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豊川幼児殺害事件で弁護団が新証拠提出

繊維片が付いたリタックシートや、赤い綿布で実験内容を説明する後藤弁護士=名古屋高裁で
繊維片が付いたリタックシートや、赤い綿布で実験内容を説明する後藤弁護士=名古屋高裁で

 15年前の豊川幼児殺害事件で、田邉雅樹受刑者の弁護団が15日、逆転有罪判決を下した名古屋高裁に、田邉氏の再審開始を求める新証拠資料を提出した。被害男児の略取に使ったとされる同型車を使い、残留物の採取実験の報告書などを提出。専門家の鑑定書も踏まえ、弁護団は「略取の事実はなかった」と主張し、早期の再審開始を訴えた。
 検察による田邉氏の自白調書では、田邉氏は白鳥町のゲームセンター駐車場で車中で1人で泣いていた男児を自分の車の助手席に乗せ、御津町へ移動。三河湾の岸壁から突き落として死なせたという。事件から約2カ月後、警察は田邉氏の車で、リタックシートという粘着テープを座席に貼る徹底的な捜査を行ったが、検察は「男児に結びつく物的証拠は発見されなかった」としている。
 田邉氏が「男児は泣きわめいて動いていた」「シートベルトをかけた」と供述した点にも注目し、弁護団は予備実験を経て、昨年8月10日に本実験を実施していた。
 田邉氏が乗っていたワゴンRと同型車を使用。きれいにした助手席に、自然界のほこりの色としては存在する可能性の低い赤色の綿布を敷き、その上に男児の体重とほぼ同じ10㌔の米袋を置いた。そして略取現場から殺害現場まで自白調書通りに道順を走行した。
 田邉氏が車を売却する前に車内を掃除したこともあり、実験では携帯掃除機で座席を掃除した後、検察と同様にリタックシートで残留物を採取。その結果、ルーペで確認すると、約390カ所に赤い繊維片が付着しているのが確認された。
 高圧的な尋問で、田邉氏が無理矢理に自白させられたと主張する後藤昌弘弁護団長は「静止した米袋でこれだけ繊維片が残っていた。本当に男児が乗っていたなら必ず何か残るはず。これは田邉さんが誘拐しておらず、無実という何よりの証拠だ」と主張。車と新品のシートを保管しており、裁判所の立ち合いで再実験も可能とした。
 今回、実験の報告書に加え、採取した繊維片と赤い綿布が同一のものとする大学教授による鑑定書など4点を高裁に提出。昨年7月の再審請求で提出した、田邉氏の自白内容の矛盾を示す遺体の漂流実験や「山桃の交差点」に関する資料と合わせ、再審を求める証拠は21点となった。
(由本裕貴)

 15年前の豊川幼児殺害事件で、田邉雅樹受刑者の弁護団が15日、逆転有罪判決を下した名古屋高裁に、田邉氏の再審開始を求める新証拠資料を提出した。被害男児の略取に使ったとされる同型車を使い、残留物の採取実験の報告書などを提出。専門家の鑑定書も踏まえ、弁護団は「略取の事実はなかった」と主張し、早期の再審開始を訴えた。
 検察による田邉氏の自白調書では、田邉氏は白鳥町のゲームセンター駐車場で車中で1人で泣いていた男児を自分の車の助手席に乗せ、御津町へ移動。三河湾の岸壁から突き落として死なせたという。事件から約2カ月後、警察は田邉氏の車で、リタックシートという粘着テープを座席に貼る徹底的な捜査を行ったが、検察は「男児に結びつく物的証拠は発見されなかった」としている。
 田邉氏が「男児は泣きわめいて動いていた」「シートベルトをかけた」と供述した点にも注目し、弁護団は予備実験を経て、昨年8月10日に本実験を実施していた。
 田邉氏が乗っていたワゴンRと同型車を使用。きれいにした助手席に、自然界のほこりの色としては存在する可能性の低い赤色の綿布を敷き、その上に男児の体重とほぼ同じ10㌔の米袋を置いた。そして略取現場から殺害現場まで自白調書通りに道順を走行した。
 田邉氏が車を売却する前に車内を掃除したこともあり、実験では携帯掃除機で座席を掃除した後、検察と同様にリタックシートで残留物を採取。その結果、ルーペで確認すると、約390カ所に赤い繊維片が付着しているのが確認された。
 高圧的な尋問で、田邉氏が無理矢理に自白させられたと主張する後藤昌弘弁護団長は「静止した米袋でこれだけ繊維片が残っていた。本当に男児が乗っていたなら必ず何か残るはず。これは田邉さんが誘拐しておらず、無実という何よりの証拠だ」と主張。車と新品のシートを保管しており、裁判所の立ち合いで再実験も可能とした。
 今回、実験の報告書に加え、採取した繊維片と赤い綿布が同一のものとする大学教授による鑑定書など4点を高裁に提出。昨年7月の再審請求で提出した、田邉氏の自白内容の矛盾を示す遺体の漂流実験や「山桃の交差点」に関する資料と合わせ、再審を求める証拠は21点となった。
(由本裕貴)

繊維片が付いたリタックシートや、赤い綿布で実験内容を説明する後藤弁護士=名古屋高裁で
繊維片が付いたリタックシートや、赤い綿布で実験内容を説明する後藤弁護士=名古屋高裁で

カテゴリー:社会・経済

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