めている東部中の吹奏楽部(楽器寄附ふるさと納税のサイトから)
楽器を希望している豊城中の生徒(豊橋市教委提供)
楽器を希望している豊城中の生徒(豊橋市教委提供)
豊橋市が「楽器寄附ふるさと納税」始める

豊橋市は、ふるさと納税制度を活用した「楽器寄附ふるさと納税」を始めた。家庭などで使用されなくなった楽器を受け入れ、中学の吹奏楽部などの音楽活動に役立てる。折しも、名作曲家の古関裕而と、現在の豊橋東高で音楽を学んだ妻の金子をモデルにしたNHK連続テレビ小説「エール」を放映中だ。苦労している音楽家の卵たちに、あなたもエールを送っては。
 中学は全体のクラブ活動費が限られており、各校とも楽器不足に悩んでいる。大切に何十年も使い続けている例が多いが、さびが出てきたり、故障したりする例もある。高額の楽器を簡単に買うわけにもいかず、代替の楽器を使ったり、教員が私物を持ってきたりすることもあるという。
 そこで、ふるさと納税に、楽器の現物を提供してもらう三重県いなべ市の取り組みが全国的に有名になった。
 いなべ市の制度は2018年10月から始めたところ、1カ月で約100件の申し込みがあるなど、好評を博した。現在は、豊橋市を含む12自治体が専用サイト「楽器寄附ふるさと納税」=QRコード=で寄贈を求めている。県内では日進市に続いて2例目。
 豊橋市の希望楽器は「クラリネット」(豊岡中など15校)▽「サックス」(章南中など7校)、「チューバ」(青陵中など5校)▽「トロンボーン」(豊城中など5校)▽「オーボエ」(南陵中など5校)-など。
 専用サイトを見るとホルンを希望している南陽中吹奏楽部は「現在使用しているホルンは、30年経過しており、修理を重ねながら使用していますが、音の出しにくさや音程の決まりにくさを感じます」と切実な声を上げている。バストロンボーンの牟呂中は「ケースはあっても楽器がない」。そして「オーケストラの曲の中に必要な場面がありますが、他の楽器で代用するなどして成り立たせています」と訴えた。
チューバの南陽中は「30年経過しており、修理を重ねながら使用していますが、楽器のへこみがひどく、豊かな響きと音量の出しにくさを感じます。コンクールでも低音の弱さを指摘されています。低音強化のためにも、ぜひ、チューバのご寄付を」と呼びかけた。
 市は「思いのこもったあなたの楽器が子どもたちに受け継がれること」「楽器を査定し、その額を控除できること」をアピール。豊橋市民も利用できるとして、広く寄贈を呼びかけている。
 6月30日には、大阪府泉佐野市がふるさと納税の新制度から除外されたのは違法として、総務相に除外取り消しを求めた訴訟の最高裁判決があり、市が逆転勝訴した。ただ、高額な返礼品は最高裁判決も「社会通念上、節度を欠いていたと評価されてもやむをえない」としている。
 豊橋市の楽器のふるさと納税には返礼品はない。あるとすれば子どもたちからの「感謝」だ。「応援したい自治体に寄付する」という制度の原点に立ち返れば、こんな形の寄付がもっと広まってもいいのではないか。
【山田一晶】

豊橋市は、ふるさと納税制度を活用した「楽器寄附ふるさと納税」を始めた。家庭などで使用されなくなった楽器を受け入れ、中学の吹奏楽部などの音楽活動に役立てる。折しも、名作曲家の古関裕而と、現在の豊橋東高で音楽を学んだ妻の金子をモデルにしたNHK連続テレビ小説「エール」を放映中だ。苦労している音楽家の卵たちに、あなたもエールを送っては。
 中学は全体のクラブ活動費が限られており、各校とも楽器不足に悩んでいる。大切に何十年も使い続けている例が多いが、さびが出てきたり、故障したりする例もある。高額の楽器を簡単に買うわけにもいかず、代替の楽器を使ったり、教員が私物を持ってきたりすることもあるという。
 そこで、ふるさと納税に、楽器の現物を提供してもらう三重県いなべ市の取り組みが全国的に有名になった。
 いなべ市の制度は2018年10月から始めたところ、1カ月で約100件の申し込みがあるなど、好評を博した。現在は、豊橋市を含む12自治体が専用サイト「楽器寄附ふるさと納税」=QRコード=で寄贈を求めている。県内では日進市に続いて2例目。
 豊橋市の希望楽器は「クラリネット」(豊岡中など15校)▽「サックス」(章南中など7校)、「チューバ」(青陵中など5校)▽「トロンボーン」(豊城中など5校)▽「オーボエ」(南陵中など5校)-など。
 専用サイトを見るとホルンを希望している南陽中吹奏楽部は「現在使用しているホルンは、30年経過しており、修理を重ねながら使用していますが、音の出しにくさや音程の決まりにくさを感じます」と切実な声を上げている。バストロンボーンの牟呂中は「ケースはあっても楽器がない」。そして「オーケストラの曲の中に必要な場面がありますが、他の楽器で代用するなどして成り立たせています」と訴えた。
チューバの南陽中は「30年経過しており、修理を重ねながら使用していますが、楽器のへこみがひどく、豊かな響きと音量の出しにくさを感じます。コンクールでも低音の弱さを指摘されています。低音強化のためにも、ぜひ、チューバのご寄付を」と呼びかけた。
 市は「思いのこもったあなたの楽器が子どもたちに受け継がれること」「楽器を査定し、その額を控除できること」をアピール。豊橋市民も利用できるとして、広く寄贈を呼びかけている。
 6月30日には、大阪府泉佐野市がふるさと納税の新制度から除外されたのは違法として、総務相に除外取り消しを求めた訴訟の最高裁判決があり、市が逆転勝訴した。ただ、高額な返礼品は最高裁判決も「社会通念上、節度を欠いていたと評価されてもやむをえない」としている。
 豊橋市の楽器のふるさと納税には返礼品はない。あるとすれば子どもたちからの「感謝」だ。「応援したい自治体に寄付する」という制度の原点に立ち返れば、こんな形の寄付がもっと広まってもいいのではないか。
【山田一晶】

アルトクラリネットを求めている東部中の吹奏楽部(楽器寄附ふるさと納税のサイトから)
アルトクラリネットを求めている東部中の吹奏楽部(楽器寄附ふるさと納税のサイトから)
楽器を希望している豊城中の生徒(豊橋市教委提供)
楽器を希望している豊城中の生徒(豊橋市教委提供)
豊橋市が「楽器寄附ふるさと納税」始める

カテゴリー:社会・経済

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