猫は少なくとも75匹か 新城の多頭飼育崩壊問題

　新城市で起きていることが判明した猫の多頭飼育崩壊問題で、この家の60代男性が当初「50匹ぐらい」としていた猫は少なくとも75匹いることが明らかになった。不妊・去勢手術の支援を市に申請するため、男性が数え直して判明した。男性は25日、東愛知新聞の取材に「思っていたより多かった」と話した。
　この家の多頭飼育崩壊は今年８月、市民団体「命にやさしいまちづくり　ハーツ」にかかってきた男性の親族を名乗る女性の電話で発覚した。ハーツと連携する団体「ニャンとかしまい豊川」のメンバーが翌日、内部を確認した際に、男性は50匹と申告していたという。男性は過去に「病気も含め数カ月で40匹以上死んだことがある」と明らかにしている。猫の死体を持ち込む件数が多かったことから、新城市と新城署が、男性方を訪問したこともあるという。
　東愛知新聞の報道を受けて、市は「多頭飼育崩壊救済制度利用取扱要領」を制定した。無料で猫の不妊・矯正手術を受けられる「どうぶつ基金」を利用する。基金は自治体などの申請しか受け付けていない。
　男性は23日、「ニャン豊」のメンバーとともに市役所で市に対する手続きを始めた。そして、申請の必要事項である猫の数を改めて確認し、24日に75匹はいることが分かったという。
　この家の猫は近親交配が進んでいるとみられ、毛並みなどもよく似ている。多頭飼育者の一部は、数十匹の猫に名前をつけて、それを覚えている例があるが、男性はそうではなかった。なついている猫もいるが、人間を見るだけで逃げ回る猫もいて、管理できなかったらしい。男性は「部屋に追い込んで何回も数え直した。ひょっとすると、もう少し多いかもしれない」話した。
　多頭飼育崩壊で50匹以上のケースはまれとされる。男性は不妊・去勢手術の申請手続きを終えたが、認められるかどうかは分からない。また、どうぶつ基金から申請が認められるまで２カ月近くかかったケースもある。市民団体は「さらに繁殖が続き、猫が増える可能性がある」と強い危機感を持っている。
　一方、保護団体やボランティアによる清掃で、家の中はかなり片付いていた。猫たちは棚の上や台所の隅に固まっていた。ただ、トイレの数は圧倒的に少なく、臭気は収まっていない。
【山田一晶】