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熱を帯びる東三河サーフィン界 豊橋からトッププロを

冬場も練習に励む荒河正宗君㊧と伊織君=豊橋市の表浜海岸で
冬場も練習に励む荒河正宗君㊧と伊織君=豊橋市の表浜海岸で
萩原プロ㊥の指導を仰ぐ伊織君=同
萩原プロ㊥の指導を仰ぐ伊織君=同

 2020年の東京五輪に新種目として採用、今年9月には田原市で国際大会もあり、注目が集まっているサーフィン。太平洋岸の表浜海岸で開催する「豊橋市長杯サーフィン大会」も今年からNSA(日本サーフィン連盟)の公認大会となり、地元サーフィン界もにわかに熱を帯びる。豊橋市内のキッズサーファーの兄弟はプロを目指し、冬季も練習に明け暮れている。

 豊橋市山田二番町の荒河正宗君(10)=市立栄小学校4年=と伊織君(7)=同1年=兄弟は、学校から帰宅後、車で20分かけてほぼ毎日海へと向かう。
 サーフィンが趣味の父貴仁さん(37)に幼少期からボードに乗せられていた2人。ただ、正宗君は海に落ちてばかりで、恐怖心に打ち勝てたのは小2年のとき、市内のプロサーファー萩原健太さん(36)が企画する初心者向けのスクールでボードに立てた経験からだった。
 今では「将来はトッププロになり世界大会へ出て、チャンピオンツアー出場が目標です」と世界を目指すまでになった。
 昨年からは三重や千葉などの大会に出場し、同世代としのぎを削る。大人と交ざり難関のサーフィン検定3級にも合格した。 
 一方で、昨年6月の関西オープン(開催地三重県)は、セミファイナル敗退。自分が未完成な技を同世代が決めるのが悔しかった。千葉県では波が大きく沖へ出るのに苦戦し、1回戦負けした。だからこそ、冬場でも練習に熱が入る。
 伊織君も昨年夏、初心者向けのスポンジボードからショートボードに乗り換え、各大会で入賞を重ねている。小さな体で大きな波に向かう伊織君は「パドリングを強くするのが目標」と兄と共に筋トレに励む。
 海ではみんなが2人の先生だ。萩原さんや静岡県から練習に訪れるトッププロに見守られながら、市長杯へ向け技の完成度を高めている。
 指導する萩原さんは「豊橋からトッププロとして活躍できるという証明を自分の代わりにやってもらいたい」と2人の将来に夢を託す。10年以上前から萩原さんが続けてきたサーフィン振興、次世代の担い手育成が芽吹き始めた。 
 
 一方で、豊橋市民の暮らしにサーフィンが根付いているとは言い難いのが現状だ。全国的にも有名なサーフスポットでもある表浜海岸だが、海岸沿いに商業施設はなく、観光資源として生かしきれていない。
 市内の子どもたちにとってサーフィンを続けるハードルも高い。市街地からの交通手段であるバスは4㌔ほど離れた豊橋技術科学大学(天伯町)辺りまでしかなく、豊鉄渥美線とバスを乗り継いでも2㌔以上はある。海に行くには自転車もくしくは車での送迎が必要になる。
 「バスの路線が海岸近くまで延びれば、サーフィンをやる子はもっと増える」と萩原さん。
 今年4月に開催する市長杯が五輪や世界選手権代表選考に絡むNSA公認大会となったことで、出場者のレベルが一気に上がることが予想される。地元選手の活躍が大会の盛り上げには欠かせない。
 海を地域資源として生かすため、子どもたちのサポート環境を整え、競技人口の裾野を広げる必要があるのではないか。
(飯塚雪)

 2020年の東京五輪に新種目として採用、今年9月には田原市で国際大会もあり、注目が集まっているサーフィン。太平洋岸の表浜海岸で開催する「豊橋市長杯サーフィン大会」も今年からNSA(日本サーフィン連盟)の公認大会となり、地元サーフィン界もにわかに熱を帯びる。豊橋市内のキッズサーファーの兄弟はプロを目指し、冬季も練習に明け暮れている。

 豊橋市山田二番町の荒河正宗君(10)=市立栄小学校4年=と伊織君(7)=同1年=兄弟は、学校から帰宅後、車で20分かけてほぼ毎日海へと向かう。
 サーフィンが趣味の父貴仁さん(37)に幼少期からボードに乗せられていた2人。ただ、正宗君は海に落ちてばかりで、恐怖心に打ち勝てたのは小2年のとき、市内のプロサーファー萩原健太さん(36)が企画する初心者向けのスクールでボードに立てた経験からだった。
 今では「将来はトッププロになり世界大会へ出て、チャンピオンツアー出場が目標です」と世界を目指すまでになった。
 昨年からは三重や千葉などの大会に出場し、同世代としのぎを削る。大人と交ざり難関のサーフィン検定3級にも合格した。 
 一方で、昨年6月の関西オープン(開催地三重県)は、セミファイナル敗退。自分が未完成な技を同世代が決めるのが悔しかった。千葉県では波が大きく沖へ出るのに苦戦し、1回戦負けした。だからこそ、冬場でも練習に熱が入る。
 伊織君も昨年夏、初心者向けのスポンジボードからショートボードに乗り換え、各大会で入賞を重ねている。小さな体で大きな波に向かう伊織君は「パドリングを強くするのが目標」と兄と共に筋トレに励む。
 海ではみんなが2人の先生だ。萩原さんや静岡県から練習に訪れるトッププロに見守られながら、市長杯へ向け技の完成度を高めている。
 指導する萩原さんは「豊橋からトッププロとして活躍できるという証明を自分の代わりにやってもらいたい」と2人の将来に夢を託す。10年以上前から萩原さんが続けてきたサーフィン振興、次世代の担い手育成が芽吹き始めた。 
 
 一方で、豊橋市民の暮らしにサーフィンが根付いているとは言い難いのが現状だ。全国的にも有名なサーフスポットでもある表浜海岸だが、海岸沿いに商業施設はなく、観光資源として生かしきれていない。
 市内の子どもたちにとってサーフィンを続けるハードルも高い。市街地からの交通手段であるバスは4㌔ほど離れた豊橋技術科学大学(天伯町)辺りまでしかなく、豊鉄渥美線とバスを乗り継いでも2㌔以上はある。海に行くには自転車もくしくは車での送迎が必要になる。
 「バスの路線が海岸近くまで延びれば、サーフィンをやる子はもっと増える」と萩原さん。
 今年4月に開催する市長杯が五輪や世界選手権代表選考に絡むNSA公認大会となったことで、出場者のレベルが一気に上がることが予想される。地元選手の活躍が大会の盛り上げには欠かせない。
 海を地域資源として生かすため、子どもたちのサポート環境を整え、競技人口の裾野を広げる必要があるのではないか。
(飯塚雪)

冬場も練習に励む荒河正宗君㊧と伊織君=豊橋市の表浜海岸で
冬場も練習に励む荒河正宗君㊧と伊織君=豊橋市の表浜海岸で
萩原プロ㊥の指導を仰ぐ伊織君=同
萩原プロ㊥の指導を仰ぐ伊織君=同

カテゴリー:社会・経済

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