文字の大きさ

「どうぶつ基金」多頭飼育崩壊の救済例を公開

どうぶつ基金から新城市に送られたチケット
どうぶつ基金から新城市に送られたチケット
病院で手術を受けるため、ケージに入れられた猫=8日
病院で手術を受けるため、ケージに入れられた猫=8日

 新城市の民家で起きた猫の多頭飼育崩壊問題で、公益財団法人「どうぶつ基金」は、無料で不妊・去勢手術を受けられるチケット78枚(78匹分)を発行した。現在、地域猫活動ボランティアグループ「ニャンとかしまい豊川」が、猫を動物病院に運び、手術を受けさせている。基金のホームページ(HP)から、全国を対象にしたチケット発行状況をみると、78匹という数の異常さが分かる。

 基金はHP上で、多頭飼育崩壊の救済例を公開している。2018年から、今年6月16日に申請のあった茨城県かすみがうら市の事例まで55件。チケット発行、手術の実施からその後の経過報告書提出まで時間がかかるため、掲載まで数カ月のタイムラグがある。
 今年に入ってからは公開されているだけで17の事例でチケット発行があった。申請数(手術してほしい猫の数)は計450枚。実際に手術をしたのは376匹。飼い主が数を把握できていなかったり、子猫で手術ができなかったりするケースもあるため申請件数と手術数に差がある。
 1回の発行の平均は26・4枚で、1件あたりの手術した猫の平均は22・1匹。最多申請は、3月27日付の群馬県富岡市と6月16日付のかすみがうら市が同数で45枚だった。公表されている分を見る限り、新城の事例は突出している。
 ただ、中にはチケット申請は13枚だが、飼われていた猫は60匹おり、47匹はボランティアが手術を受けさせていた例(4月、兵庫県太子町)などのほか、飼い主が35匹と思い込み、28匹分のチケットを申請したが、実際には65匹いた例(5月、千葉県太子町)もあった。この時は再度チケット申請し、残りの猫の一部も手術した。また42匹分の手術を申請したが、12匹は子猫で手術できなかった例(5月、埼玉県飯能市)もある。
 事例報告を読むと「雌の野良猫1匹に餌やりをしていたが、寂しそうだったので家で飼い始めたところ増えた」(沖縄県うるま市)、「6年前に雄2匹と雌1匹を保護。手術を考えたが、金銭面的に厳しく、手術できないまま33匹まで増えた」(群馬県安中市)などの報告があり、「最初は雌猫1匹だった」という新城市の事例と重なる。
 基金の事務局は新城市の事例について「最近は50匹以下という傾向が続いていたので、数としては多い」と話す。一方で、飼い主が猫の数を把握できていないという点は、これまでの多くの救済事例と共通するという。担当者は「昨年半ばから自治体による申請しか受け付けていないが、対応にも温度差がある」と話した。
 「ニャン豊」の11日付のブログの報告によると、8日以降、すでに25匹の手術を終えた。ただ、飼い主の男性でも捕まえられない猫が残っており、その猫をどのようにして病院へ運ぶかに頭を悩ませているという。
【山田一晶】

 新城市の民家で起きた猫の多頭飼育崩壊問題で、公益財団法人「どうぶつ基金」は、無料で不妊・去勢手術を受けられるチケット78枚(78匹分)を発行した。現在、地域猫活動ボランティアグループ「ニャンとかしまい豊川」が、猫を動物病院に運び、手術を受けさせている。基金のホームページ(HP)から、全国を対象にしたチケット発行状況をみると、78匹という数の異常さが分かる。

 基金はHP上で、多頭飼育崩壊の救済例を公開している。2018年から、今年6月16日に申請のあった茨城県かすみがうら市の事例まで55件。チケット発行、手術の実施からその後の経過報告書提出まで時間がかかるため、掲載まで数カ月のタイムラグがある。
 今年に入ってからは公開されているだけで17の事例でチケット発行があった。申請数(手術してほしい猫の数)は計450枚。実際に手術をしたのは376匹。飼い主が数を把握できていなかったり、子猫で手術ができなかったりするケースもあるため申請件数と手術数に差がある。
 1回の発行の平均は26・4枚で、1件あたりの手術した猫の平均は22・1匹。最多申請は、3月27日付の群馬県富岡市と6月16日付のかすみがうら市が同数で45枚だった。公表されている分を見る限り、新城の事例は突出している。
 ただ、中にはチケット申請は13枚だが、飼われていた猫は60匹おり、47匹はボランティアが手術を受けさせていた例(4月、兵庫県太子町)などのほか、飼い主が35匹と思い込み、28匹分のチケットを申請したが、実際には65匹いた例(5月、千葉県太子町)もあった。この時は再度チケット申請し、残りの猫の一部も手術した。また42匹分の手術を申請したが、12匹は子猫で手術できなかった例(5月、埼玉県飯能市)もある。
 事例報告を読むと「雌の野良猫1匹に餌やりをしていたが、寂しそうだったので家で飼い始めたところ増えた」(沖縄県うるま市)、「6年前に雄2匹と雌1匹を保護。手術を考えたが、金銭面的に厳しく、手術できないまま33匹まで増えた」(群馬県安中市)などの報告があり、「最初は雌猫1匹だった」という新城市の事例と重なる。
 基金の事務局は新城市の事例について「最近は50匹以下という傾向が続いていたので、数としては多い」と話す。一方で、飼い主が猫の数を把握できていないという点は、これまでの多くの救済事例と共通するという。担当者は「昨年半ばから自治体による申請しか受け付けていないが、対応にも温度差がある」と話した。
 「ニャン豊」の11日付のブログの報告によると、8日以降、すでに25匹の手術を終えた。ただ、飼い主の男性でも捕まえられない猫が残っており、その猫をどのようにして病院へ運ぶかに頭を悩ませているという。
【山田一晶】

どうぶつ基金から新城市に送られたチケット
どうぶつ基金から新城市に送られたチケット
病院で手術を受けるため、ケージに入れられた猫=8日
病院で手術を受けるため、ケージに入れられた猫=8日

カテゴリー:社会・経済

 PR

PR