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ロスフラワーを供花に プロジェクト「KYOUKA」始まる

プロジェクトの田中社長、岡田さん、堀さん(左から、提供)
プロジェクトの田中社長、岡田さん、堀さん(左から、提供)

 新型コロナウイルス禍で需要が減り、各地で日々生じている「ロスフラワー」(廃棄される花)を、墓の供花として活用することで、人や環境に優しいエコな社会づくりを目指すプロジェクト「KYOUKA」が始まった。蒲郡市でテストし、新年度からの本格始動が目標だ。
 プロジェクトメンバーは、金属加工「山本製作所」(豊川市宿町野川)の田中倫子社長と、フローリストとしてドライフラワーを手掛ける堀祐次郎さん、エンジニアの岡田陽さん。山本製作所は昨年、猫の形をした抗菌マスク掛け「しっぽ貸し手」でブレークした。職人の技を生かしながら同様の製品開発を続ける一方、SDGs(持続可能な開発目標)にも注力し、地域が手を取って助け合う「つながり経済」の構築を目指している。
 花き業界は、コロナ禍で各種イベントが中止になるなどした結果、昨年度の花の取扱高は前年比6・5%減の3175億円と過去最低に落ち込んだ。また花の単価も下がっており、農家や生花店では売れないまま捨てられるロスフラワーが問題になっている。
 一方、少子化と高齢化の進展で、管理が難しくなった墓が増えている。彼岸や盆でも花が供えられていなかったり、朽ちた供花がそのままになっている。地域や家族のつながりが薄れていると嘆く人も少なくない。
 そんな中、ロスフラワーと檀家を抱える地域の寺を結びつけるのがこのプロジェクトだ。これによって捨てられる花の3分の1を減らすことを目標としている。
 具体的には、「KYOUKA」のアプリをスマートフォンやタブレットにダウンロードし、サービスを申し込む。参加登録した花店や花の農家は、エリア単位で注文を受け、ロスフラワーを使って定期的に墓に花を供え、その様子を映像として檀家に送る。スマホから墓が彩られてる様子を確認できる。檀家、花店、生産農家の利用者を募集する。サブスクリプション(定額料金制)で、利用料は今後決める。
 蒲郡市の職員と山本製作所がSDGsについて話し合っている時にアイデアが生まれた。市は、蒲郡商工会議所、蒲郡信用金庫、東京海上日動とSDGsに関する相互連携協定を結び、地域の持続的発展と地方創生を目指している。
 プロジェクトは、デジタルデバイド(情報格差)の解消が課題となっている高齢者に、アプリの使用を教えることによって、スマホなどを使いこなせるようになってもらう狙いもある。また、独居の高齢者が定期的にアプリを使うことで、見守りにも役立つことが想定される。
 「このプラットフォームが蒲郡市で構築できれば、他の地域にも展開したい」と山本製作所の担当者。「人」「花」「地域」がコラボレーションする全国初のビジネスモデルの成否が注目される。
【山田一晶】

 新型コロナウイルス禍で需要が減り、各地で日々生じている「ロスフラワー」(廃棄される花)を、墓の供花として活用することで、人や環境に優しいエコな社会づくりを目指すプロジェクト「KYOUKA」が始まった。蒲郡市でテストし、新年度からの本格始動が目標だ。
 プロジェクトメンバーは、金属加工「山本製作所」(豊川市宿町野川)の田中倫子社長と、フローリストとしてドライフラワーを手掛ける堀祐次郎さん、エンジニアの岡田陽さん。山本製作所は昨年、猫の形をした抗菌マスク掛け「しっぽ貸し手」でブレークした。職人の技を生かしながら同様の製品開発を続ける一方、SDGs(持続可能な開発目標)にも注力し、地域が手を取って助け合う「つながり経済」の構築を目指している。
 花き業界は、コロナ禍で各種イベントが中止になるなどした結果、昨年度の花の取扱高は前年比6・5%減の3175億円と過去最低に落ち込んだ。また花の単価も下がっており、農家や生花店では売れないまま捨てられるロスフラワーが問題になっている。
 一方、少子化と高齢化の進展で、管理が難しくなった墓が増えている。彼岸や盆でも花が供えられていなかったり、朽ちた供花がそのままになっている。地域や家族のつながりが薄れていると嘆く人も少なくない。
 そんな中、ロスフラワーと檀家を抱える地域の寺を結びつけるのがこのプロジェクトだ。これによって捨てられる花の3分の1を減らすことを目標としている。
 具体的には、「KYOUKA」のアプリをスマートフォンやタブレットにダウンロードし、サービスを申し込む。参加登録した花店や花の農家は、エリア単位で注文を受け、ロスフラワーを使って定期的に墓に花を供え、その様子を映像として檀家に送る。スマホから墓が彩られてる様子を確認できる。檀家、花店、生産農家の利用者を募集する。サブスクリプション(定額料金制)で、利用料は今後決める。
 蒲郡市の職員と山本製作所がSDGsについて話し合っている時にアイデアが生まれた。市は、蒲郡商工会議所、蒲郡信用金庫、東京海上日動とSDGsに関する相互連携協定を結び、地域の持続的発展と地方創生を目指している。
 プロジェクトは、デジタルデバイド(情報格差)の解消が課題となっている高齢者に、アプリの使用を教えることによって、スマホなどを使いこなせるようになってもらう狙いもある。また、独居の高齢者が定期的にアプリを使うことで、見守りにも役立つことが想定される。
 「このプラットフォームが蒲郡市で構築できれば、他の地域にも展開したい」と山本製作所の担当者。「人」「花」「地域」がコラボレーションする全国初のビジネスモデルの成否が注目される。
【山田一晶】

プロジェクトの田中社長、岡田さん、堀さん(左から、提供)
プロジェクトの田中社長、岡田さん、堀さん(左から、提供)

カテゴリー:社会・経済

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