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豊川「旅籠・大橋屋」の工事見学会

火事で炭状になった柱など、歴史を物語る痕跡を見学する参加者ら=大橋屋で
火事で炭状になった柱など、歴史を物語る痕跡を見学する参加者ら=大橋屋で

 江戸時代から約360年続き、旧東海道五十三次の宿場町では最後の旅籠(はたご)として知られる豊川市赤坂町の大橋屋で24日、一般向けの保存整備工事見学会が行われた。当時の技術や風習、出来事などを証明する形跡が発見されており、貴重な歴史遺産となりそうだ。
 2015(平成27)年3月で旅館業を終え、市が買い取った大橋屋の建物は、昨年度から2カ年で解体・調査を踏まえた保存整備工事を実施中。建物を囲むように設置された足場を使い、教育委員会生涯学習課の職員の案内による見学会が行われた。午前から午後にかけて4回行われ、初回は15人がヘルメットをかぶり、3世紀半もの歴史を誇る建物に夢中になった。
 2階部分の壁には高窓があった痕跡や、屋根下の防火壁としての機能を果たした「袖うだつ」の近くでは一枚化粧裏板が発見された。固定されていた格子を外すと、木製の戸車が付いているのも発見され、格子を戸袋に収めると2階の部屋が開放的な空間となる仕組みだったことを裏付けている。わずかだが、出格子の下の腕木には彫刻の形跡も見つかった。
 また、大橋屋に残されていた書物に記載され、1921(大正10)年に起きたとされる火事の痕跡として、表面が炭状となったまま100近くも使われた柱も公開。この火事の影響で部材が取り替えられた場所も確認できた。
 2階の二重壁の中からデビュー当時の俳優・中村錦之助と雪村いずみのポスターも見つかり、1954(昭和29)年ごろに部屋の改修が行われたとされる推察も紹介され、参加者はほんのひとときのタイムスリップを楽しんだ。
 工事は12月に完了予定で、来年春ごろの内覧会を予定している。建物隣の敷地にはポケットパークも整備する。
(由本裕貴)

 江戸時代から約360年続き、旧東海道五十三次の宿場町では最後の旅籠(はたご)として知られる豊川市赤坂町の大橋屋で24日、一般向けの保存整備工事見学会が行われた。当時の技術や風習、出来事などを証明する形跡が発見されており、貴重な歴史遺産となりそうだ。
 2015(平成27)年3月で旅館業を終え、市が買い取った大橋屋の建物は、昨年度から2カ年で解体・調査を踏まえた保存整備工事を実施中。建物を囲むように設置された足場を使い、教育委員会生涯学習課の職員の案内による見学会が行われた。午前から午後にかけて4回行われ、初回は15人がヘルメットをかぶり、3世紀半もの歴史を誇る建物に夢中になった。
 2階部分の壁には高窓があった痕跡や、屋根下の防火壁としての機能を果たした「袖うだつ」の近くでは一枚化粧裏板が発見された。固定されていた格子を外すと、木製の戸車が付いているのも発見され、格子を戸袋に収めると2階の部屋が開放的な空間となる仕組みだったことを裏付けている。わずかだが、出格子の下の腕木には彫刻の形跡も見つかった。
 また、大橋屋に残されていた書物に記載され、1921(大正10)年に起きたとされる火事の痕跡として、表面が炭状となったまま100近くも使われた柱も公開。この火事の影響で部材が取り替えられた場所も確認できた。
 2階の二重壁の中からデビュー当時の俳優・中村錦之助と雪村いずみのポスターも見つかり、1954(昭和29)年ごろに部屋の改修が行われたとされる推察も紹介され、参加者はほんのひとときのタイムスリップを楽しんだ。
 工事は12月に完了予定で、来年春ごろの内覧会を予定している。建物隣の敷地にはポケットパークも整備する。
(由本裕貴)

火事で炭状になった柱など、歴史を物語る痕跡を見学する参加者ら=大橋屋で
火事で炭状になった柱など、歴史を物語る痕跡を見学する参加者ら=大橋屋で

カテゴリー:社会・経済

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