豊橋美博で「手塚治虫展」開幕

　「鉄腕アトム」「ブラック・ジャック」「火の鳥」などで知られ、「マンガの神様」と称される手塚治虫（１９２８～80年）の業績を多角度から振り返る「手塚治虫展」が３日、豊橋市美術博物館で開幕した。正午から一般公開が始まり、多くのファンが詰めかけた。
　市美術博物館など主催。手塚は17歳で漫画家デビューし、60歳で没するまで第一線で活躍を続けた。個性的な数多くのキャラクター、斬新で中身の濃いストーリーが、今なお子どもから大人まで、世界中の幅広い年代のファンを魅了し続ける。今展は、手塚の手掛けた原稿15万枚の中から厳選した約３００枚を中心に、映像や資料、愛用品などを展示紹介し、作家の思いを伝えている。
　午前の開場式は「密」を防ぎ、屋外で少人数が参加。佐原光一市長ら主催者あいさつの後、関係者のテープカットで開幕した。
　全３章構成。１章では生い立ちや少年時代に描いた昆虫の絵、医師時代の写真などを、２章では「ジャングル大帝」「リボンの騎士」といった代表作を中心に、生原稿やセル画など並べて「漫画家」「アニメーター」としての業績を紹介する。３章は「ふしぎなメルモ」「アドルフに告ぐ」といったメッセージ性の強い作品をピックアップし、「生と死」「医療」「男女」など、手塚が人々に伝えようとしたテーマを探る内容だ。
　２０１１年から全国巡回する手塚展で、今回初登場したのが「ＴＥＺＵＫＡ２０２０」プロジェクトに関する展示。手塚の膨大な作品を記憶したＡＩ（人工知能）がプロットやキャラクターを生み出し、クリエーターらが作品に仕上げた試みをパネル展示し、来場者の関心を集めている。
　「手塚治虫を知る方はもちろん、知らない世代の人たちにぜひ見ていただきたい。マンガの面白さを再発見して」と手塚プロダクションの鈴木美香さん。場内には鉄腕アトムのフィギュア、再現した作業場など撮影スポットも設けた。グッズ販売所も特設され、クリアファイルや貯金箱、図録などが人気を集める。
　展示は11月23日まで。月曜休館。一般・大学生１０００円、小中高生５００円。会期中は豊橋鉄道市内線の１日乗車券が付いたセット券も販売中。
【田中博子】