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ウクライナ危機を受け桜丘高生徒「平和宣言」

カテゴリー:特集

桜丘高校の修了式で全校生徒に対して平和宣言を読み上げる生徒会のメンバー
桜丘高校の修了式で全校生徒に対して平和宣言を読み上げる生徒会のメンバー

ウクライナ危機が深刻化する中、豊橋市の桜丘高校の生徒が今月18日、「これ以上人が傷つくのを見たくない。世界中の若者たちの笑顔を奪う戦争に私たちは反対する」とする平和宣言をした。
 宣言は続いて「これが『ヒロシマ原爆の残り火を灯し続ける、唯一の教育機関』として、私たちができること。恒久平和への願いをここに宣言する。#これ以上人が傷つくのを見たくない」としている。戦争の即時終結を強く求めている。
 同校を運営する桜丘学園は、戦争で多くの命が奪われたことを忘れまいと、第二次世界大戦で広島に投下された原子爆弾の残り火を分けてもらい、敷地内に建設された塔に今でもともされ続けている。
 生徒会長の鈴木漣斗さんは「私たちができることをした。この宣言文が両国の戦争によって傷ついた人の心の支えになり、両国の平和を願う人たちの笑顔や幸せな日常が、戻ってほしい。世界が平和というまだ人類が達成したことがない難しい課題を解決してほしい」と語った。

編集後記
 国際政治を学び、政治を志した人間として思う。武力による現状変更は絶対に許されるべきものではない。そして、戦争反対を主張することはとても大切なことだ。と同時に、なぜ国家という概念ができてから戦争が無くならないのか。歴史を学び、当事者に思いをはせる必要があるのではないか。
 国際政治にはリアリズムとリベラリズムという二つの大きな流れが存在する。リアリズムは、国際社会は権力闘争の場ととらえ、国の安全を保障することを最大の目標とする。リベラリズムは国際社会を協調の可能性を探る場と捉え、平和のために協調することもできると主張する。
 今回のウクライナ危機、分かりやすくいうと、ロシアは「北大西洋条約機構(NATO)の皆さん、ウクライナのこと仲間に入れないでって言いましたよね? だって、ロシアの領地を攻めやすくなっちゃうじゃないですか。散々やめてって言うのにやめないんで、領土と国民の命を守るためにウクライナ攻めるしかないです」という論旨。
 ウクライナにしてみれば「ロシアを攻める気なんてあるわけないです。いろんな国と相互依存関係を作っていくことが目標だから。ロシアとも西側諸国とも連携をとってこの地域の安定を図ろうとNATOさんにも入れてもらおうとしてたのに武力による現状変更は、なしでしょう」となる。
 武力による現状変更は到底許されるものではない。ロシアの行動は当然非難されるべきだ。そのうえで、なぜ人の命が奪われる戦争が無くならないのか。民族として、国家として、命に代えてでも守らなければならないものが双方にあるからだ。ここに国際政治の矛盾が存在する。その矛盾にたどり着ければ、日本が抱える国際社会における課題も浮き彫りになるのではないか。
(本紙客員編集委員・関健一郎)

ウクライナ危機が深刻化する中、豊橋市の桜丘高校の生徒が今月18日、「これ以上人が傷つくのを見たくない。世界中の若者たちの笑顔を奪う戦争に私たちは反対する」とする平和宣言をした。
 宣言は続いて「これが『ヒロシマ原爆の残り火を灯し続ける、唯一の教育機関』として、私たちができること。恒久平和への願いをここに宣言する。#これ以上人が傷つくのを見たくない」としている。戦争の即時終結を強く求めている。
 同校を運営する桜丘学園は、戦争で多くの命が奪われたことを忘れまいと、第二次世界大戦で広島に投下された原子爆弾の残り火を分けてもらい、敷地内に建設された塔に今でもともされ続けている。
 生徒会長の鈴木漣斗さんは「私たちができることをした。この宣言文が両国の戦争によって傷ついた人の心の支えになり、両国の平和を願う人たちの笑顔や幸せな日常が、戻ってほしい。世界が平和というまだ人類が達成したことがない難しい課題を解決してほしい」と語った。

編集後記
 国際政治を学び、政治を志した人間として思う。武力による現状変更は絶対に許されるべきものではない。そして、戦争反対を主張することはとても大切なことだ。と同時に、なぜ国家という概念ができてから戦争が無くならないのか。歴史を学び、当事者に思いをはせる必要があるのではないか。
 国際政治にはリアリズムとリベラリズムという二つの大きな流れが存在する。リアリズムは、国際社会は権力闘争の場ととらえ、国の安全を保障することを最大の目標とする。リベラリズムは国際社会を協調の可能性を探る場と捉え、平和のために協調することもできると主張する。
 今回のウクライナ危機、分かりやすくいうと、ロシアは「北大西洋条約機構(NATO)の皆さん、ウクライナのこと仲間に入れないでって言いましたよね? だって、ロシアの領地を攻めやすくなっちゃうじゃないですか。散々やめてって言うのにやめないんで、領土と国民の命を守るためにウクライナ攻めるしかないです」という論旨。
 ウクライナにしてみれば「ロシアを攻める気なんてあるわけないです。いろんな国と相互依存関係を作っていくことが目標だから。ロシアとも西側諸国とも連携をとってこの地域の安定を図ろうとNATOさんにも入れてもらおうとしてたのに武力による現状変更は、なしでしょう」となる。
 武力による現状変更は到底許されるものではない。ロシアの行動は当然非難されるべきだ。そのうえで、なぜ人の命が奪われる戦争が無くならないのか。民族として、国家として、命に代えてでも守らなければならないものが双方にあるからだ。ここに国際政治の矛盾が存在する。その矛盾にたどり着ければ、日本が抱える国際社会における課題も浮き彫りになるのではないか。
(本紙客員編集委員・関健一郎)

桜丘高校の修了式で全校生徒に対して平和宣言を読み上げる生徒会のメンバー
桜丘高校の修了式で全校生徒に対して平和宣言を読み上げる生徒会のメンバー

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