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インドネシア人農業実習生 田原で育成支援が本格化

トレーニングファームで学んだことを実践する実習生(提供)
トレーニングファームで学んだことを実践する実習生(提供)
田原市には多くのインドネシア人が実習に訪れる=マーコ農場で
田原市には多くのインドネシア人が実習に訪れる=マーコ農場で

 田原市に在留するインドネシア人農業技能実習生を対象に、現地の農業を担う人材育成支援が本格化した。2019年度からNPO法人渥美半島まちづくり推進機構(通称・ウィズ、渡会一昭理事長)が市内の施設園芸農家と協力し、ジャワ島のバトゥ市に学んだことを実践する現地農場を開設。今月には実践を終えた初の人材が再来日し、今後数年で技能を向上させ、資金を蓄えて夢の起業に備える。

 施設園芸が盛んな田原市には1000人を超える外国人農業技能実習生が母国での起業を夢見て研修に励む。一方、帰国後に日本での経験を生かせない実情を現地の非営利団体を通じて伝えられている。このため、トレーニングのための農場整備など本格支援が必要となった。
 21年度までの3カ年で日本国際協力財団の助成を受け、開墾した約1㌶にフレーム施設を備えたトレーニング農場「フルサトファーム」を開所した。育成プログラムでは約3カ月を日本で実習、その後約1年はトレーニング農場で実践に取り組む。さらに、再来日して実習先で数年間働いて資金を蓄えたり、さらなる技能向上を図ったりする。
 トレーニング農場では実習生が日本で学んだイチゴやメロン、ミニトマトや野菜の栽培に取り組んでいる。標高約1000㍍に位置するバトゥ市は大半が山の斜面にある。温暖な気候の田原市とは気候も栽培条件も大幅に異なる。
 山間地の風土に合った品種選択や栽培方法が不可欠となり、現地派遣スタッフの直接指導や実習先の恩師によるオンラインでの助言が頼りだ。日本で学んだ作物のほか、トウガラシや特産のリンゴに挑戦するなど試行錯誤は続く。
 10年近くインドネシア人実習生を受け入れるマーコ(保美町)の青山房生会長は、「今はオンラインでの画像や動画のやり取りで十分対応できる」と話し、教え子たちからSNSで報告や相談を受けている。指導方針は「こちらから教えないこと」と青山会長。日本では、作物の育て方や病害虫対策、土壌づくりに必要な有機系肥料の種類を数通り教えただけという。「乾季と雨期がある現地で学んだ知識をどうアレンジするかだ。複数の仲間とどこに問題があるのかを考える。簡単に正解を教えない」ことで成長を促す。
 支援プログラムの展望について「大量生産に向かない山間地では自然を生かした農法で付加価値を高めることが不可欠だ。農薬や化学肥料による効率重視で日本の農業が忘れかけたものを思い出させてくれる」と期待を込める。
【加藤広宣】

 田原市に在留するインドネシア人農業技能実習生を対象に、現地の農業を担う人材育成支援が本格化した。2019年度からNPO法人渥美半島まちづくり推進機構(通称・ウィズ、渡会一昭理事長)が市内の施設園芸農家と協力し、ジャワ島のバトゥ市に学んだことを実践する現地農場を開設。今月には実践を終えた初の人材が再来日し、今後数年で技能を向上させ、資金を蓄えて夢の起業に備える。

 施設園芸が盛んな田原市には1000人を超える外国人農業技能実習生が母国での起業を夢見て研修に励む。一方、帰国後に日本での経験を生かせない実情を現地の非営利団体を通じて伝えられている。このため、トレーニングのための農場整備など本格支援が必要となった。
 21年度までの3カ年で日本国際協力財団の助成を受け、開墾した約1㌶にフレーム施設を備えたトレーニング農場「フルサトファーム」を開所した。育成プログラムでは約3カ月を日本で実習、その後約1年はトレーニング農場で実践に取り組む。さらに、再来日して実習先で数年間働いて資金を蓄えたり、さらなる技能向上を図ったりする。
 トレーニング農場では実習生が日本で学んだイチゴやメロン、ミニトマトや野菜の栽培に取り組んでいる。標高約1000㍍に位置するバトゥ市は大半が山の斜面にある。温暖な気候の田原市とは気候も栽培条件も大幅に異なる。
 山間地の風土に合った品種選択や栽培方法が不可欠となり、現地派遣スタッフの直接指導や実習先の恩師によるオンラインでの助言が頼りだ。日本で学んだ作物のほか、トウガラシや特産のリンゴに挑戦するなど試行錯誤は続く。
 10年近くインドネシア人実習生を受け入れるマーコ(保美町)の青山房生会長は、「今はオンラインでの画像や動画のやり取りで十分対応できる」と話し、教え子たちからSNSで報告や相談を受けている。指導方針は「こちらから教えないこと」と青山会長。日本では、作物の育て方や病害虫対策、土壌づくりに必要な有機系肥料の種類を数通り教えただけという。「乾季と雨期がある現地で学んだ知識をどうアレンジするかだ。複数の仲間とどこに問題があるのかを考える。簡単に正解を教えない」ことで成長を促す。
 支援プログラムの展望について「大量生産に向かない山間地では自然を生かした農法で付加価値を高めることが不可欠だ。農薬や化学肥料による効率重視で日本の農業が忘れかけたものを思い出させてくれる」と期待を込める。
【加藤広宣】

トレーニングファームで学んだことを実践する実習生(提供)
トレーニングファームで学んだことを実践する実習生(提供)
田原市には多くのインドネシア人が実習に訪れる=マーコ農場で
田原市には多くのインドネシア人が実習に訪れる=マーコ農場で

カテゴリー:社会・経済

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