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保護猫50匹と暮らす漫画家

タブレットで漫画を描く鈴尾さん。猫がまとわりつく=豊橋市内で
タブレットで漫画を描く鈴尾さん。猫がまとわりつく=豊橋市内で
鈴尾さんが面倒をみる猫
鈴尾さんが面倒をみる猫
ブログに掲載した漫画の一場面
ブログに掲載した漫画の一場面

 豊橋市内で保護猫50匹と生活する女性がいる。漫画家、鈴尾粥さん。現在は、5年半以上続いた漫画の連載が終了し、会社員生活をしながら新連載を模索している。自宅で話を聞いた。
 市内の市街地の一角にある2階建ての住宅。ドアを開けると玄関に段ボール箱が山積みになっていた。漫画を読んでくれた猫の支援者が送ってくれた餌や猫砂などだという。近況を知らせるSNSに反応し、全国各地から届く。
 漫画のタイトルは「猫嫌いの家に生まれた猫好きが猫と暮らす絵日記」。2013年10月から19年5月まで週1回、290話を漫画アプリ「comico」で描き続けた。現在は書籍化されて「猫絵日記」「ほしねこ」のタイトルでPHP文庫から発売されている。
 案内されたリビングは数匹の猫がいた。家は4LDKあるが、すべての部屋を猫が占拠している。「私専用の部屋はないです」と鈴尾さんは笑った。
 見知らぬ記者が部屋に入ってきたため、ほとんどの猫が警戒したが、1匹だけ足元にまつわりついて、のどをゴロゴロ鳴らす猫がいた。相談を受けて、新潟県まで出向いて引き取ってきたという。
 漫画にあるように、犬も鳥もハムスターも飼ったことがあったが、母を中心に家族が猫嫌いで猫だけは飼えなかった。インターネットで猫の画像を見るうち、今でも保健所で殺処分があり、捨て猫や野良猫の実情を知って、猫と暮らすために家を出た。
 大学でイラストを学び、食品会社で商品のデザインをしていたが、保護猫活動を始めた。東三河は野良猫が多いとされる。「猫捨て場」と呼ばれる何箇所もある公園で、捕獲器を仕掛け、不妊・去勢手術をして、また元の場所に戻し、餌をやるTNR活動を続けた。テレビの収録中に捨て猫を見つけ、警察を呼ぶシーンが放映されたこともある。それらの様子をブログに漫画で描き続けた結果、comico担当の目に止まり、漫画家デビューした。
 一時は70匹まで増えたが、現在は新たな猫の受け入れはしていない。新しい飼い主が現れれば引き渡すが、成猫は人気がない。「私が最後まで看取る覚悟です」と鈴尾さん。
 現在は建設コンサルタント「穂の国エンジニアリング」(本社・浜松市)の豊橋市の事務所でデザインなどを担当しながら企業のPR漫画などを手掛ける。
 最近、ペンネームを変えた。「鈴崗ユウ」を名乗る。これを期に、再び猫などの連載を始めたいと思っている。「飼い主のいない猫の実態をもっと知ってもらいたい」と話す。そしてボランティアを考える人に「無理をせず、保護を手伝ったり、譲渡会に出たりと、できる範囲で」と呼びかけた。
【山田一晶】

 豊橋市内で保護猫50匹と生活する女性がいる。漫画家、鈴尾粥さん。現在は、5年半以上続いた漫画の連載が終了し、会社員生活をしながら新連載を模索している。自宅で話を聞いた。
 市内の市街地の一角にある2階建ての住宅。ドアを開けると玄関に段ボール箱が山積みになっていた。漫画を読んでくれた猫の支援者が送ってくれた餌や猫砂などだという。近況を知らせるSNSに反応し、全国各地から届く。
 漫画のタイトルは「猫嫌いの家に生まれた猫好きが猫と暮らす絵日記」。2013年10月から19年5月まで週1回、290話を漫画アプリ「comico」で描き続けた。現在は書籍化されて「猫絵日記」「ほしねこ」のタイトルでPHP文庫から発売されている。
 案内されたリビングは数匹の猫がいた。家は4LDKあるが、すべての部屋を猫が占拠している。「私専用の部屋はないです」と鈴尾さんは笑った。
 見知らぬ記者が部屋に入ってきたため、ほとんどの猫が警戒したが、1匹だけ足元にまつわりついて、のどをゴロゴロ鳴らす猫がいた。相談を受けて、新潟県まで出向いて引き取ってきたという。
 漫画にあるように、犬も鳥もハムスターも飼ったことがあったが、母を中心に家族が猫嫌いで猫だけは飼えなかった。インターネットで猫の画像を見るうち、今でも保健所で殺処分があり、捨て猫や野良猫の実情を知って、猫と暮らすために家を出た。
 大学でイラストを学び、食品会社で商品のデザインをしていたが、保護猫活動を始めた。東三河は野良猫が多いとされる。「猫捨て場」と呼ばれる何箇所もある公園で、捕獲器を仕掛け、不妊・去勢手術をして、また元の場所に戻し、餌をやるTNR活動を続けた。テレビの収録中に捨て猫を見つけ、警察を呼ぶシーンが放映されたこともある。それらの様子をブログに漫画で描き続けた結果、comico担当の目に止まり、漫画家デビューした。
 一時は70匹まで増えたが、現在は新たな猫の受け入れはしていない。新しい飼い主が現れれば引き渡すが、成猫は人気がない。「私が最後まで看取る覚悟です」と鈴尾さん。
 現在は建設コンサルタント「穂の国エンジニアリング」(本社・浜松市)の豊橋市の事務所でデザインなどを担当しながら企業のPR漫画などを手掛ける。
 最近、ペンネームを変えた。「鈴崗ユウ」を名乗る。これを期に、再び猫などの連載を始めたいと思っている。「飼い主のいない猫の実態をもっと知ってもらいたい」と話す。そしてボランティアを考える人に「無理をせず、保護を手伝ったり、譲渡会に出たりと、できる範囲で」と呼びかけた。
【山田一晶】

タブレットで漫画を描く鈴尾さん。猫がまとわりつく=豊橋市内で
タブレットで漫画を描く鈴尾さん。猫がまとわりつく=豊橋市内で
鈴尾さんが面倒をみる猫
鈴尾さんが面倒をみる猫
ブログに掲載した漫画の一場面
ブログに掲載した漫画の一場面

カテゴリー:社会・経済

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