田原で中学生向け地域バレークラブ組織化へ

　田原市内の中学生を対象にした地域バレーボールクラブ「ペニンシュラ渥美ＶＣ」が、来年度から新たな運営手法で改革に乗り出す。個人のボランティア精神に頼る従来の手法を改め、無理なく運営できるよう組織化した。制約が増える学校の部活動に代わる受け皿として市も期待を寄せている。
　高校進学後も競技を続けてもらおうと、２０１５年度に発足した。３年生が部活を引退する毎年８月から３月まで活動する。当初は受験を考慮し11月までだったが、生徒らの要望で年度末までに改めた。
　今年度はバレー部のある田原、東部、赤羽根、泉、福江の５校から全学年男女45人が参加する。月２回の練習は各校体育館や公共体育館を利用する。どの地域からも無理なく通えるよう、会場は固定化せず持ち回りだ。
　現役教員を中心に、競技・指導歴のある経験者が指導する。高校や大学で競技を続けるクラブＯＢも参加する。20人を確保し、常時６人以上での指導が可能になった。指導者で教員の清田大治さん（60）は「競技力の底上げにより普及拡大につながれば」と話す。
　練習で使うネットは高校規格、球速や球威も「１ランク上」の練習を採り入れた。清田美穂さん（福江）は「強いサーブが打て、基礎も身に付いた」と、田中典真さん（同）は「他校のライバルと競えるのが励み。たくさんのコーチからもらう助言が参考になる」と成長を実感した様子だ。
　東三河は１９６０年代からバレーが盛んな地域だった。清田さんは「地域クラブの落とし穴は、管理や統制された組織的な運営がない点だ」と指摘する。個人のボランティアに依存する運営手法が持続的な活動を妨げているという。
　クラブでは発足時から組織的な運営を模索してきた。３年前から事務局を務める鵜飼孝行さん（47）は「ボランティア運営では個人の熱意に依存しすぎだ。一代限りで方針が変わっては、生徒がかわいそうだ」と説明する。
　来年度からは会費制度を導入し、施設利用料や応急セット購入のほか、少額だが指導員報酬も確保したい考えだ。こうした取り組みに市も「将来的に、部活動の制約は増えるだろう。新たな受け皿になってほしい」と期待する。
【加藤広宣】