文字の大きさ

チェックポイント

カテゴリー:特集

2015年11月、蒲郡市内のホテルで安保法への理解を求めていた小池氏
2015年11月、蒲郡市内のホテルで安保法への理解を求めていた小池氏

「希望の党」登場で揺れる衆院選

 10日告示・22日投開票の衆院選。小池百合子・東京都知事が代表を務める希望の党の登場で、政界が揺れている。民進との合流で「安倍1強」を崩す一大勢力を築き上げたい思惑だが、生き残りを懸けて「希望」の看板を背負いたいあまり、主張や信条をあっさりと変えてしまうことがあってはならない。選挙戦は政治家としての素質を見抜く絶好の機会だ。
 一昨年11月、蒲郡市内のホテルで開かれた自民の地元選出議員の後援会行事で、当時まだ自民の衆院議員だった小池氏が講演した。
 女性で初めて防衛大臣を務めた小池氏は、イスラム系過激派組織「イスラム国」や、南シナ海に進出する中国について解説。北朝鮮情勢も踏まえ「これからは日本単独では防げない事態が予想される。米国との同盟関係を一層強化し、信頼関係を築くことが重要」と熱弁した。
 そして、成立したばかりの安保法に「『戦争法』だと言う人もいるが、とんでもない。自衛隊の活動をいちいち憲法違反としていたら、その混乱に付け入られてしまう」と持論を語った。
 あれから約2年。安保については近い考えと言えど「しがらみ政治から脱却する」「日本をリセットする」と自民に宣戦布告し、新党を立ち上げた小池氏は、与党を戦々恐々とさせている。蒲郡市のホテルで「育てがいのある人。あと30年は使えますよ」と笑顔で太鼓判を押していた自民の議員は、今や敵対勢力だ。
 1日、豊川市内でその自民候補者の街宣応援に駆け付けた公明の衆院議員は「つい先日できたばかりの新党に、難しい国のかじ取りを任せられない。重要なのは新党ブームではなく、具体的な政策だ」と小池新党を批判した。
 圧勝した都議選の勢いそのままに、疑惑や不祥事にまみれた安倍政権の打倒を期待される希望の党。合流というよりは、民進を“吸収”する動きが出ているが、離党ドミノや不祥事で「民進」の看板では勝てないと踏んだ議員らがこぞって公認申請を出した。きょう2日にも第1次公認候補が発表される。
 蔵替えする際、公認がほしいがために、これまでの主張や政策、貫いてきた信条を変えるようなことでは政治家の資格はない。有権者は、それを見極める使命を持つ。
 東三河から立候補する某候補者は、のぼり旗の「民進党」の字を伏せつつ、小池氏が賛同する安保法に堂々と意思表示した。「日本は他国の紛争に加担しないから、他の一部の国からリスペクトされてきた。でも最近は違う。安保法とか、最近の流れは違うんじゃないかと思う」。
 ブームや党名に流されず、芯(しん)のある主張や政策で判断し、票を入れるのが選挙だ。もちろん党員の議席数が政権の行方を左右するが、心の底から働いてほしい代議士を選びたい。
(由本裕貴)

「希望の党」登場で揺れる衆院選

 10日告示・22日投開票の衆院選。小池百合子・東京都知事が代表を務める希望の党の登場で、政界が揺れている。民進との合流で「安倍1強」を崩す一大勢力を築き上げたい思惑だが、生き残りを懸けて「希望」の看板を背負いたいあまり、主張や信条をあっさりと変えてしまうことがあってはならない。選挙戦は政治家としての素質を見抜く絶好の機会だ。
 一昨年11月、蒲郡市内のホテルで開かれた自民の地元選出議員の後援会行事で、当時まだ自民の衆院議員だった小池氏が講演した。
 女性で初めて防衛大臣を務めた小池氏は、イスラム系過激派組織「イスラム国」や、南シナ海に進出する中国について解説。北朝鮮情勢も踏まえ「これからは日本単独では防げない事態が予想される。米国との同盟関係を一層強化し、信頼関係を築くことが重要」と熱弁した。
 そして、成立したばかりの安保法に「『戦争法』だと言う人もいるが、とんでもない。自衛隊の活動をいちいち憲法違反としていたら、その混乱に付け入られてしまう」と持論を語った。
 あれから約2年。安保については近い考えと言えど「しがらみ政治から脱却する」「日本をリセットする」と自民に宣戦布告し、新党を立ち上げた小池氏は、与党を戦々恐々とさせている。蒲郡市のホテルで「育てがいのある人。あと30年は使えますよ」と笑顔で太鼓判を押していた自民の議員は、今や敵対勢力だ。
 1日、豊川市内でその自民候補者の街宣応援に駆け付けた公明の衆院議員は「つい先日できたばかりの新党に、難しい国のかじ取りを任せられない。重要なのは新党ブームではなく、具体的な政策だ」と小池新党を批判した。
 圧勝した都議選の勢いそのままに、疑惑や不祥事にまみれた安倍政権の打倒を期待される希望の党。合流というよりは、民進を“吸収”する動きが出ているが、離党ドミノや不祥事で「民進」の看板では勝てないと踏んだ議員らがこぞって公認申請を出した。きょう2日にも第1次公認候補が発表される。
 蔵替えする際、公認がほしいがために、これまでの主張や政策、貫いてきた信条を変えるようなことでは政治家の資格はない。有権者は、それを見極める使命を持つ。
 東三河から立候補する某候補者は、のぼり旗の「民進党」の字を伏せつつ、小池氏が賛同する安保法に堂々と意思表示した。「日本は他国の紛争に加担しないから、他の一部の国からリスペクトされてきた。でも最近は違う。安保法とか、最近の流れは違うんじゃないかと思う」。
 ブームや党名に流されず、芯(しん)のある主張や政策で判断し、票を入れるのが選挙だ。もちろん党員の議席数が政権の行方を左右するが、心の底から働いてほしい代議士を選びたい。
(由本裕貴)

2015年11月、蒲郡市内のホテルで安保法への理解を求めていた小池氏
2015年11月、蒲郡市内のホテルで安保法への理解を求めていた小池氏

カテゴリー:特集

 PR

PR