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瞳孔で「L」と「R」の聞き分け判定

試験の様子(豊橋技科大提供)
試験の様子(豊橋技科大提供)

日本人にとって、英語の「L」と「R」の音の聞き分けが難しいことはよく知られている。豊橋技術科学大は、二つの音を聞き分けられているかどうかが、瞳孔(黒目)の大きさを測定することによって判定できるという研究成果をまとめた。日本語と英語だけでなく、母国語に存在しない音の聞き分け全般に応用できるとしており、外国語習得の助けになる可能性がある。
 ネイチャーリサーチ社のオンライン科学ジャーナルで発表した。
 日本人は「Light」と「Right」の違いなど、日本語に無い「L」音の聞き取りが難しく、この結果、発音がうまくできない人が多いとされている。古くは幕末に鎖国の禁を犯して密入国し、捕縛された後に長崎で英語の教師役を務めた米国人ラナルド・マクドナルド(1824~94年)の「日本回想記」の中にも「日本人生徒がLとRの発音の区別に苦労している」との記述がある。
 両音が聞き分けられているかどうかを調べるには、これまではリスニング試験をして、聞き分けているかどうかを回答させる方法しかなかった。いわば「ヤマカン」でも正解になることがあったわけだ。
 そこで、技科大の情報・知能工学系とエレクトロニクス先端融合研究所のチームは、光を調節する機能のほかに、さまざまな認知の状態(興味、恐怖など)を反映することで知られる瞳孔の反応に注目した。
 実験は、被験者に連続して再生される音声を聞いてもらう。「L」を含む英単語が流れるが、時々「R」音の単語が交じる。被験者はただ聞いていればよく、リアクションは求められていない。その状態で、被験者の瞳孔がどのように反応するかをアイトラッカー(高精度なビデオカメラ。赤外線を目に照射して計測する)を使って調べた。
 実験の被験者は20人の日本人学生で21~30歳。事前に「L」「R」の聞き分け能力をテストしたうえで、音声を聞いた瞳孔の反応を測定した。その結果、テストの点が良かったグループは、低かったグループに比べて大きな瞳孔反応を示していることが分かった。逆に、瞳孔反応を事前に調べておけば、聞き分け能力テストの結果が、高い精度で推定できることも分かった。
 日本語と英語だけでなく、英語と中国語など他言語間の関係でも、言語能力を推定する指標になる可能性がある。さらに、聞き流すだけで能力を測定できれば、運動障害や発達障害を持つ人の言語学習に役立てられることが期待される。
 論文の筆頭筆者で同大院博士後期課程1年の金塚裕也さんは「能力に応じて瞳孔の反応が異なったことから、無意識な言語処理の違いも反映されている可能性を示している」とコメントしている。
 研究チームリーダーの中内茂樹教授は「リスニングは本人さえ自覚が難しく、トレーニングのモチベーション低下につながることもあった。この研究で第三者も学習者のリスニング能力を客観的に可視化できるようになった」として、今後は語学だけでなく、音楽などの分野でも聞き分け能力の計測が進むことに期待を示した。
【山田一晶】

日本人にとって、英語の「L」と「R」の音の聞き分けが難しいことはよく知られている。豊橋技術科学大は、二つの音を聞き分けられているかどうかが、瞳孔(黒目)の大きさを測定することによって判定できるという研究成果をまとめた。日本語と英語だけでなく、母国語に存在しない音の聞き分け全般に応用できるとしており、外国語習得の助けになる可能性がある。
 ネイチャーリサーチ社のオンライン科学ジャーナルで発表した。
 日本人は「Light」と「Right」の違いなど、日本語に無い「L」音の聞き取りが難しく、この結果、発音がうまくできない人が多いとされている。古くは幕末に鎖国の禁を犯して密入国し、捕縛された後に長崎で英語の教師役を務めた米国人ラナルド・マクドナルド(1824~94年)の「日本回想記」の中にも「日本人生徒がLとRの発音の区別に苦労している」との記述がある。
 両音が聞き分けられているかどうかを調べるには、これまではリスニング試験をして、聞き分けているかどうかを回答させる方法しかなかった。いわば「ヤマカン」でも正解になることがあったわけだ。
 そこで、技科大の情報・知能工学系とエレクトロニクス先端融合研究所のチームは、光を調節する機能のほかに、さまざまな認知の状態(興味、恐怖など)を反映することで知られる瞳孔の反応に注目した。
 実験は、被験者に連続して再生される音声を聞いてもらう。「L」を含む英単語が流れるが、時々「R」音の単語が交じる。被験者はただ聞いていればよく、リアクションは求められていない。その状態で、被験者の瞳孔がどのように反応するかをアイトラッカー(高精度なビデオカメラ。赤外線を目に照射して計測する)を使って調べた。
 実験の被験者は20人の日本人学生で21~30歳。事前に「L」「R」の聞き分け能力をテストしたうえで、音声を聞いた瞳孔の反応を測定した。その結果、テストの点が良かったグループは、低かったグループに比べて大きな瞳孔反応を示していることが分かった。逆に、瞳孔反応を事前に調べておけば、聞き分け能力テストの結果が、高い精度で推定できることも分かった。
 日本語と英語だけでなく、英語と中国語など他言語間の関係でも、言語能力を推定する指標になる可能性がある。さらに、聞き流すだけで能力を測定できれば、運動障害や発達障害を持つ人の言語学習に役立てられることが期待される。
 論文の筆頭筆者で同大院博士後期課程1年の金塚裕也さんは「能力に応じて瞳孔の反応が異なったことから、無意識な言語処理の違いも反映されている可能性を示している」とコメントしている。
 研究チームリーダーの中内茂樹教授は「リスニングは本人さえ自覚が難しく、トレーニングのモチベーション低下につながることもあった。この研究で第三者も学習者のリスニング能力を客観的に可視化できるようになった」として、今後は語学だけでなく、音楽などの分野でも聞き分け能力の計測が進むことに期待を示した。
【山田一晶】

試験の様子(豊橋技科大提供)
試験の様子(豊橋技科大提供)

カテゴリー:社会・経済 / 地域・教育

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