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PHP研究所の作文コンで弓塲さん最優秀

弓塲さん=東愛知新聞社で
弓塲さん=東愛知新聞社で
曽祖父と(提供)
曽祖父と(提供)

 海陽中等教育学校3年生の弓塲那有太(ゆみば・なゆた)さん(15)が、PHP研究所主催の作文コンクールで最優秀作品賞に輝いた。弓塲さんが東愛知新聞社を訪ね、受賞の喜びを語った。
 弓塲さんは中学1年生の時、学校の課題で取り組んだ作文をPHP研究所主催の「作文甲子園」に応募したところ、最優秀作品賞を受賞した。昨年度は審査員特別賞を受賞している。
 今年度は3677作品の中から最優秀作品賞に輝いた。題は「年齢差七十七の友情」。新型コロナウイルス感染拡大の中で生じた曽祖父と弓塲さんの物語だ。
 一昨年の春休み中、祖父と曽祖父が住む岐阜県の家に訪れた。緊急事態宣言が出て、県境をまたぐ移動が制限されたことから1カ月、祖父と曽祖父と過ごすことになる。それまでは1泊2日がせいぜいだった。
 曽祖父の部屋は宝の山だったという。畑から出てきた「寛永通宝」。手でハンドルを回さないと聞けないラジオ。そして賞味期限も何もかも分からない謎のあめ玉。それまで知らなかったひいおじいさんの魅力が次々と出てくる。
 コロナ禍は誰も経験したことのない人間関係の分断を生んだ。一方で弓塲さんはコロナがなければ知り得なかった曽祖父の魅力を知った。そのいきさつを自分の言葉で丁寧に描いた。
 PHP研究所は1946年、松下電器の創業者松下幸之助が創設した。人類が繁栄によって平和と幸福を享受することができるように①研究、出版②普及、啓発③実践-を柱に事業を展開し昨年が75周年だった。

取材後記

 新型コロナウイルス感染拡大の中で、多くのものが失われました。東日本大震災で被災し、津波で店が流された男性と新年のあいさつをした際、彼はこんな話をしていました。「震災の後は怖くなかった。店が津波で流されても、電気が来なくても、避難所生活でも、みんなで手をつなぐことができたから。コロナはとても怖い。みんなと手をつなぐことができず、傷つけあうことばかりだから」
 しかし、この苦しい中でしかできなかったことがたくさんあるはずです。はるか未来の私たちが、この時期を「コロナだったから、コロナのせいで」と振り返るのか「コロナと向き合うことで何かを実現した。乗り越えるために何かと向き合えた」と振り返るのか。私たちの日常への向き合い方次第です。そんなことを考えさせられる作文でした。全文は今月10日発売の月刊PHP2月号に掲載されています。
(客員編集委員・関健一郎)

 海陽中等教育学校3年生の弓塲那有太(ゆみば・なゆた)さん(15)が、PHP研究所主催の作文コンクールで最優秀作品賞に輝いた。弓塲さんが東愛知新聞社を訪ね、受賞の喜びを語った。
 弓塲さんは中学1年生の時、学校の課題で取り組んだ作文をPHP研究所主催の「作文甲子園」に応募したところ、最優秀作品賞を受賞した。昨年度は審査員特別賞を受賞している。
 今年度は3677作品の中から最優秀作品賞に輝いた。題は「年齢差七十七の友情」。新型コロナウイルス感染拡大の中で生じた曽祖父と弓塲さんの物語だ。
 一昨年の春休み中、祖父と曽祖父が住む岐阜県の家に訪れた。緊急事態宣言が出て、県境をまたぐ移動が制限されたことから1カ月、祖父と曽祖父と過ごすことになる。それまでは1泊2日がせいぜいだった。
 曽祖父の部屋は宝の山だったという。畑から出てきた「寛永通宝」。手でハンドルを回さないと聞けないラジオ。そして賞味期限も何もかも分からない謎のあめ玉。それまで知らなかったひいおじいさんの魅力が次々と出てくる。
 コロナ禍は誰も経験したことのない人間関係の分断を生んだ。一方で弓塲さんはコロナがなければ知り得なかった曽祖父の魅力を知った。そのいきさつを自分の言葉で丁寧に描いた。
 PHP研究所は1946年、松下電器の創業者松下幸之助が創設した。人類が繁栄によって平和と幸福を享受することができるように①研究、出版②普及、啓発③実践-を柱に事業を展開し昨年が75周年だった。

取材後記

 新型コロナウイルス感染拡大の中で、多くのものが失われました。東日本大震災で被災し、津波で店が流された男性と新年のあいさつをした際、彼はこんな話をしていました。「震災の後は怖くなかった。店が津波で流されても、電気が来なくても、避難所生活でも、みんなで手をつなぐことができたから。コロナはとても怖い。みんなと手をつなぐことができず、傷つけあうことばかりだから」
 しかし、この苦しい中でしかできなかったことがたくさんあるはずです。はるか未来の私たちが、この時期を「コロナだったから、コロナのせいで」と振り返るのか「コロナと向き合うことで何かを実現した。乗り越えるために何かと向き合えた」と振り返るのか。私たちの日常への向き合い方次第です。そんなことを考えさせられる作文でした。全文は今月10日発売の月刊PHP2月号に掲載されています。
(客員編集委員・関健一郎)

弓塲さん=東愛知新聞社で
弓塲さん=東愛知新聞社で
曽祖父と(提供)
曽祖父と(提供)

カテゴリー:社会・経済 / 地域・教育

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