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AI学習機能で地震後の建物被害高精度診断

判断材料の波形情報を捉える地震計=豊橋市役所で
判断材料の波形情報を捉える地震計=豊橋市役所で
過去にメール配信された診断結果
過去にメール配信された診断結果

 地震発生直後の建物被害について、AI(人口知能)の機械学習によって素早く高精度な判定ができる仕組みを豊橋技術科学大学の研究チームが開発した。東三河5市が共同利用する配信システムで判定結果に応用する。防災拠点となる市役所などを使う際の確かな判断材料になると期待される。機械学習を防災に生かす例は珍しいという。
 豊橋技科大建築・都市システム学系の斉藤大樹教授らが開発した。
 市役所や消防署などは、地震による被害状況から防災拠点としての使用可否を判断する。外観目視にによる判定が中心だったが、2016年からは地震計データを元にした診断結果のメール配信を5市で順次導入した。
 この方式では事前に記録した建物の解析モデルに、地震計が捉えた観測記録を反映させ、遠隔で建物の健全度を評価していた。
 しかし、今回の研究では解析モデルではなく、インターネットのクラウドに蓄積される世界中の地震観測記録を活用、揺れ方など数多くの波形情報をAIが学習する。そのうえで地震発生時に観測した波形情報から揺れ方を判断し、建物の形状変化を予測、被害程度を「無被害」から「倒壊」の5段階で、建物の継続使用の可能性を「安全」「注意」「危険」の3段階で判定する。
 豊橋市役所は、東西庁舎に計3基の地震計を設置する。地震直後の配信メールは防災危機管理課や防災部門の管理職、消防本部で共有している。ただシステム運用から5年間で観測した地震は1度だけ。市防災危機管理課の長坂規弘課長補佐は「他の観測記録を蓄積して生かせるため、突然の発災への備えになる。目視以外の有力な判断材料」と学習成果に期待する。
 2016年の熊本地震では複数の市役所が被災。避難や復旧の妨げにもなった。
 斉藤教授は「計測器の増設や設置範囲を広げることも考えられる。防災システムへのAI活用例は少なく、広がるきっかけになれば」と話す。
【加藤広宣】

 地震発生直後の建物被害について、AI(人口知能)の機械学習によって素早く高精度な判定ができる仕組みを豊橋技術科学大学の研究チームが開発した。東三河5市が共同利用する配信システムで判定結果に応用する。防災拠点となる市役所などを使う際の確かな判断材料になると期待される。機械学習を防災に生かす例は珍しいという。
 豊橋技科大建築・都市システム学系の斉藤大樹教授らが開発した。
 市役所や消防署などは、地震による被害状況から防災拠点としての使用可否を判断する。外観目視にによる判定が中心だったが、2016年からは地震計データを元にした診断結果のメール配信を5市で順次導入した。
 この方式では事前に記録した建物の解析モデルに、地震計が捉えた観測記録を反映させ、遠隔で建物の健全度を評価していた。
 しかし、今回の研究では解析モデルではなく、インターネットのクラウドに蓄積される世界中の地震観測記録を活用、揺れ方など数多くの波形情報をAIが学習する。そのうえで地震発生時に観測した波形情報から揺れ方を判断し、建物の形状変化を予測、被害程度を「無被害」から「倒壊」の5段階で、建物の継続使用の可能性を「安全」「注意」「危険」の3段階で判定する。
 豊橋市役所は、東西庁舎に計3基の地震計を設置する。地震直後の配信メールは防災危機管理課や防災部門の管理職、消防本部で共有している。ただシステム運用から5年間で観測した地震は1度だけ。市防災危機管理課の長坂規弘課長補佐は「他の観測記録を蓄積して生かせるため、突然の発災への備えになる。目視以外の有力な判断材料」と学習成果に期待する。
 2016年の熊本地震では複数の市役所が被災。避難や復旧の妨げにもなった。
 斉藤教授は「計測器の増設や設置範囲を広げることも考えられる。防災システムへのAI活用例は少なく、広がるきっかけになれば」と話す。
【加藤広宣】

判断材料の波形情報を捉える地震計=豊橋市役所で
判断材料の波形情報を捉える地震計=豊橋市役所で
過去にメール配信された診断結果
過去にメール配信された診断結果

カテゴリー:社会・経済

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