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組織的に偽造か

「説明責任を果たしてほしい」と述べる大村知事
「説明責任を果たしてほしい」と述べる大村知事
会見する高須氏(4日)
会見する高須氏(4日)

大村知事リコール署名

 大村秀章知事の解職(リコール)を求め、美容外科「高須クリニック」の高須克弥院長らが主導する団体が県選管に提出した署名簿に、偽造が疑われる大量の署名が含まれていた問題で、多くのアルバイトが、佐賀市で愛知県民の名簿をリコール署名簿に書き写させていたと16日、中日新聞が報じた。大村知事は取材に応じ「組織的に不正をしていたとしか考えられない」などと厳しく批判した。
 同紙の報道などによると、名古屋市の広告関連会社の下請け会社が、人材派遣会社を通じてアルバイトを募集。佐賀市で昨年10月の複数日、多くのアルバイトが集められ、貸会議室で名簿の束を手渡されたうえ、高須院長や河村市長の写真が載った署名簿に、名前や住所、生年月日を書き写したという。アルバイト代は時給950円か900円。数時間単位での作業で交通費500円が支給され、「携帯は勤務時間中はご利用できません」などの注意があったという。署名簿には印鑑か母印を押す欄があるが、空白のまま提出していたとしている。
 当初は、一部の署名運動の受任者がでっちあげていたと思われていたが、アルバイト代や会場設営費などの資金が投じられており、組織的な不正があった可能性がある。また、住所などが公開されている首長や地方議員も「勝手に名前を使われた」として、告発する人が相次いでいる。
 高須院長はこの日のツイッターで「初めて聞いた。本当かね?何で佐賀県なんだ?こりゃプロの仕事だね。僕たちが愛知県で行っていたリコール運動とは全く異なる組織の仕事のようだ」などとツイートした。
 発端は2019年に開かれた国際芸術祭「あいちトリエンナーレ」の展示内容。高須院長や名古屋市の河村たかし市長らが主導する団体が、実行委員長だった大村知事のリコールを求める署名43万5334筆を集め、県選管に提出した。しかし選管による調査の結果、署名の83・2%が無効と判定され、うち90%が複数の同一人物によって書かれたと疑われることがわかっている。県選管は15日、県警に刑事告発し、受理されていた。
 大村知事は16日「新聞を見て衝撃を受け、驚いた」と述べ「これだけ多くの無効署名が出たことは、組織的に不正をしていたとしか考えられない。これは民主主義への挑戦であり脅威だ。捜査当局は今後の捜査で全容を解明してもらいたい。主導した高須院長、河村市長も説明責任がある」と厳しい口調で語った。
 一方、県選管は告発の詳細について「今後の捜査に支障を及ぼすことも考えられるので、現時点では答えられない」としているが、加藤茂委員長は「県内の市区町村選管の協力で署名簿の内容を調査したが、本人以外の者によって大量の署名が偽造された疑いがあると判断し、告発に踏み切った。民主主義の根幹を揺るがすことにつながりかねず、看過できない」と述べた。また「県選管として事態を重く受け止め、直接請求制度が適切に運用されるよう、調査の内容を踏まえた検討を進め、現行制度の問題点や課題などを整理したい」との談話を発表した。
 一方、高須院長は何者かが運動を妨害するために偽署名を紛れ込ませたなどとして、地方自治法違反容疑で告発状を弁護士を通じ、名古屋地検に郵送したという。
(後藤康之)

大村知事リコール署名

 大村秀章知事の解職(リコール)を求め、美容外科「高須クリニック」の高須克弥院長らが主導する団体が県選管に提出した署名簿に、偽造が疑われる大量の署名が含まれていた問題で、多くのアルバイトが、佐賀市で愛知県民の名簿をリコール署名簿に書き写させていたと16日、中日新聞が報じた。大村知事は取材に応じ「組織的に不正をしていたとしか考えられない」などと厳しく批判した。
 同紙の報道などによると、名古屋市の広告関連会社の下請け会社が、人材派遣会社を通じてアルバイトを募集。佐賀市で昨年10月の複数日、多くのアルバイトが集められ、貸会議室で名簿の束を手渡されたうえ、高須院長や河村市長の写真が載った署名簿に、名前や住所、生年月日を書き写したという。アルバイト代は時給950円か900円。数時間単位での作業で交通費500円が支給され、「携帯は勤務時間中はご利用できません」などの注意があったという。署名簿には印鑑か母印を押す欄があるが、空白のまま提出していたとしている。
 当初は、一部の署名運動の受任者がでっちあげていたと思われていたが、アルバイト代や会場設営費などの資金が投じられており、組織的な不正があった可能性がある。また、住所などが公開されている首長や地方議員も「勝手に名前を使われた」として、告発する人が相次いでいる。
 高須院長はこの日のツイッターで「初めて聞いた。本当かね?何で佐賀県なんだ?こりゃプロの仕事だね。僕たちが愛知県で行っていたリコール運動とは全く異なる組織の仕事のようだ」などとツイートした。
 発端は2019年に開かれた国際芸術祭「あいちトリエンナーレ」の展示内容。高須院長や名古屋市の河村たかし市長らが主導する団体が、実行委員長だった大村知事のリコールを求める署名43万5334筆を集め、県選管に提出した。しかし選管による調査の結果、署名の83・2%が無効と判定され、うち90%が複数の同一人物によって書かれたと疑われることがわかっている。県選管は15日、県警に刑事告発し、受理されていた。
 大村知事は16日「新聞を見て衝撃を受け、驚いた」と述べ「これだけ多くの無効署名が出たことは、組織的に不正をしていたとしか考えられない。これは民主主義への挑戦であり脅威だ。捜査当局は今後の捜査で全容を解明してもらいたい。主導した高須院長、河村市長も説明責任がある」と厳しい口調で語った。
 一方、県選管は告発の詳細について「今後の捜査に支障を及ぼすことも考えられるので、現時点では答えられない」としているが、加藤茂委員長は「県内の市区町村選管の協力で署名簿の内容を調査したが、本人以外の者によって大量の署名が偽造された疑いがあると判断し、告発に踏み切った。民主主義の根幹を揺るがすことにつながりかねず、看過できない」と述べた。また「県選管として事態を重く受け止め、直接請求制度が適切に運用されるよう、調査の内容を踏まえた検討を進め、現行制度の問題点や課題などを整理したい」との談話を発表した。
 一方、高須院長は何者かが運動を妨害するために偽署名を紛れ込ませたなどとして、地方自治法違反容疑で告発状を弁護士を通じ、名古屋地検に郵送したという。
(後藤康之)

「説明責任を果たしてほしい」と述べる大村知事
「説明責任を果たしてほしい」と述べる大村知事
会見する高須氏(4日)
会見する高須氏(4日)

カテゴリー:社会・経済 / 政治・行政

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