天然記念物の植物群落保全作業

田原市の黒河湿地

　田原市大久保町の黒河湿地植物群落＝ことば＝で14日、秋の行楽シーズンに備えて市民らが保全作業のため、生い茂った草木を取り除いた。
　黒河湿地は春先に開花するシデコブシのほかヤチヤナギなど貴重な植物が群生し、県の天然記念物に指定されている。いまはシラタマホシクサが見頃を迎えている。
　保全作業は植生保護のため年数回実施している。この日は、市シルバー人材センターに登録する作業員ら15人が参加した。約５５００平方㍍を３日かけ手入れする。
　作業員たちは専門家の助言に従って湿地内に足を踏み入れ、植生を傷付けないよう、慎重な手つきで生い茂ったヨシなどを抜き取った。また、湿地周囲のシデコブシ群生区域では、枝に絡んだツルや伸びた枝をきれいに刈り取った。
【加藤広宣】

黒河湿地植物群落

春のシデコブシや秋のシラタマホシクサなどで知られ、カスミサンショウウオやハッチョウトンボなどの生き物も生息する。周辺の農地や宅地と同じ低地にあり、寒冷地植物のヤチヤナギが育つ珍しい湿地で、１９７１年から県天然記念物に指定されている。