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「蛇行剣」県内初の出土 豊川の花の木古墳群

出土した蛇行剣(提供)
出土した蛇行剣(提供)
剣身が波打っている様子が分かる(同)
剣身が波打っている様子が分かる(同)

豊川市大木町にある「花の木古墳群」で、県内初となる「蛇行剣」=ことば=が出土した。剣が蛇のように波打っているのが特徴で、国内での出土は九州南部を中心に100例しかない。県埋蔵文化財センターは8月7日、現地で出土品を公開する。
 センターは国道151号バイパス建設に伴う事前調査として、昨年度に5基の古墳を発掘調査した。花の木古墳群は1~7号の全7基の古墳の存在が知られている。
 この結果、5基(2号、3号、5~7号)の古墳はいずれも10~20㍍の方墳で木棺を直葬し、古墳時代前期後半から中期前半(4世紀前葉から5世紀前葉」にかけて築造されたことが分かったという。
 蛇行剣は7号墳に副葬されていた。県内での出土例はない。長さは64・5㌢で、長い部類に入るという。
 7号墳は古墳時代前期後半(4世紀前葉)の築造。一辺11㍍の方墳だったが、その後一辺13・5㍍に拡張、新たに2基の木棺を直葬したことが分かった。
 蛇行剣が見つかったのはこの拡張部分で、被葬者の足元と想定される位置にあった。切っ先が西に向いて置かれていた。他にも大刀、鉄剣、鉄鏃(てつぞく、鉄の矢尻)などの武器類、おの、鎌などの農具、ヒスイやメノウの勾玉(まがたま)が出土している。7号墳の東側墳丘斜面からは玉類が100点以上が見つかった。
 副葬品や玉類などから、蛇行剣は5世紀前葉のものと考えられ、東日本では静岡県袋井市の蛇行鉾(ほこ)と並んで最も古いと評価されている。
 今回の出土の意義について、県埋蔵文化財センターは「当地は古墳時代中期前葉という比較的早い段階に、特殊な武器を含めた各種鉄製品の流通網に関わっていたと推察できる。古墳文化が地方の伝統を温存しながら各地に浸透していった様子も読み取れる」としている。発掘調査は継続中で、今年9月頃の終了を予定している。
 現地公開は8月7日午前10時から正午と午後1時から3時の2回。参加費、事前申し込み不要。受け付けは30分前から。雨天中止(小雨決行)。中止の際は県埋蔵文化財センターのウエブページで発表する。
【山田一晶】

ことば
蛇行剣
 波状に屈曲した剣身をもった鉄剣。古墳や墳墓から副葬品として、約100点が見つかっている。北限は新潟県、東限は栃木県、南・西限は鹿児島県で半数は九州に分布する。剣だけではなく短剣、槍、鉾と思われるものもある。特殊な形状から、実戦用の武器ではなく「儀仗具」ではないかとする説が有力だが未解明。

豊川市大木町にある「花の木古墳群」で、県内初となる「蛇行剣」=ことば=が出土した。剣が蛇のように波打っているのが特徴で、国内での出土は九州南部を中心に100例しかない。県埋蔵文化財センターは8月7日、現地で出土品を公開する。
 センターは国道151号バイパス建設に伴う事前調査として、昨年度に5基の古墳を発掘調査した。花の木古墳群は1~7号の全7基の古墳の存在が知られている。
 この結果、5基(2号、3号、5~7号)の古墳はいずれも10~20㍍の方墳で木棺を直葬し、古墳時代前期後半から中期前半(4世紀前葉から5世紀前葉」にかけて築造されたことが分かったという。
 蛇行剣は7号墳に副葬されていた。県内での出土例はない。長さは64・5㌢で、長い部類に入るという。
 7号墳は古墳時代前期後半(4世紀前葉)の築造。一辺11㍍の方墳だったが、その後一辺13・5㍍に拡張、新たに2基の木棺を直葬したことが分かった。
 蛇行剣が見つかったのはこの拡張部分で、被葬者の足元と想定される位置にあった。切っ先が西に向いて置かれていた。他にも大刀、鉄剣、鉄鏃(てつぞく、鉄の矢尻)などの武器類、おの、鎌などの農具、ヒスイやメノウの勾玉(まがたま)が出土している。7号墳の東側墳丘斜面からは玉類が100点以上が見つかった。
 副葬品や玉類などから、蛇行剣は5世紀前葉のものと考えられ、東日本では静岡県袋井市の蛇行鉾(ほこ)と並んで最も古いと評価されている。
 今回の出土の意義について、県埋蔵文化財センターは「当地は古墳時代中期前葉という比較的早い段階に、特殊な武器を含めた各種鉄製品の流通網に関わっていたと推察できる。古墳文化が地方の伝統を温存しながら各地に浸透していった様子も読み取れる」としている。発掘調査は継続中で、今年9月頃の終了を予定している。
 現地公開は8月7日午前10時から正午と午後1時から3時の2回。参加費、事前申し込み不要。受け付けは30分前から。雨天中止(小雨決行)。中止の際は県埋蔵文化財センターのウエブページで発表する。
【山田一晶】

ことば
蛇行剣
 波状に屈曲した剣身をもった鉄剣。古墳や墳墓から副葬品として、約100点が見つかっている。北限は新潟県、東限は栃木県、南・西限は鹿児島県で半数は九州に分布する。剣だけではなく短剣、槍、鉾と思われるものもある。特殊な形状から、実戦用の武器ではなく「儀仗具」ではないかとする説が有力だが未解明。

出土した蛇行剣(提供)
出土した蛇行剣(提供)
剣身が波打っている様子が分かる(同)
剣身が波打っている様子が分かる(同)

カテゴリー:社会・経済

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