ドイツとイタリアのコンペでW受賞 豊橋の望月工務店
豊橋市下地町の「望月工務店」は、同社が手掛けた「星野神社覆殿(おおいでん)・本殿」(豊川市平尾町)と住宅「不惑の一棟」(同市篠束町)で、3月に受賞が決定したドイツの「iF Design Award」に加え、5月にはイタリアの「A’Design Award」の受賞が決まったと発表した。このほど「iF Design Award」の表彰式がベルリンであり、望月成高社長が表彰された。
世界三大デザイン賞の一つ「iF Design Award」。毎年、世界各国から1万点を超える応募がある。星野神社が「GOLD AWARD(金賞)」を、不惑の一棟が「AWARD」に輝いている。特に「GOLD」の受賞率は0・7%という狭き門で、授賞式で壇上に上がれる栄誉がある。
式は4月29日、ヨーロッパ最大の舞台「フリードリヒシュタット・パラスト」であった。約2000人が見守る中、星野神社の姿が上映された後、ウーバ・クレメリンCEOが望月社長にトロフィーを手渡した。望月社長が掲げると、会場から大きな拍手が起きた。
一方、イタリアの「A’Design Award」でも、星野神社が「Silver Award(銀賞)」を、不惑の一棟が「Bronze Award(銅賞)」を受賞した。世界的に有名なジャーナリストやデザイン専門家、学者ら278人からなる審査員団による厳正な審査があることで知られる。
星野神社本殿は豊川市指定有形文化財。「七間社、切妻造、こけらぶき」の建物で、七間社(正面の柱間が七つ)の神社は県内では岡崎市滝町の「日吉山王社本殿」にしかない構造だという。1641(寛永18)年に建てられた。覆殿(本殿を風雨から守るため、覆うように建てられた簡易な建物)があるのも珍しい。本殿との隙間がないほど密着して造られていたため、望月社長らが手作業で覆殿を解体、本殿の傷んだ部分を改修したうえで新築再建した。
「不惑の一棟」は、匠の技をデザインとして生かし、簡素で飾らない美しさを追求した木造住宅。使う材料は天然素材にこだわる。SDGs(持続可能な開発目標)にも配慮し県産の木材を使った。壁はクロスや既製品塗り壁材は使用せず、木組みは、できるだけ金物に頼らずに強度を確保した。
望月社長は「今回の受賞は、『技術の継承と伝統の進化』を体現する建築が、国際的に高く評価された証し。伝統技術の可能性を示し、後継者育成にも貢献することが期待される」とコメントした。
望月工務店は1976(昭和51)年設立。社寺建築から住宅まで幅広く手掛ける。今回の受賞を機に、さらなる飛躍を目指す。
【山田一晶】
豊橋市下地町の「望月工務店」は、同社が手掛けた「星野神社覆殿(おおいでん)・本殿」(豊川市平尾町)と住宅「不惑の一棟」(同市篠束町)で、3月に受賞が決定したドイツの「iF Design Award」に加え、5月にはイタリアの「A’Design Award」の受賞が決まったと発表した。このほど「iF Design Award」の表彰式がベルリンであり、望月成高社長が表彰された。
世界三大デザイン賞の一つ「iF Design Award」。毎年、世界各国から1万点を超える応募がある。星野神社が「GOLD AWARD(金賞)」を、不惑の一棟が「AWARD」に輝いている。特に「GOLD」の受賞率は0・7%という狭き門で、授賞式で壇上に上がれる栄誉がある。
式は4月29日、ヨーロッパ最大の舞台「フリードリヒシュタット・パラスト」であった。約2000人が見守る中、星野神社の姿が上映された後、ウーバ・クレメリンCEOが望月社長にトロフィーを手渡した。望月社長が掲げると、会場から大きな拍手が起きた。
一方、イタリアの「A’Design Award」でも、星野神社が「Silver Award(銀賞)」を、不惑の一棟が「Bronze Award(銅賞)」を受賞した。世界的に有名なジャーナリストやデザイン専門家、学者ら278人からなる審査員団による厳正な審査があることで知られる。
星野神社本殿は豊川市指定有形文化財。「七間社、切妻造、こけらぶき」の建物で、七間社(正面の柱間が七つ)の神社は県内では岡崎市滝町の「日吉山王社本殿」にしかない構造だという。1641(寛永18)年に建てられた。覆殿(本殿を風雨から守るため、覆うように建てられた簡易な建物)があるのも珍しい。本殿との隙間がないほど密着して造られていたため、望月社長らが手作業で覆殿を解体、本殿の傷んだ部分を改修したうえで新築再建した。
「不惑の一棟」は、匠の技をデザインとして生かし、簡素で飾らない美しさを追求した木造住宅。使う材料は天然素材にこだわる。SDGs(持続可能な開発目標)にも配慮し県産の木材を使った。壁はクロスや既製品塗り壁材は使用せず、木組みは、できるだけ金物に頼らずに強度を確保した。
望月社長は「今回の受賞は、『技術の継承と伝統の進化』を体現する建築が、国際的に高く評価された証し。伝統技術の可能性を示し、後継者育成にも貢献することが期待される」とコメントした。
望月工務店は1976(昭和51)年設立。社寺建築から住宅まで幅広く手掛ける。今回の受賞を機に、さらなる飛躍を目指す。
【山田一晶】