ダンス公演控えシニア出演者のワークショップ

　世界が注目するダンスカンパニー、ピーピング・トム（ベルギー）のメンバーが、豊橋市の穂の国とよはし芸術劇場プラットで開催するダンス公演「ファーザー」を前に８、９の両日、同劇場でシニア向けのパフォーマンスワークショップを行った。
　ワークショップは演出・振付家のフランク・シャルティエさんが講師を務め、８日には60歳代の市民ら９人が参加した。
　フランクさんは「できるだけ奇妙に歩いて」と日常の何気ない仕草を基にした体の動きを指示。参加者は「こんな激しいダンスをするなんて」と驚きつつ、試行錯誤しながら踊った。
　続いて、演劇性を組み込んだパフォーマンスを要求し、２つのグループに分かれた参加者は、自由な振りで踊りながら、突然倒れたり、けんかを始めたりする演技を開始。フランクさんから「もっとリアルに」と要望されると、感情的に目を見開き、豊かな表情で応えた。
　「ファーザー」は、まちの片隅にひっそりと建つ老人ホームを舞台に、そこで暮らす老人や訪れるさまざまな人の妄想と現実が交錯するミステリアスでユーモアあふれるダンス作品。
　２０１４（平成26）年にドイツで初演して以来、ベルギー、フランスなどで公演。日本ツアーは、世田谷パブリックシアターを皮切りに始まった。
　毎回、現地キャストを起用し、今回も豊橋市や浜松市、名古屋市などから60歳代の男女10人がシニアキャストとして老人ホームで暮らす高齢者の役を演じる。
　ワークショップに参加したシニアキャストの尾崎悦代さん（67）＝豊橋市＝は「この年でこんな経験ができるとは思っていなかった。思ったよりハードで本番が不安だが、精いっぱい頑張りたい」と話した。　
　フランクさんは「日本の文化的なものや体のフィジカルがのぞけた。私たちの作ったフレームに（シニアキャストが）どんな風に動いてくれるのか楽しみ」と期待を寄せている。
　公演は12日午後３時から、プラット主ホールで開演。全席指定で一般が４０００円、24歳以下２０００円、高校生以下１０００円。未就学児は入場不可。購入、問い合わせはプラット（０５３２・39・３０９０）へ。
（飯塚雪）