豊橋の藤田さんが刑務所へピアノ寄贈

　豊橋市馬見塚町にあるギャラリー茶房「田園」の藤田恵美子さんは、余暇活動などに役立ててほしいと、名古屋刑務所豊橋刑務支所にピアノ１台を寄贈した。
　２０１４年まで保護司を務めていた藤田さん。９年前からは、絵画指導のため定期的に支所を訪れている。昨年は新型コロナウイルス感染拡大の影響で「矯正展」が無くなるなど、刑務所製品の販売機会が失われていたことから、11月には全国各地の刑務所製品を展示販売するためギャラリーの提供を申し出た。
　寄贈したピアノは、ＹＡＭＡＨＡのアップライトピアノ（１９６５年製）。色は深みのあるウォルナットだ。ヤマハの前身、日本楽器製造が掛川のピアノ工場で作ったものだという。ピアノを納めた新城市のサトウ楽器によると当時の価格で約27万円。そのころトヨタの大衆車「パブリカ」の新車が50万円ほどだったといい「相当良いピアノ」と紹介する。「思い入れのあるピアノだった。ぜひ役に立ててもらいたいと寄贈した」と藤田さんは語る。
　年代物ながら大切にされていたピアノは、光沢があり響きも美しい。支所では合唱クラブなどで活用しているが、新型コロナウイルス感染予防の観点からクラブを休止していたため、ピアノの本格的な活躍はこれからだ。
　藤田さんは以前、公募展に出品した自筆の絵画なども支所に寄贈。また、刑務所製品販売会の会場使用料を還元するため物品を買って支所に贈っている。今月12日にも小説や川柳本、薬物依存に関する図書など15冊と、ピアノフルカバーを寄贈した。
【田中博子】