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木造地蔵菩薩立像の修復完了で一般公開へ

白帯が目立つ修理前の木造地蔵菩薩立像(提供)
白帯が目立つ修理前の木造地蔵菩薩立像(提供)
きれいになった修理後の像(同)
きれいになった修理後の像(同)

 豊橋市指定有形文化財の「木造地蔵菩薩立像」の修理が完了し、所蔵する牛川町の正圓寺(金仙直宏住職)に戻ることとなった。これに先立ち4日から11月23日まで、市美術博物館で菩薩像を一般公開する。
 光背を含む高さが122㌢、像の高さは約80㌢。一木造で、色がわずかに残っている。
 顔の長さや目、鼻、唇など写実性のある顔つきから、平安時代末期から鎌倉時代初期の像と考えられている。全体に虫食いの痕が多い。表面が陥没している箇所があることや、部材の緩み、過去の修復による下地材の経年劣化などにより、姿が大きく損なわれていた。
 「豊橋寺院誌」によると、子安地蔵や鎮火地蔵などとして庶民から信仰されていたという。1994年3月、市有形文化財指定。
 市の文化財補助事業として、昨年5月から今年年8月まで愛知仏像修復工房(尾張旭市)が修理していた。さびうるしや木屎(こくそ)うるしを詰めて陥没箇所を補修し、接合部分をすべて取り外してから調整のうえで再接合した。すり減った部分の修復や全体的な清掃などを重ね元の姿を取り戻した。
 修理で、平安仏の姿を踏襲した鎌倉期の復古作だと分かったという。大きなヒノキ1本を使用することにこだわっており、室町時代に1度、江戸時代に2度修理された。制作当時は極彩色だったが、江戸時代に古色仕上げにしたと考えられる。修理前にあった縦長の白帯は、江戸時代の修理で本体の干割れを気にして施された。
 一般的に失われやすい耳たぶの先や台座と接続するほぞが風化したりすり減ったりしているが、当初のものが残る。大切に守り伝えられてきた貴重な一品であることをうかがわせた。
【岸侑輝】

 豊橋市指定有形文化財の「木造地蔵菩薩立像」の修理が完了し、所蔵する牛川町の正圓寺(金仙直宏住職)に戻ることとなった。これに先立ち4日から11月23日まで、市美術博物館で菩薩像を一般公開する。
 光背を含む高さが122㌢、像の高さは約80㌢。一木造で、色がわずかに残っている。
 顔の長さや目、鼻、唇など写実性のある顔つきから、平安時代末期から鎌倉時代初期の像と考えられている。全体に虫食いの痕が多い。表面が陥没している箇所があることや、部材の緩み、過去の修復による下地材の経年劣化などにより、姿が大きく損なわれていた。
 「豊橋寺院誌」によると、子安地蔵や鎮火地蔵などとして庶民から信仰されていたという。1994年3月、市有形文化財指定。
 市の文化財補助事業として、昨年5月から今年年8月まで愛知仏像修復工房(尾張旭市)が修理していた。さびうるしや木屎(こくそ)うるしを詰めて陥没箇所を補修し、接合部分をすべて取り外してから調整のうえで再接合した。すり減った部分の修復や全体的な清掃などを重ね元の姿を取り戻した。
 修理で、平安仏の姿を踏襲した鎌倉期の復古作だと分かったという。大きなヒノキ1本を使用することにこだわっており、室町時代に1度、江戸時代に2度修理された。制作当時は極彩色だったが、江戸時代に古色仕上げにしたと考えられる。修理前にあった縦長の白帯は、江戸時代の修理で本体の干割れを気にして施された。
 一般的に失われやすい耳たぶの先や台座と接続するほぞが風化したりすり減ったりしているが、当初のものが残る。大切に守り伝えられてきた貴重な一品であることをうかがわせた。
【岸侑輝】

白帯が目立つ修理前の木造地蔵菩薩立像(提供)
白帯が目立つ修理前の木造地蔵菩薩立像(提供)
きれいになった修理後の像(同)
きれいになった修理後の像(同)

カテゴリー:社会・経済

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