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ALSで昨年亡くなった救急救命士に勲章

江向署長から叙勲の伝達を受ける岡村さん㊨
江向署長から叙勲の伝達を受ける岡村さん㊨
届いた勲章など
届いた勲章など
家に残された制服
家に残された制服

瑞宝単光章を長女に伝達

 豊川市の消防司令で、救急救命士として活躍したものの、昨年11月に難病の筋萎縮性側索硬化症(ALS)=ことば=で亡くなった小林秀典さん=為当町仲上=に22日、瑞宝単光章が贈られた。享年59。この日、自宅で江向弘消防署長から、長女の秀美さん(35)ら家族に、勲章とともに伝達された。
 地元の小中学校に通い、高校を卒業後、1979年に消防士を拝命。同期の江向署長は「周囲を引っ張っていくタイプ。熱い男だった」と振り返る。救急救命士の資格を取得するよう指示され、九州の養成所で半年間の訓練を受け、97年に試験に合格、救命士の免許を取った。
 秀美さんによると、小さな頃はほとんど構ってもらえなかった。自分が描いた絵を見てもらおうと、消防署まで連れて行ってもらったこともある。数々の事故現場に出動し、傷病者の搬送を黙々とこなしていた。
 趣味は釣りとゴルフ。特に釣りは「師匠」と呼ばれるほどの腕前で、年上の人も含めて多くの弟子がいた。「ニコニコしながら大きな魚を釣ってきて、刺し身にして食べた」と母清子さん(83)は言う。
 公私ともに充実した毎日を送っていた小林さんの体に異変が生じたのは5~6年前。まず、ボタンがとめられなくなり、ベルトもはめられなくなった。指先が動かなくなったのだ。やがて、食事の膳を下げる際に、何度も茶碗を落として割るようになった。
 職場には隠していたが「装具を身につける際に、後輩に『手伝ってくれ』と頼む場面があった」と、幼稚園時代からの友人で同僚の嶋厚美さん(60)は証言する。やがて腕が上がらなくなるなど病の進行は続き、2019年3月に退職した。
 秀美さんによると、一時は絶望し落ち込んでいたが、家族の励ましで「より良く生きよう」と意識を変えた。家族と一緒に旅行にも行った。「残された人生を楽しんだのではないか」と言う。
 そして入院し、言葉を出せなくなった。秀美さんが「あ」「い」「う」「え」「お」と五十音を1音ずつ話しかけ、反応した文字を連ねて意思の疎通を図った。入院から2カ月後の昨年11月25日、息を引き取った。本人の希望で、人工呼吸器の装着は断っていたという。
 秀美さんは「どんな形でも、少しでも長く生きてほしかった」と振り返る。病気の進行とともに、治療法のないALSのことを数多く学んだ。
 ALSはまだ知らない人が多い。患者は孤独に陥りやすい。「SNSで情報発信してほしい。あなたは決して一人ではない」と呼びかけた。
 今後は、重度の障害のある人向けの訪問事業所を立ち上げることにしている。亡き父との約束だ。
【山田一晶】

筋萎縮性側索硬化症(ALS)

 運動をつかさどる神経に障害が生じて脳の命令がうまく伝わらなくなり、筋肉が弱る難病。徐々に体を動かすのが困難になっていくが、通常は視覚や聴覚は損なわれない。国の統計によると、国内の患者は少なくとも9805人(2018年度末)。昨年7月、ALSの女性患者(当時51歳)から依頼され薬物を投与して殺害したとして、宮城県の医師(42)と東京都の医師(43)が嘱託殺人容疑で逮捕された。

瑞宝単光章を長女に伝達

 豊川市の消防司令で、救急救命士として活躍したものの、昨年11月に難病の筋萎縮性側索硬化症(ALS)=ことば=で亡くなった小林秀典さん=為当町仲上=に22日、瑞宝単光章が贈られた。享年59。この日、自宅で江向弘消防署長から、長女の秀美さん(35)ら家族に、勲章とともに伝達された。
 地元の小中学校に通い、高校を卒業後、1979年に消防士を拝命。同期の江向署長は「周囲を引っ張っていくタイプ。熱い男だった」と振り返る。救急救命士の資格を取得するよう指示され、九州の養成所で半年間の訓練を受け、97年に試験に合格、救命士の免許を取った。
 秀美さんによると、小さな頃はほとんど構ってもらえなかった。自分が描いた絵を見てもらおうと、消防署まで連れて行ってもらったこともある。数々の事故現場に出動し、傷病者の搬送を黙々とこなしていた。
 趣味は釣りとゴルフ。特に釣りは「師匠」と呼ばれるほどの腕前で、年上の人も含めて多くの弟子がいた。「ニコニコしながら大きな魚を釣ってきて、刺し身にして食べた」と母清子さん(83)は言う。
 公私ともに充実した毎日を送っていた小林さんの体に異変が生じたのは5~6年前。まず、ボタンがとめられなくなり、ベルトもはめられなくなった。指先が動かなくなったのだ。やがて、食事の膳を下げる際に、何度も茶碗を落として割るようになった。
 職場には隠していたが「装具を身につける際に、後輩に『手伝ってくれ』と頼む場面があった」と、幼稚園時代からの友人で同僚の嶋厚美さん(60)は証言する。やがて腕が上がらなくなるなど病の進行は続き、2019年3月に退職した。
 秀美さんによると、一時は絶望し落ち込んでいたが、家族の励ましで「より良く生きよう」と意識を変えた。家族と一緒に旅行にも行った。「残された人生を楽しんだのではないか」と言う。
 そして入院し、言葉を出せなくなった。秀美さんが「あ」「い」「う」「え」「お」と五十音を1音ずつ話しかけ、反応した文字を連ねて意思の疎通を図った。入院から2カ月後の昨年11月25日、息を引き取った。本人の希望で、人工呼吸器の装着は断っていたという。
 秀美さんは「どんな形でも、少しでも長く生きてほしかった」と振り返る。病気の進行とともに、治療法のないALSのことを数多く学んだ。
 ALSはまだ知らない人が多い。患者は孤独に陥りやすい。「SNSで情報発信してほしい。あなたは決して一人ではない」と呼びかけた。
 今後は、重度の障害のある人向けの訪問事業所を立ち上げることにしている。亡き父との約束だ。
【山田一晶】

筋萎縮性側索硬化症(ALS)

 運動をつかさどる神経に障害が生じて脳の命令がうまく伝わらなくなり、筋肉が弱る難病。徐々に体を動かすのが困難になっていくが、通常は視覚や聴覚は損なわれない。国の統計によると、国内の患者は少なくとも9805人(2018年度末)。昨年7月、ALSの女性患者(当時51歳)から依頼され薬物を投与して殺害したとして、宮城県の医師(42)と東京都の医師(43)が嘱託殺人容疑で逮捕された。

江向署長から叙勲の伝達を受ける岡村さん㊨
江向署長から叙勲の伝達を受ける岡村さん㊨
届いた勲章など
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家に残された制服
家に残された制服

カテゴリー:社会・経済

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