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豊橋の葦毛湿原 国の天然記念物に内定

国の天然記念物に指定される葦毛湿原
国の天然記念物に指定される葦毛湿原
湿地に群落するシラタマホシクサ
湿地に群落するシラタマホシクサ
6月から見頃のカザグルマ
6月から見頃のカザグルマ

 豊橋市は18日、岩崎町の湧水湿地「葦毛(いもう)湿原」=ことば=が国指定の天然記念物に内定したと発表した。全国的にも珍しい広大な湧水湿地が広がり、市と保全団体の回復作業で固有の植物群落が維持されている点が評価された。市内では1952年の「石巻山石灰岩地植物群落」以来2例目の国天然記念物となる。
 国の文化審議会(佐藤信会長)が同日、萩生田光一文部科学相に答申した。今回の指定で市内の国指定文化財は23件に増える。
 葦毛湿原は市有地を含む3万平方㍍超の広大な土地に、国内最大規模の約1万3600平方㍍の湧水湿地がある。弓張山系のふもと標高70㍍の緩斜面と平地面から湧水が浅く流れ広がって、湿地をつくっている。
 湿地には絶滅危惧種を含め多様な生物が生育している。別名「東海のミニ尾瀬」といわれ、学術的にも貴重。92年2月に県の天然記念物に指定された。
 伊勢湾周辺に分布するシラタマホシクサやミカワバイケイソウなどが生育。熱帯アジアを中心に広がる植物、東北地方に多いイワショウブなどの寒地系植物などのほか、ハルリンドウなど九州の草原で育つ大陸系遺存植物も
隔離分布する。
 シラタマホシクサやハンノキなど異なる種の群落が複数点在。三太郎池や長尾池など周辺に湧水湿地や湿地林があり、葦毛を核に湧水湿地が群落する生態系がある。
 戦後まで800年近く里山として共存してきたが、高度経済成長期の昭和40年代以降は管理が及ばなくなった。森林化と植生遷移で崩壊寸前の危機に直面した。76年には市や有識者、市民団体による調査、保全活動が始まった。
 豊橋湿原保護の会は前身を含め四半世紀にわたり保全に努めている。この10年は市の大規模植生回復でも連携。月5回の活動で外来種除去や木道整備などを手掛ける。最近は外来種の持ち込み防止にも取り組む。
 市は7月18日の午前と午後の2回、今回の指定を記念して現地観察会を開く。各回先着60人、申し込みと問い合わせは文化財センター(0532・56・6060)へ。
【加藤広宣、岸侑輝】

ことば
葦毛湿原
 豊橋市東部の弓張山系ふもとに広がる湧水湿地。地域固有の植物のほか、熱帯アジアや寒地系、大陸系遺存植物など多様な植物が混在する群落がある。国内の湧水湿地は1000平方㍍未満が大多数だが、1万3000平方㍍超の国内最大級の規模を誇る。調査保全活動を長年続け、ここ10年間で大規模植生回復作業も進んでいる。生態系維持など環境活動などで多数の表彰を受けた。

 豊橋市は18日、岩崎町の湧水湿地「葦毛(いもう)湿原」=ことば=が国指定の天然記念物に内定したと発表した。全国的にも珍しい広大な湧水湿地が広がり、市と保全団体の回復作業で固有の植物群落が維持されている点が評価された。市内では1952年の「石巻山石灰岩地植物群落」以来2例目の国天然記念物となる。
 国の文化審議会(佐藤信会長)が同日、萩生田光一文部科学相に答申した。今回の指定で市内の国指定文化財は23件に増える。
 葦毛湿原は市有地を含む3万平方㍍超の広大な土地に、国内最大規模の約1万3600平方㍍の湧水湿地がある。弓張山系のふもと標高70㍍の緩斜面と平地面から湧水が浅く流れ広がって、湿地をつくっている。
 湿地には絶滅危惧種を含め多様な生物が生育している。別名「東海のミニ尾瀬」といわれ、学術的にも貴重。92年2月に県の天然記念物に指定された。
 伊勢湾周辺に分布するシラタマホシクサやミカワバイケイソウなどが生育。熱帯アジアを中心に広がる植物、東北地方に多いイワショウブなどの寒地系植物などのほか、ハルリンドウなど九州の草原で育つ大陸系遺存植物も
隔離分布する。
 シラタマホシクサやハンノキなど異なる種の群落が複数点在。三太郎池や長尾池など周辺に湧水湿地や湿地林があり、葦毛を核に湧水湿地が群落する生態系がある。
 戦後まで800年近く里山として共存してきたが、高度経済成長期の昭和40年代以降は管理が及ばなくなった。森林化と植生遷移で崩壊寸前の危機に直面した。76年には市や有識者、市民団体による調査、保全活動が始まった。
 豊橋湿原保護の会は前身を含め四半世紀にわたり保全に努めている。この10年は市の大規模植生回復でも連携。月5回の活動で外来種除去や木道整備などを手掛ける。最近は外来種の持ち込み防止にも取り組む。
 市は7月18日の午前と午後の2回、今回の指定を記念して現地観察会を開く。各回先着60人、申し込みと問い合わせは文化財センター(0532・56・6060)へ。
【加藤広宣、岸侑輝】

ことば
葦毛湿原
 豊橋市東部の弓張山系ふもとに広がる湧水湿地。地域固有の植物のほか、熱帯アジアや寒地系、大陸系遺存植物など多様な植物が混在する群落がある。国内の湧水湿地は1000平方㍍未満が大多数だが、1万3000平方㍍超の国内最大級の規模を誇る。調査保全活動を長年続け、ここ10年間で大規模植生回復作業も進んでいる。生態系維持など環境活動などで多数の表彰を受けた。

国の天然記念物に指定される葦毛湿原
国の天然記念物に指定される葦毛湿原
湿地に群落するシラタマホシクサ
湿地に群落するシラタマホシクサ
6月から見頃のカザグルマ
6月から見頃のカザグルマ

カテゴリー:社会・経済

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