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豊川に県内初の農福連携拠点誕生

作業する12人=豊川市小坂井町で
作業する12人=豊川市小坂井町で
大葉10枚をゴムで束ね、パッケージに10個セット入れる
大葉10枚をゴムで束ね、パッケージに10個セット入れる
届いたばかりの大葉
届いたばかりの大葉

 JAグループの「農協観光」が豊川市小坂井町に農福連携の拠点を開設した。全国で5カ所目で県内では初めて。障害のある人たちが、地元特産の大葉を梱包する作業に励んでいる。今は12人だが「100人、200人の雇用を」との期待の声がかかる。
 同社は元々は農協のツーリスト部門。それが2020年4月に準備室を立ち上げ、農福連携事業に取り組むことになった。現在、豊川のほかには浜松市など静岡県2カ所、埼玉県2カ所に「農福ポート」と呼ばれる施設があり、障害のある人たちが働いている。
 農福連携は19年に農林水産省が提唱した。企業としては、職種によっては障害者の法定雇用率を達成するのが難しい。福祉面では、就労機会が少なく、所得が低い。農業は農家の高齢化と労働力不足がある。これら三様の課題の解決を目指す。
 農協観光は、農業力を支援する立場から参入している。このため、農業が盛んで労働力が不足しているところでないと成り立たない。
 「アグリンピア」と名付けた事業は、企業に対し、農協観光が意欲や適性のある障害者を紹介することから始まる。そして障害者と「企業サポーター」と呼ばれる人がユニットとなって農福ポートで働く。仕事を依頼する農業者が企業に対して請負料金を払う。
 豊川市の大葉は、うってつけだった。成長が早い大葉は収穫した後が大変なのだ。傷んだものを取り除き、出荷できるように形を整え梱包する作業は、農家周辺の主婦たちの内職だった。だが、こちらも高齢化が進み、代わりに作業をしてくれる人を求めていたという。
 場所はJAひまわり小坂井支店の一角。以前は農協観光の窓口だったが、新型コロナウイルス禍で閉めた。そこへ昨年9月から、大葉を持ち込んでパック詰めにする作業が続く。「作業のスピードが早くなった」と神谷撤也所長は話す。最近では、葉の選別が得意な人、パッケージが得意な人が作業を分担するようになった。
 働いているのは18~56歳。他と違い、屋内で座ったまま作業できるのも大きい。作業台には大葉の見分け方の作業シートが貼ってあり「上級編」となっていた。女性2人がサポーターとして検品などを担当する。
 コロナ禍で苦境に陥っていた大葉だが、円安によって国内産の需要が高まっているという。JAひまわりが事業量を確保するために、農家と農福ポートの間を取り持っている。
 神谷所長は「農家から『今では欠かせない戦力になった』と評価された。期待に応えたい」と話している。
【山田一晶】

 JAグループの「農協観光」が豊川市小坂井町に農福連携の拠点を開設した。全国で5カ所目で県内では初めて。障害のある人たちが、地元特産の大葉を梱包する作業に励んでいる。今は12人だが「100人、200人の雇用を」との期待の声がかかる。
 同社は元々は農協のツーリスト部門。それが2020年4月に準備室を立ち上げ、農福連携事業に取り組むことになった。現在、豊川のほかには浜松市など静岡県2カ所、埼玉県2カ所に「農福ポート」と呼ばれる施設があり、障害のある人たちが働いている。
 農福連携は19年に農林水産省が提唱した。企業としては、職種によっては障害者の法定雇用率を達成するのが難しい。福祉面では、就労機会が少なく、所得が低い。農業は農家の高齢化と労働力不足がある。これら三様の課題の解決を目指す。
 農協観光は、農業力を支援する立場から参入している。このため、農業が盛んで労働力が不足しているところでないと成り立たない。
 「アグリンピア」と名付けた事業は、企業に対し、農協観光が意欲や適性のある障害者を紹介することから始まる。そして障害者と「企業サポーター」と呼ばれる人がユニットとなって農福ポートで働く。仕事を依頼する農業者が企業に対して請負料金を払う。
 豊川市の大葉は、うってつけだった。成長が早い大葉は収穫した後が大変なのだ。傷んだものを取り除き、出荷できるように形を整え梱包する作業は、農家周辺の主婦たちの内職だった。だが、こちらも高齢化が進み、代わりに作業をしてくれる人を求めていたという。
 場所はJAひまわり小坂井支店の一角。以前は農協観光の窓口だったが、新型コロナウイルス禍で閉めた。そこへ昨年9月から、大葉を持ち込んでパック詰めにする作業が続く。「作業のスピードが早くなった」と神谷撤也所長は話す。最近では、葉の選別が得意な人、パッケージが得意な人が作業を分担するようになった。
 働いているのは18~56歳。他と違い、屋内で座ったまま作業できるのも大きい。作業台には大葉の見分け方の作業シートが貼ってあり「上級編」となっていた。女性2人がサポーターとして検品などを担当する。
 コロナ禍で苦境に陥っていた大葉だが、円安によって国内産の需要が高まっているという。JAひまわりが事業量を確保するために、農家と農福ポートの間を取り持っている。
 神谷所長は「農家から『今では欠かせない戦力になった』と評価された。期待に応えたい」と話している。
【山田一晶】

作業する12人=豊川市小坂井町で
作業する12人=豊川市小坂井町で
大葉10枚をゴムで束ね、パッケージに10個セット入れる
大葉10枚をゴムで束ね、パッケージに10個セット入れる
届いたばかりの大葉
届いたばかりの大葉

カテゴリー:社会・経済

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