佐々木久子氏 第11回 2002年3月22日

講演内容: 酒と旅と人生と
講演者: 佐々木 久子氏
職業: エッセイスト・評論家

東愛知新聞 記事から抜粋(2002年3月24日付け新聞より)
 東愛知サロン会(藤村圭吾会長)の三月例会が二十二日夜、豊橋市白河町のホテル白豊で開かれた。エッセイストで評論家の佐々木久子さんが「酒と旅と人生を」と題して講演した。昭和三十年から雑誌「酒」編集長として、日本全国の「酒行脚」を執筆し続けた佐々木さんは「酒は人の心を裏切りません」と、その魅力や味わい方を紹介。「日本酒は日本の伝統文化で、製造に手を抜かない杜氏(とうじ)は日本人の気質そのもの。文化・気質の伝承を失っては日本の将来はありません」と警鐘を鳴らした。

 例会では、藤村会長が「酒をこよなく愛し、酒につきものの口取りも全国各地で味わい、食通でもある佐々木さんは、テレビやラジオに多く出演し、皆さんの中にもファンが多いのでは。楽しんでください」とあいさつし、講演に入った。
 佐々木さんは「細長い列島で四海に囲まれた日本。仕込み水、気候の違いで酒の味が異なり、魚や野菜も産地で味が異なります。地酒の肴(さかな)は、その地の旬のものが一番。福島県小名浜で捕れたてのメヒカリをあぶったものなど、そこでなければ食べられないものが最高に合います」などと紹介。
 「日本酒は、コハク酸と乳酸がバイブレーションを起こす、ぬる燗(かん)に限ります。女性の乳房の下とちょうど同じぬくもりがいい」と説明した。
 また、数多くの文豪と飲み明かし、雑誌「酒」で「文壇酒徒番付」も組んだ佐々木さんは、尾崎士郎の「女は裏切るが酒は裏切らん」や、池波正太郎の「一日一回、死と向き合えば、何かやらねばの気持ちになる」など、酒を酌み交わして得た人生訓もいくつか紹介。
 「全国の約二千人の杜氏にお会いしましたが、皆さん“いい顔”をしています。職人として手を抜かず、欲がないから。でも、伝承する人が減ってしまった。着物づくりや宮大工など伝統技術も同じ。日本の伝統、日本を支えてきた職人が減り、
日本人が汗して働かなくなった。楽をして金を儲(もう)けようとする。このままでは日本の将来が心配。もっと日本の伝統を愛しましょう」と結んだ。

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